ジャニー喜多川氏の性加害問題によって、各方面に大きな影響をもたらしているジャニーズ事務所(10月17日付で「SMILE-UP.」に社名変更)。同事務所と長らく“蜜月”関係にあったNHK「年末の風物詩」も例外ではなさそうだ。
12月31日の大晦日に生放送される『第74回紅白歌合戦』だが、ジャニーズ問題を受けて「NHKでも変化を迫られているようです」とは、紅白取材を担当してきたスポーツ紙記者。
「過去には最多7組が出場と、毎年が“ジャニーズ紅白”とも揶揄されたものですが、これまでの制作現場にしてみれば反対できる雰囲気ではなかった。ところが、今年は“ジャニーズ叩き”の波に乗るように、“出すべきではない”とすっかり手のひら返しの様相だと言います」
10月9日のNHK『ニュース7』では、ジャニーズJr.が出演する『ザ少年倶楽部』の撮影が行われていた局内で、ジャニー氏から性被害を受けたという男性の告発が取り上げられた。このニュースが決定的な“転機”になったとも。
「NHK内に“ジャニーズ専用”リハーサル室があったという逸話もあり、受信料で成り立っている、公平・公正の立場にあるべき同局の功罪をも問われる問題です。そんな負のイメージを払拭するため、ジャニーズ排除を視聴者にアピールする目的があったのかもしれません。
ただ全廃となれば、今度はジャニーズファンから相当数のクレームが寄せられることになる。結果的に、ジャニーズの出演は1組か2組で調整していると聞きます」(前出・スポーツ紙記者、以下同)
ジャニ枠はなにわ男子、スノストの争いか
そんな中で選出されるジャニーズグループの候補となるのが、日本テレビ系『24時間テレビ』のメインパーソナリティを務めた『なにわ男子』。そして目下、事務所の“稼ぎ頭”になりつつある『Snow Man』、そのライバルグループ『SixTONES』による争いだ。
恒例の『ジャニーズカウントダウン』コンサート開催が不透明な現状、それぞれのファンはせめて“推し”を紅白に出場させるべく、明確な“結果”を残すためにSNS上で健気にCD購買運動を呼びかけている。
では、ジャニーズ色が薄まる紅白はどう変わっていくのか。10月6日には公式HPにて早々に司会が発表されたのだが、橋本環奈と浜辺美波、高瀬耕造アナウンサーとともに大舞台を仕切るのは有吉弘行。
NHKで毎週土曜日に放送される『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』のレギュラー番組を持っているとはいえ、紅白司会を任せられるほどに“貢献度”が高いとは思えないが……。
「有吉に期待しているのはアドリブ力でしょう。本来は台本通りに進行される紅白ですが、やはり視聴者の興味を引くのは生放送ならではのハプニング。出演者の魅力を引き出すトーク力と、ネットニュースになるような“イジり”も期待されているのでしょう。
漏れ聞こえる話によると、どうも例年以上に中高年世代には“馴染みのない紅白”になりそうですからね。“おまえら、誰だよ”と遠慮なくイジれる有吉を据えることで、視聴者を置いてけぼりにしない狙いもあると思いますね」
若者やZ世代を意識したバズる出演者
紅白放送まで3か月を切った今、制作スタッフによる出場候補者のリストアップ作業が始まっている。特にマスト案件とされるのが、ごっそり抜けるジャニーズ勢の“穴埋め”。
その筆頭につけているのが、若者世代に人気のK-POPグループや、オーディション番組によって結成されたボーイズグループら“韓流”系だという。
アーティストも多く在籍する大手芸能事務所の営業担当者によると、
「K-POPでは『SEVENTEEN』『ENHYPEN』『NCT』『Stray Kids』、そしてボーイズグループでは昨年に初出場を果たした『JO1』と『BE:FIRST』に続き、吉本興業さんも出資する『INI』も候補に上がっていると聞きます。
女性グループでも、2022年のデビューから日本でも旋風を起こしつつある韓国の5人組『NewJeans』と、さらなる韓流勢の活躍が目につきそう」
近年は“若者目線”を意識した企画構成が目立つ紅白だが、さらに“刺さる”ような出場者の名前、そして演出がホワイトボードに踊っているようだ。“Z世代”から絶大な支持を受けるロックバンド『Mrs. GREEN APPLE』や『マカロニえんぴつ』、“ボカロP”としても人気のシンガーソングライター『キタニタツヤ』も刺さる。
レトロブームで昭和歌謡が返り咲きも
「紅組では、新CM女王との呼び声も高いZ世代のカリスマ『あの』、そしてTikTokで大バズりしている4人組『新しい学校のリーダーズ』はすでに“内定”扱いの様相で、NHK番組でも露出が増えています。
また“昭和レトロ”ブームから、昭和歌謡を歌った歌手にも返り咲きのチャンスがありそう。笠置シヅ子さんをモデルに描く朝ドラ『ブギウギ』のヒロイン・趣里さん、そして母親で元キャンディーズの伊藤蘭さんの親子共演ですね」(前出・芸能事務所営業担当者、以下同)
なるほど、ただ若者に“媚びる”だけの企画ではなく、昭和歌謡も取り入れることで中高年世代も満足できる一石二鳥企画というわけか。それでも制作スタッフが頭を抱えているのが……、
「視聴者が“本当に観たい”人気歌手やグループを呼べるのか、ということ。たとえば幅広い世代から支持される『YOASOBI』ですが、2020年、2021年には出場しながらも昨年は不出場だったことで“辞退”と捉えられました。
近年は視聴率と比例するように紅白の“価値”は下がり続け、オファーを受けても辞退する歌手が増えていると聞きます。それもジャニーズを重宝してきた弊害とも言えますが、彼らの存在感が薄まった中で視聴者が本当に見たい紅白を放送できるのか注目ですね」
昨今の若い世代のテレビ離れを受けてか、紅白もスマホやタブレットでリアルタイム視聴できる環境を整えているNHK。“媚び媚び”コンテンツが受け入れられるかはまた別の話だろう。