回転寿司の市場規模は年間約7200億円。今年も昨年より3.8%ほど市場が拡大するとみられ、右肩上がりだ。
ライバルで張り合うのは回転寿司業界ならでは!
「回転寿司各社はライバル企業の動きを本当によく見ていて、期間限定のフェアメニューや110円で食べられるグランドメニューなどで常に競っています。チェーン同士がここまで張り合っている業界は珍しい」とは、回転寿司評論家の米川伸生さん。
そんな各社の動きは商品やサービス向上へと生かされ、進化し続けている。しかし、昨今の物価高による値上げの影響は大きい。
「業界全体は好調ですが、高価格帯のラインナップも多いスシローがやや苦戦中。各社、値上げによってのダメージもありますが、そこをどうフォローしてくるかが注目です」(米川さん、以下同)
“安い、早い、うまい”の回転寿司は、客単価が上がると客離れにつながってしまう。値上げは、回転寿司各社にとって「アキレス腱」だ。
この現状を乗り越えるべく、各社は秋のイチ押しネタで勝負をかけている!
秋のお得ネタ、こうして楽しむ!
秋の回転寿司はどうやって楽しむとよいのだろうか。
「秋の定番ネタといえばまぐろ。まぐろはやはり鉄板かつ人気のネタなので、この時季に必ずといっていいほどフェアが開催されます」
くら寿司、スシロー、かっぱ寿司がまぐろやトロをおすすめネタとして挙げており、まぐろネタに注目だ。
「またこの時季はさまざまな貝のネタが出回ります。10月~1月は貝がおいしい時季」
冬が始まる前から貝を安くおいしく楽しむとよいかもしれない。
とはいえ、まぐろや貝は少しお高い印象もある。とことん安く食べたい場合、どのネタを狙ったらよいだろうか。
「安くて活きがよいネタといえば、はまちと真鯛。このネタはどこも『国産の活け締め』にこだわっています」
活け締めはまちは、どの会社も一番安い110円皿や120円皿で用意。真鯛も、1貫なら最安値で提供しているところも。安くて新鮮なネタを食べるなら、まずこの2ネタを狙いたい。
「冬にはぶりが出回りますが、これも絶対に活け締めです。ぜひ秋のはまちのさっぱり感と、冬のぶりの濃厚さを食べ比べてほしいですね」
今年は青森のホタテに注目!
さらに、今年ならではの注目ネタもあるという。
「先日から中国が日本の海産物や食料品などの不買運動を行っており、その影響でホタテやのどぐろ、キンメダイが国内で多く出回るようになりました。特に青森のホタテが安くて狙い目ですよ」
青森ではさまざまな海産物が取れ、この時季は特にホタテを多く出荷中。生のおいしいホタテを楽しむなら今だ。
また、米川さんいわく、本当にお得なのは各社を使い分けること!
「各社に特色があります。がっつり食べたい、ネタにこだわって食べたい、などその日の気分によって変えてみては」
各社の得意分野を知って、よりお得においしい食事を楽しんでみては?
米川流!お得食べネタランキング
1位 ホタテ
2位 まぐろ
3位 ぶり
くら寿司
回転寿司業界のパイオニア
超かにづくし/1290円
超豪華!生ズワイガニ棒肉、本ズワイガニ棒肉、丸ズワイガニ棒肉、見た目にも豪華な贅沢紅ズワイガニ盛り、かに味噌和え軍艦、生ズワイガニ軍艦を味わって。
【塩釜産】本まぐろ上赤身(1貫)/180円
日本有数のまぐろ水揚げ量を誇る塩釜産のまぐろを使用。くら寿司のふり塩熟成加工で天然ならではのうまみをより引き出しました。
レモンひらまさ(1貫)/180円
脂乗りの良い3キロ以上のひらまさを厳選して活け締め!エサに柑橘類の皮やオイルを混ぜて育てたフルーティーフィッシュ(R)。
本ズワイガニ茶碗蒸し/330円
こだわりの茶碗蒸しの上にうまみが詰まった本ズワイガニの棒肉をのせました。茶碗蒸しのだしとカニのうまみの相性が抜群!(11月1日まで)
新しい商品は基本くら寿司発!?
くら寿司はこれまでラーメンやコーヒーなど、新しい商品を真っ先に提供してきたパイオニア的な存在。回転寿司を「安く寿司を食べる店」から「各人が好きなものを食べられる店」へと変化させてきた。
最近はフルーツの皮やオイルなどを含むエサで育てたフルーティーフィッシュ(R)を用意。珍しいネタを食べることもできる。
そんなくら寿司の秋の大注目は「超かにづくし」! この価格で豪華な7貫が味わえる。
「他社が得意とするネタ盛り大皿料理をこれから拡充していくのかも?」
と米川さんが予想するほど。今後のくら寿司に大注目だ。
スシロー
うまいまぐろを食べたいなら!
