「被害女児ふたりからは話を聞いているが、それだけで逮捕したわけではない。防犯カメラの映像分析や鑑識作業など必要な捜査をした上でのこと。犯行から逮捕まで1年以上かかったのはそれなりの事情があるが、被害者保護の観点などからその詳細を明かすのは差し控えたい」(捜査関係者)
小学生の女児2人にホテルでわいせつな行為をしたとして茨城県警水戸署は9月26日、東京都中央区佃の自称・ITコンサルタント業の嶋宮利明容疑者(64)を強制わいせつの疑いで逮捕した。
顔見知りのおじさんが豹変してわいせつ行為
昨年7月27日午後10時ごろ~翌28日午前6時半ごろまでの間、東京都品川区のホテルの一室でいずれも茨城県内に住む女児2人にわいせつな行為をした疑い。
同署によると、容疑を否認している。
「犯行直後の昨年7月28日、被害女児ふたりの親族が揃って警察署に出向き被害を相談している。容疑者の自称する職業柄か、インターネットで女児と接点を持ったのではないかと推測されたりするが全く違う。嶋宮容疑者はふたりの女児と面識があった」(前出・捜査関係者)
つまり、SNSなどを通じた援助交際やパパ活のたぐいではない、ということ。むしろ顔見知りのおじさんが豹変したわけだから被害女児のショックははかりしれない。
孫ほど歳の離れた女児に手を出したとされる熟年男はどのような人物か。
本人がメディアに公開したプロフィールなどによると、明治大学を1984年に卒業後、外資系の日本IBMで金融機関を担当。米ニューヨーク本社に異動すると、企画やマーケティング関連業務を担当するかたわら、自費でブラウン大学大学院に通ったという。
帰国後、ソフトウェア関連やIT関連企業で転職を繰り返した。
「大手商社系のIT関連企業に出向した1999年に大きな転機を迎えた。米国の優良ベンチャー企業を発掘する業務に携わり、その仕事ぶりに目をつけた米インターネット専業コンサルティング企業が日本法人開設にあたって容疑者をヘッドハンティング。マーケティング担当として活躍すると、その太い顧客にあたる大手ハードウェアメーカーからまたヘッドハンティング。出世魚のように市場価値を高めつつ、2006年にITコンサルタントとして独立した。最近では地方金融業界のデジタルトランスフォーメーション分野で存在感を放つなど、実力もさることながら、かなりの野心家といえる」(全国紙経済部記者)
まさか性犯罪の事件を起こすなんて…
ビジネス環境の激しい変化に対応するためITを活用して業務の質などを高めていく「デジタルトランスフォーメーション」に詳しく、地方銀行や信用金庫から社員研修やセミナー講師として招かれるようになっていた。先見の明があったのだろう。
現在の肩書きは『金融デジタル研究所』の代表。金融専門紙の連載企画に協力したり、金融業界誌の対談企画では次のように話していた。
《私は地域金融機関でセミナー講師を務めることが多いのですが、2021年の初めころは「『DXって何だ』というセミナーをお願いしたい」だったのが、夏ぐらいから「営業の人がお客さんに聞かれたときにどう対応するか教えてほしい」という内容に変わってきたように感じています》(季刊『事業再生と債権管理』2022年7月5日号より)
ビジネスで面識のある金融関係者は驚きを隠さずに言う。
「まさか事件を起こすとは思わなかった。しかも性犯罪とは……」
自宅は都内のウォーターフロントにそびえるタワーマンション。
同じマンションの女性は、「住人同士の交流はほとんどなく面識がありません。容疑が事実ならば怖い人ですね」と表情を曇らせた。
現役時代は快足ウイング
趣味は学生時代から熱中するラグビー。日本IBMに在籍していた当時は社会人ラグビーの経験もあり、その後も国立大OB中心のクラブチームで活動したり、学生をコーチするなど続けてきた。
「現役時代は快足ウイング。コーチに転じてからは指導力を発揮し、中学・高校生ばかりか大学のラグビーチームで教えることもあった」(ラグビー関係の知人男性)
別のラグビー関係者はこう言う。
「容疑者は明治大学出身だが、強豪の体育会系ラグビー部には所属していなかった。人当たりがよく、プレーそのものの輝きより、いろんなところへ出向いていって人脈をつくるのが得意な人物として知られていた。仕事にもつなげていたのかもしれない」
折しも、ラグビーW杯フランス大会で日本代表が奮闘するさなかの逮捕劇。容疑が事実ならばラガーマンとしても許し難い行為であり、一発退場のレッドカードものだ。