「夜中に救急車やパトカーが来て、何かあったとは思ったけど、警察に聞いても何も教えてくれなくてね。それで今回、マスコミが取材に来たので、2年前のあの騒動は虐待死だったとやっとわかった」
と事件現場となったアパートの近隣住民は語る。別の住民も、
「鑑識官のような服装をした人たちが、アパートのまわりをウロウロしていたので、何か怪しいとは思っていたんですけど……」
と回顧したーー。
千葉県警捜査一課と同県警我孫子署は9月28日、同県我孫子市に住む自称動画編集業の永沼楓月容疑者(27)を傷害致死の疑いで逮捕した。同容疑者は昨年2月4日午後11時10分ごろ、同市の自宅アパートの室内で、息子の清水奏良ちゃん(当時3)を布団で巻く暴行を加え、死亡させたというもの。
「奏良ちゃんの容体が悪くなったため、みずから119番通報をして救急車を呼んだようです。しかし、奏良ちゃんは病院に搬送されたものの、帰らぬ人となってしまった」(全国紙社会部記者)
司法解剖によれば、奏良ちゃんの死因は吐しゃ物を吸入したことによる窒息死とみられている。
「1年8か月にわたって慎重に捜査を進めていった結果、傷害致死の容疑で逮捕へとこぎつけたわけです」(捜査関係者)
母親に虐待の気配はなかったが…
母親の永沼容疑者は、布団で巻いた理由について、
「息子が泣き叫ぶのをやめさせるため」
「しつけのために布団を巻きつけた」
などと容疑を率直に認めているという。
「奏良ちゃんを布団に巻く虐待は“数ヶ月前からやっていた”とも供述しています。遺体にはほかに傷やあざは特になく、奏良ちゃんが通っていた保育園からも虐待の証言はなかった」(同捜査関係者)
事件現場となった2階建てのアパートは築21年。永沼容疑者と奏良ちゃんは間取り2DK、家賃月約5万円の部屋に元夫とともに数年前から暮らしていた。永沼容疑者は警察の発表で“動画編集業”となっていたが、
「いわゆるユーチューバーではないようです。容疑者本人は“個人事業主として、会社と契約して、インターネットに掲載する動画の編集をやっている”と話しています」(同・捜査関係者)
永沼一家は同アパートの住民とは交流がほとんどなく、人柄などの証言を得ることができなかったが、ある近隣住民は夜中に子どもが泣く声は聞いたことがあるという。
「男の子の声か、女の子の声かもわからないし、事件のあった部屋かどうかもわからないけど……」
事件が起きた部屋はいまも空き部屋
事件後、永沼容疑者は元夫と離婚し、同アパートから8キロメートルほど離れた実家へ戻った。元夫もアパートを出たため、事件が起きた部屋はいまも空き部屋となったままである。
永沼容疑者の実家は一戸建てで、十数年前に引っ越してきたようだ。容疑者の人となりを知るべく、インターホンを押すも反応はなく、夜になっても明かりさえともらなかった。近所の住民のほとんどは“引っ越しの挨拶ぐらいで家族構成すらわからない”とのことだった。ここでも容疑者の人となりを把握することはできなかった。
警察の取り調べに対して、永沼容疑者は、
「“(奏良は)可愛い子でした。かわいそうなことをしてしまった”と涙を浮かべながら後悔し、反省していると聞いています」(前出・捜査関係者)
どんなに悔やんでも、失われた命は二度と戻ってこない。