10月2日の会見で『SMILE-UP.(スマイルアップ)』への社名変更を発表した、ジャニーズ事務所の東山紀之社長と井ノ原快彦副社長。実質上のジャニーズ解体宣言と、新体制となる会社運営の方針を発表した。
若手を中心とする所属タレントは、ファンに新名称を募って設立される新事務所に属する一方で、ジャニーズを長年にわたって支えてきた“大御所”らは大きな動きを見せた。
11月30日をもっての退所が発表されたのは元V6メンバー・岡田准一。「滝沢秀明とは同期です」と打ち明けるのはジャニーズ事情に詳しい芸能ライターだが、元同僚の三宅健と同じく『TOBE』移籍はあるのだろうか。
「岡田のTOBE入りの可能性は低いでしょう。東山氏社長が会見で、タレントとのエージェント契約も事務所運営の一つの形と述べたように、岡田さんもまた個人事務所を設立した上で、兄貴分の井ノ原副社長とも協力してジャニーズの仕事も請け負うと思います。
それにアカデミー賞俳優として実績十分の岡田さんは、もはやジャニーズタレントの枠を超えた存在。たとえ“後ろ盾”がなくなったとしても、“客を呼べる”俳優として引くあまたの彼はエージェント契約のほうが向いているのかもしれません」
嵐・松本潤主演のNHK大河ドラマ『どうする家康』でも、織田信長役として存在感を示している岡田。42歳と脂の乗り切った今、その唯一無二のアクション技術を駆使して海外進出も夢ではないのかもしれない。
片や、新事務所とはエージェント契約を締結する方針の、もう1人の“信長公”木村拓哉。事務所を代表するジャニーズ俳優の1人ではあるが、後輩とは少々事情が異なりそうだ。
中堅以上のタレントに“リストラ”危機
芸能事務所がタレントの仕事斡旋、ギャラ交渉を請け負うのは同様ながら、マネジメント業務や事務仕事、セルフプロデュースなどは個人・個人事務所に委ねられるエージェント契約。
「事務所と分配するギャラの取り分が多くなるメリットはありますが、その分、仕事の結果がシビアに見られる傾向にあります。つまりドラマならば視聴率、映画ならば興行収入といった数字が伴わなければ次第に仕事を回してもらえなくなる場合も。
自ずと自社タレントを起用すれば、“外部”への高い給料や報酬を支払う必要がなくなるわけで実質上の“リストラ”にもなり得ます。つまり結果を出せない、しかもギャラが高額な中堅以上のタレントは、エージェント契約によって仕事を失う可能性もあるということ」(前出・芸能ライター、以下同)
SMAPメンバーとして、“天下のキムタク”として長らく芸能界のトップをひた走ってきた木村だが、近年は十分な結果を残しているとは言い難い。
2023年1月公開の映画『レジェンド&バタフライ』の興行収入は20億円半ばにとどまり、4月放送のフジテレビ系ドラマ『風間公親-教場0-』は全11話の平均視聴率9.8%と二桁を切ってしまった。
追い打ちをかけたのが、ジャニーズ性加害問題の煽りによって『日産自動車』や『日本マクドナルド』といった企業とのCM契約が、期間満了を持って更新をしない方向に動いてしまったこと。
「テレビ局にしてみれば、たとえ数字が物足りなくともタレントのお抱えスポンサーが出稿してくれれば、喜んでドラマ制作に着手したことでしょう。そのメリットが失われつつある今、そしてジャニーズ“直属”ではなくなる、ギャラばかり高い木村さんを起用する必要がなくなってしまうのかもしれません」
すでに“個人事務所”を設立している木村
9月29日のフジテレビ定例会見で、同局・大多亮専務は来春放送予定だった『教場』続編ドラマが撮影延期になったことは認めるも、その理由をあくまでも「スケジュールの都合」とした。
さらに、木村がエージェント契約を結んだ際に懸念されるのがマネジメント問題だ。ジャニーズから降りてきた仕事を受ける“窓口”が必要になるのだが……。
キー局で報道番組やワイドショーを手がけた元プロデューサーによると、木村はすでに“個人事務所”を設立しているのだという。
「“芸能プロダクションの経営”などを名目にした有限会社を設立しているんだけども、とはいえ20年前のことで、今までは税金対策を講じての役割だったんだろう。これを個人事務所として構えるのかもしれないね。
または(工藤)静香の女性マネジャーが代表を務める個人事務所。やり手の大ベテランマネによる運営とマネジメント力、それに各方面に人脈を広げる静香の営業力と、キムタクにしてみれば整えられた環境、なんだけど……」
勝手知ったる妻が裏方をこなしてくれるのであれば、夫としては心強く、タレント業にも集中できるというもの。芸能界には実際、そんな夫婦二人三脚の個人事務所も多数ある。
しかし、前出の元プロデューサーが懸念するのは取引先との“ギャラの分配”、そして静香による“プロデュース力”なのだとか。
高額ギャラで揉める可能性も
「ジャニーズとのギャラの分配比率、また他のクライアントとのギャラ交渉の席で揉めそうな気がしてしまう(苦笑)。ジャニーズの貢献者として今も全盛期と同額に近いギャラをもらっているだろうけども、現在の商品価値には見合っていないようにも思える。額を求めすぎると、“じゃあ、別の人で”とあっさり交渉決裂に至るかも。
そして実質、CocomiやKoki,のプロデューサーとも言われる静香ですが、お世辞にも上手い売り方には見えないんですよ。キムタクが熱心になって日々更新しているSNSも、裏で彼女が手を引いているのだとしたら、これはちょっと心配になってしまう」
前社長の藤島ジュリー景子氏らが出席した9月7日の会見直後に、自身のインスタグラムに《show must go on! PEACE!! STAYSAFE!》とのジャニー喜多川氏のフレーズを用いて投稿をして、“空気が読めない”と炎上した木村。確かにジャニーズのマネジメントから離れれば、さらなる“SNS暴走”を招く恐れもある。
「実際のところは、キムタクの個人事務所を窓口として、中居(正広)のようにジャニーズから担当マネジャーを出向させてもらう、というのが現実的な運営になるんじゃないかな。いずれにしてもエージェント契約になって“後ろ盾”がなくなった時、木村拓哉の本当の実力と人望が試されるのは間違いないだろうね」(前出・元プロデューサー)
人生の岐路に立たされた木村拓哉50歳、老け込むにはまだまだ早い。