「1日1分、背中にアプローチするエクササイズを習慣化すれば、やせやすい身体がつくれます。新陳代謝が落ちているアラフォー以上でも、その効果はすぐに実感できるはずです」
そう話すのは、ピラティスインストラクターのもりもとさちこさん。
1日1分背骨を動かす「背中エクササイズ」
「背中には、広背筋などの大きな筋肉があるので、それらを動かすだけでも基礎代謝がアップするんです。そして何より“背骨を動かすこと”を意識すると、今まで使っていなかったインナーマッスルが鍛えられて背骨が安定します。
すると、猫背や反り腰など、背骨のゆがみも改善されて骨格のバランスが整い、姿勢が良くなる。骨を支える筋肉が正しい位置につくので、スタイルアップにもつながります」(もりもとさん、以下同)
耳の横から腰まで、合計24個の椎骨で構成されている背骨。それらを1つずつ動かすエクササイズを行ううえで重要なのは“イメージする力”だという。
「実際に骨を動かすのは難しいですが、背骨の位置や動きに意識を向けるだけでも問題ありません。例えば、紹介している1つ目のエクササイズでも、『骨盤は動かさず、胸の背骨(胸椎)だけを動かすイメージ』をすると動きが良くなります。
また、身体を動かすときも無理やり伸ばすのではなく、できる範囲で行ってください。自分の可動域を知るとケガのリスクも下がります」
背骨の動きを想像するだけでエクササイズの質が一気に向上するのだ。
「日常生活でも、背骨に意識を向けると非常に効果的。料理中やお皿洗いなどの立ち仕事をしているときは、尾骨を床に見せるイメージで立ちましょう。尾骨を真下に向けると、骨盤がまっすぐになり、お腹に力が入るので引き締め効果が期待できます。
特に“反り腰”の人は、尾骨が後ろに向いているので、腰痛やぽっこりお腹になりやすく要注意。まずは、尾骨の向きを意識しながら生活してみましょう」
また、デスクワーク中に無意識に肩が上がる癖がある人も「背骨がうまく使えていない」と、もりもとさん。
「肩が上がると、肩の周りに筋肉がついて肩こりになりやすく、背骨の動きも悪くなります。その状態では背中のエクササイズ効果が得にくいので、日頃から肩を下げるように意識してください」
背中エクササイズで自律神経も整える
背骨を軸にしたエクササイズは、やせやすい身体づくりや、姿勢の改善以外にもメリットがあるという。
「背骨の周りには自律神経が走っているので、背骨の動きがスムーズだと自律神経も整います。さらに背骨がよく動くと周りの筋肉もやわらかくなって可動域が広がり、呼吸も深く吸えるように。
メンタルのバランスに関わる自律神経も整い始め、不眠や食欲不振などといった不調も改善する効果が期待できます」
反対に自律神経が乱れやすい人は、背骨や背中の筋肉がしっかり動いていない可能性がある。
「背骨は心身の健康にも非常に重要なパーツなのです」
40代・50代女性の大敵“自律神経の乱れ”もケアできるとは、一石二鳥のエクササイズだ。
「私自身、10代のころから体重の増減が激しく一時は65キロをオーバーしたことも。そのときに出合ったピラティスで背骨を意識することがダイエットや姿勢改善、健康維持につながることを知りました。
人は背中から老けていく、といっていいくらい身体の軸である、背骨は大切なんです。ふだん猫背が気になる人、寒くなると背をかがめて歩くクセがあるような人は特に行ってほしいエクササイズですね」
簡単だけど効果バツグンの背中エクササイズ。さっそく今日から始めてみよう!
背中をほぐして動かす3つのエクササイズ
背骨を動かして姿勢を整える、それこそが健康的な生活を送る重要なポイント。ここでは、もりもとさんオススメの背中エクササイズを紹介!
STEP1:背骨ツイスト
しっかりねじって背中をほぐす!
背骨がしっかり動いているイメージを持ち、胸の背骨(胸椎)をねじって、こり固まった背中を刺激!
(1)肩幅よりやや広めに足を広げて座る。ひざは伸ばしすぎず、軽く立たせて、手は頭の後ろに。その際、骨盤は垂直に立たせる。
(2)息を吐きながら、みぞおちラインから上体をゆっくり左側にひねる。息を吸って、(1)の体勢に戻る。同様にみぞおちから右側にひねり、(1)に戻る。身体をひねるときは、胸の背骨(胸椎)だけを動かそう。
STEP2:背骨ストレッチ
背中に壁があるイメージで背中をシャキッと!
背骨の位置を意識しながら背筋を刺激する。背骨をひとつひとつ動かすイメージが大切
(1)肩幅よりやや広めに足を広げて座る。ひざを軽く曲げ、腕も肩幅に開いて前に伸ばす。その際、背筋を伸ばして骨盤を立たせる。
(2)大きく息を吸い、吐きながら頸椎から尾骨まで順番に倒すように前屈する。再び大きく息を吸い、吐きながら、尾骨から順番に背骨を積み上げていくイメージで(1)の体勢に戻す。壁にもたれた状態から行ってもいい。
STEP3:スロースイミング
寝る前などに行っても効果あり!腕と足を同時に上げて全身運動。
(1)うつ伏せになり、腕と足は肩幅くらいに開いて伸ばす。その際、顔も床に軽くつける。
(2)顔を床から少し離し、右腕と左足を同時に上げて下げる。次に左腕と右足を同時に上げて下げる。対角線上の腕と足で、引っ張り合うように交互にゆっくり上げ下げする。
(取材・文/清談社 ストレッチイラスト/赤松かおり)