本鮪中とろ(1貫)/100円 10月18日〜11月12日
40周年の期に合わせて登場!脂と赤身のバランスがよく、口の中でとろける脂とまぐろのうまみが楽しめる。販売予定総数788万食。
匠の海鮮巻き重ね(1貫)/260円 ※店舗により価格が異なる
こだわりの具材を豊富に巻いた一品。口に入れたときのネタのバランスと食べる楽しみにこだわった一皿。
カカオ農園のトロピカルショコラパフェ/450円 10月29日まで
※店舗によって価格が異なる
コロンビアを本拠地とする有名チョコブランド「カカオハンターズ(R)」と開発! 色とりどりなカカオ農園をイメージ。販売予定総数44万食。
まぐろとともに歩んできたスシローの本気
長くまぐろネタに注力してきたスシローからは、この秋も「厳選めばちまぐろ」や「本鮪中とろ」など、まぐろを中心としたさまざまなネタが登場する。
しかも「本鮪中とろ」はなんと1貫税込み100円! この価格は絶対に見逃せないだろう。
「ここ数年苦境に立たされたスシロー。ここで盛り返したいのでは」
と米川さんも注目だ。
そしてスシローカフェ部からは「カカオ農園のトロピカルショコラパフェ」「いちごのミニパフェ」をおすすめ。優雅なカフェタイムを楽しんでは?
はま寿司
100円皿を楽しむなら!
青森県産大粒蒸しほたて(1貫)/110円
噛むたびに、口の中にうまみと甘みが広がる逸品。
九州産 大切り羽がつお(1貫)/110円
もっちりやわらかな食感と、口いっぱいに広がる濃厚なうまみが特長。
炙り北海道産 さめがれいゆず塩/165円
脂乗りが良いさめがれいに、爽やかなゆずの風味がアクセントに。
お抹茶和パルフェ/418円 ※店舗により価格が異なる
宇治抹茶を使用したソースとアイス、抹茶と相性の良い十勝産小豆、波照間黒糖のわらびもち、寒天を使用。
安さにこだわり続けるはま寿司
はま寿司のおすすめポイントは、やはり安さ!
「安くおいしく食べられる『活〆真鯛』を2貫165円で提供しているのは、はま寿司だけ。この価格設定にはかなりのこだわりを感じます」(米川さん)
そんなはま寿司ではこの秋、北海道や九州など日本各地のおいしいネタを集めたフェアを開催。
米川さんおすすめの「青森県産大粒蒸しほたて」や、本島では珍しい「炙り北海道産さめがれいゆず塩」などが楽しめる。
「九州産大切り羽がつお」のボリューム感にも注目だ。
かっぱ寿司
有名店コラボは大得意!
瀬戸内海産 蒸し牡蠣(1貫)/110円 ※一部店舗で価格が異なる ※10月19日より販売
瀬戸内海で育まれた牡蠣は、蒸すことでうまみがぎゅっと詰まったミルキーな味わい。
大切りとろびん長(1貫)/110円
やわらかな身質で口の中でとろける脂乗りが存分に楽しめる。
つぶ貝(2貫)※2枚重ね/187円
人気貝ネタのつぶ貝を1貫に2枚重ねたコリコリ食感と甘みが堪能できる一品。
桔梗信玄餅風きな粉プリン~特製黒蜜がけ~/297円
山梨県の「桔梗屋」オリジナルのきな粉を使用し豆乳ベースで仕立てた、滑らかな口当たりと弾力ある食感が楽しめるプリン。
独自性とコラボを武器にここでしか味わえない一品を
長い歴史を持つかっぱ寿司。その強みは「独自性」だという。
「他社がやっていないことをやるのが得意。あぶり寿司はその代表格でしょう。離乳食の提供はファミリー層に好評です」(米川さん)
そんなかっぱ寿司はこの秋、まぐろと貝のフェアを開催。サイドメニューの注目株は「桔梗信玄餅風きな粉プリン~特製黒蜜がけ~」だ。コラボを得意とするかっぱ寿司、今回の仕上がりも期待大!
そして秋らしい食材を使用した「まいたけとかつお出汁餡の茶碗蒸し」(242円)も試してみたい。
魚べい
今もっとも勢いを感じる!
北海道産いくら海苔包み/210円
コクがありうまみの強い北海道産の大粒いくら。
ひらめ塩〆/270円
北海道・青森県産のひらめを塩締めにして上品なうまみUP!
宮城県産金華さば/160円
宮城県のブランド「金華さば」を絶妙な締め加減で。
天空のほうじ茶(R)オペラ/380円
静岡県の中でも良質な茶産地で育った碾茶(てんちゃ)を独自焙煎で香ばしく仕上げたブランド茶「天空のほうじ茶(R)」を使用した、濃厚で上品な新登場スイーツ。
女性からの支持が厚い魚べい
タッチパネルで注文、高速レーンで届けるオールオーダー制が評価され、全国で人気の回転寿司チェーンに。
「魚べいは店内がきれいで女性向けのネタを多く用意するなど、女性客の獲得に力を入れています。都内店はインバウンド客でもにぎわっていますね」(米川さん)
そんな魚べいがこの秋おすすめするのは「北海道産いくら海苔包み」や「宮城県産金華さば」などの人気ネタだ。
そしてデザートには「天空のほうじ茶(R)オペラ」や「ティラミス風パフェ」など、甘党にはたまらない一品が。1人でもグループでも通いたい!
(取材・文/金指 歩)