「故喜多川氏と完全に決別する決意を示すため、社名を10月17日付けでスマイルアップと変更していきます」
10月2日、東山紀之は会見でそう述べていた。その言葉のとおり、ジャニーズ事務所は17日に社名が『SMILE-UP.(スマイルアップ)』に変更され、午前0時に公式サイトも切り替わった。
しかし、変更直後からさっそく批判が殺到している。
「いろいろとツッコミどころがありすぎる新サイトなのですが、やはりいちばんはサイトのトップに“笑顔と感動の輪を、世界に”と大きく掲げていることでしょう」(芸能プロ関係者)
スマイルアップの公式サイトには“笑顔と感動の輪を、世界に”という文言とその英語訳が掲げられる。そしてその背景には、大きなステージで踊る男性、それに向かってペンライトを振る客、巨大スクリーン、花火や噴水が上がる大規模ホールでのコンサート風景を思わせる映像が流れる。
映像はまさに“これまでのジャニーズ”を想起させるもの。これまで光が当たる場面で見えていた、多くのファンを熱狂させてきたジャニーズの姿そのものだ。しかし、今明らかになり問題となっているのは、そんなジャニーズの“闇”の部分だ。
求められるのは「会社の改革」
「ジャニーズは“ジャニーズ”という名前をこの世からなくし、新たな道を進むとしていたはず。しかし、そんな会社のサイトがこれまでのジャニーズを思わせるもの。被害者の数は数百人規模、それも未成年が多数という、世界でも類を見ないような性加害を受けての社名変更であり会社の改革のはず。今後、被害者に補償をしていく会社が掲げるいちばんのメッセージが“笑顔と感動の輪を、世界に”……。世界に伝わってしまっているのは、少年たちの悲劇と権力者の欲望です」(前出・芸能プロ関係者)
そもそもスマイルアップ社は、旧ジャニーズ事務所のような芸能事務所ではないはずだ。東山社長自身が2日の会見で以下のように述べている。
「今後の方針のうち、現在のジャニーズ事務所ですが、被害に遭われ、今もなお苦しんでいらっしゃる方への補償業務のみを行っていくこととします」
業務は補償のみ。そう言い切っていた。性加害問題に関する旧ジャニーズ関係者の発言は、口を開くたびに批判される状況だ。しかし、それはいわれなき批判ではないだろう。
《未成年性被害者への補償会社が「笑顔と感動の輪を、世界に」ってどういうこと?》
《被害者補償に笑顔も感動も世界も関係ない》
《補償会社が、被害者をぶん殴るかのようなキャッチコピー打ち出してたら、スポンサーが戻るはずない》
《将来廃業すると宣言している会社のキャッチコピーとは思えない。開いた口が塞がらないとはこの事》
SNSでは、笑顔にもならず、感動もしていない人の輪ができている。残念なことにネット上なので、世界には伝わったといえるが……。
世界中の皆様に幸せをお届けする
ジャニーズ新サイトへの批判はまだある。同サイトの『コンプライアンスポリシー』には以下の文言はいちばん上に掲げられている。
《私たちは、「エンターテインメントを通じて世界中の皆様に幸せをお届けする」という使命・信念のもと、株式会社SMILE-UP.・グループ会社の全ての役員、社員が一丸となって、日々の活動に取り組んでいます。》
前出の芸能プロ関係者はこれについても、
「繰り返しになりますが、スマイルアップは補償業務のみを行っていく会社です。被害者への補償を“エンターテインメントを通じて”行うとはどういったことか。謝罪と賠償はエンタメなのか……。会見で、マネジメント業務は新会社を設立し、そちらで行う。そして旧・ジャニーズ事務所であるスマイルアップ社は補償が完了したら廃業すると宣言しています。エンターテインメントを通じた業務はそちらでやるはずなのにこれでは、“何も変わってない”という声が上がって当然でしょう」
性加害問題について旧ジャニーズ関係者は常に選択肢を間違えるような判断をし続けているといえる。
解体されたのは「ジャニーズ」の名前だけ
社名は変更しないと宣言(1度目の会見時)
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その方針に反対する企業が続出。広告にジャニーズ所属タレントを起用しない方針を各社が公表。
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「(社名を変更しないことについて)いかに私たちが内向き体制であったかを感じました。批判されて当然のことだと思います」と東山社長は前言撤回。社名の変更を発表(2度目の会見時)。
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社名変更当日から、新サイトに対し、批判が殺到。
「自分たちでジャニー事務所を解体し、被害に遭われた方々に真摯に向き合いながら最後まで補償を行い、新しい会社でファンの方々と一緒に新しい未来を切り開いていく」
2度目の会見でそう話していた東山社長。
「現状では解体されたのは“ジャニーズ事務所”という名前だけ、と言われても仕方がありません。批判の的になっているような言葉を掲げることが、補償のための会社が今それを掲げることがどれだけおかしいことか、指摘できる人が社内にいないのでしょうか……」(前出・芸能プロ関係者)
スマイルアップが目指す“新しい未来”とは、ジャニー喜多川氏が築いた世界と変わらぬものではあってはならない。