ジャニーズ事務所の創業者による性加害問題を受け、所属タレントのCM契約を見送る方針を発表する企業が続出。そんな中でTOKIOは、福島県との連携が続いている。
「TOKIOは日本テレビ系『ザ!鉄腕!DASH!!』で、'11年の東日本大震災以前から福島県で農業などに挑戦。その縁もあり、'12年から県産品をPRするCMに出演しています。ジャニーズ事務所の性加害問題が取り沙汰されてからも福島県はTOKIOの起用を継続すると明言しています」(スポーツ紙記者)
地域貢献を続けてきたTOKIOだが、その『ザ!鉄腕!DASH!!』の演出で、ある“疑惑”が……。
ネットから番組に対して指摘が多く入って
「9月24日に『グリル厄介』というコーナーが放送されました。以前から続いているコーナーで厄介な外来種を捕獲し、日本本来の生き物がすみやすい自然を取り戻すと同時に、おいしく調理して命も粗末にしないというコンセプト。今回の“厄介モノ”はウツボでした」(テレビ誌ライター)
三重県では水温上昇の影響でウツボが大量発生。そのウツボに伊勢えびが食い荒らされ、漁獲量が減っているので、城島茂と『Aぇ! group』の草間リチャード敬太がウツボを捕獲する内容だった。
番組内では「伊勢えびの減少は海藻が著しく減少してしまう“磯焼け”と相まって」という解説もされていたが、ウツボが大きな被害をもたらしているかのような演出がされたことから《伊勢えびの減少はウツボのせいではない》と、研究者などからネット上で指摘する声があがっていた。
本当に伊勢えびの減少はウツボのせいなのか。磯に生息する生き物の生態などを研究している三重大学水産実験所の松田浩一教授に話を聞いた。
番組では説明不足な点も
「ウツボは魚や小型のエビ、カニ、タコなどを食べるといわれています。伊勢えびも食べると思いますが、主に数cm程度の小さいもので、漁獲されるサイズは、ほとんど食べないと考えられています。理由として、伊勢えびの天敵にマダコがいますが、そのマダコをウツボが食べるので、伊勢えびが身を守るためにウツボと同所的に生息し、ウツボも伊勢えびを襲わずに共生しているとされています」
伊勢えびは減少して、ウツボは増加しているのか。
「三重県のウツボの漁獲量は調べられていないため、増減はよくわかっていません。ウツボは漁獲した後の処理に手間がかかるので、獲る漁師さんが減ってウツボが増えているということはあるかもしれません」(松田教授、以下同)
ただ、ウツボがまったく関係ないわけではないそう。
「伊勢えび漁は海底に網を張り、絡めとる“刺し網漁”で行われています。そこにウツボがかかると網が傷つき、使えなくなるため、ウツボを駆除する地区もあります」
磯焼けが漁獲量減少の大きな要因になっているのか。
「伊勢えびの数が急に減っているのは水温上昇のために、海藻が減少してきていることが大きく関係しています。番組ではウツボが強調されていましたが、説明不足な点もあるように思えました」
これまで実直に自然と向き合ってきただけに“過剰演出”でガッカリさせることはあってほしくないものだ。
松田浩一 三重大学水産実験所教授。水産生物学、水産増殖学を専攻しており、主に磯に生息している生き物の生態や安定的に漁獲量を確保するための研究をしている