チャンネル登録者数・約700万人を誇る大人気YouTuberグループ『東海オンエア』界隈の人間関係が激烈に悪化しており、大騒動となっている。
東海オンエアは2013年から活動を開始し、今年で10周年となる古株の6人組YouTuber。
今回の騒動の渦中にいるのは主に、東海オンエアのリーダー・てつや、メンバー・しばゆー、そしてしばゆーの妻・あやなんの3人。あやなんもYouTuberで、しばゆーとあやなんは夫婦でチャンネル登録者数200万人超えの『しばなんチャンネル』の活動をしていた。
騒動はかなり複雑化しているので本稿では端的に説明しておこう。
10月17日、あやなんが自身のSNSで離婚宣言をし、てつややしばゆーに対して怒りの投稿を続けていく。これを受け、てつやとしばゆーも自身の主張を展開しつつ強い言葉で反論を繰り広げ、三者がそれぞれを攻撃するという泥沼状態になっていた。
本稿執筆時(10月20日14時)では、てつやはしばゆーに親友として謝罪したいと歩み寄るも、あやなんには絶縁を突き付け、あやなんもしばゆーには憤りだけでなく愛情を示しながらも、てつやとは徹底抗戦の構えを継続。そんななか、かつてパニック障害を発症したことのあるしばゆーが精神的にかなり追い詰められているとのことで、安否が心配されている状況である。
あの騒動はあやなんの誕生パーティーだった
しかし、泥沼の混戦状態が続くなか、あやなんのある発言がまったく別の炎上を巻き起こしているのだ。
あやなんはそもそも2021年6月、『文春オンライン』が報じたコロナ禍での緊急事態宣言中に行われた「YouTuber31人飲み会」の主役。この集まりはあやなんの誕生日パーティーであった。
報道後の当時、あやなんは殊勝な言葉で謝罪していたのだが、こともあろうに東海オンエアとの騒動の真っただ中である10月18日、数度にわたって次のようなメッセージをSNSで発信し、謝罪を撤回したのである。長文投稿のため一部抜粋。
《ちなみに私今までネットで本音しか言ってないけど最高に楽しいけどね》
《だって冷静にあの時期に誕生日会に31人も集まるってすごい人望だよね。笑》
《コロナ禍?なんだそれ気持ち悪い。って途中からずっと思ってたわ。いつまでやるんだよこの茶番。って。「医療従事者です」ってコメントで埋まってたよなぁあいつらいまどこいった?》
《国の言うことしか聞けない自分の頭で何が正しいのか考えることをほぼしない人間たちそれでもお前ら人間かよ》
《あの時私が飲み会してたときに必死でマスクして一生懸命私を叩いてたやつらは今あの時の私と同じようにマスク外して飲み会してるだろ?》
《あ、そうそう この31人飲み会の謝罪 完全にとりけしまーす! 結果、全く謝る必要のなかったことだったので今このタイミングで謝罪を取り下げさせていただきます》
《あの時私をぶったたいたやつらは今そんなこと忘れて同じように飲み会してるからね? そのとき国の偉い奴がたまたま そういうルールをつくっただけで 言うなりになって多数派の意見に賛同して一人の人間を窮地に追い詰める国民性 お前らには2度と謝らねえからな》
この一連の謝罪撤回宣言に対し、医療従事者をはじめとした数多くのネットユーザーから猛批判や悲しみの声が殺到しているのである。
彼女の主張はただの結果論であり非常に暴論
筆者の個人的な価値観で言えば、あやなんの主張の一部は理解できる。
「緊急事態宣言中でも大人数で飲み会をやってなにが悪い!」という強い信念があるのであれば、大宴会すればいいと思う。
新型コロナ感染を広めてしまって医療従事者に多大な迷惑をかける可能性や、家族や友人など周囲の大切な人が感染で苦しむリスクや、大多数の人から猛烈な批判を喰らうことなどを、きちんと“覚悟”のうえであればあとは本人の価値観次第だと考えているからだ。
言わずもがな、あらゆるリスクやデメリットを“覚悟”して、本当に背負い込めるのかどうかが重要なポイントとなってくる。
そのため筆者自身は外出を自粛していたが、あやなんのような価値観の人間がいるのは当然だと思うし、強い覚悟があったのならば、その価値観を否定しようとは思わない。
だが、今回のあやなんの謝罪撤回時の主張は、あまりに暴論で滑稽に感じた。
まずあやなんは、2021年6月当時は飲み会などを自粛して、現在は大手を振って飲み会をしている人々を攻撃しているが、それはさすがに無理筋だろう。
東京や大阪などが緊急事態宣言中だった「YouTuber31人飲み会」が行われた当時は、新規感染者数は多くの地域で低水準となっていたが、まだ1回目のワクチン接種が総人口の2割程度という時期。東京オリンピック開催前で、会場の観客は50%以下にし、パブリックビューイングなどは全て中止という決断が下されており、不要不急の外出を控えるようにアナウンスがされていた。
新型コロナの研究自体も現在ほどは進んでおらず、まだ不明瞭なことが多かった2021年6月当時と、新型コロナウイルスの研究が進み、その実態が解明され、複数回のワクチン接種者が総人口の大半を占める現在とは、まったく状況が違う。けれどあやなんの主張は、2021年6月と2023年10月をイコールにしていることが土台となっているのだ。
確かにあやなんの言うとおり、研究が進み知見がたまっている現在から見れば、2021年6月当時もコロナを過剰に恐れることはなかったと言えるのかもしれない。
だが、それはただの結果論。
ザックリ言うと、当時は「たいしたことないウイルスかもしれない。だが一方で、もしかすると人類にとってとてつもない脅威となるウイルスかもしれない」という状況で、多くの日本人は後者のリスクを回避すべきという価値観だったということだ。
2023年10月時点の知見を持ち出して、今と2021年6月を同一視するのはフェアではない。
自分の信念を貫く“覚悟”がなかったのが問題
それと、この謝罪撤回に関するあやなんの主張は、シンプルにとてもダサい。
彼女は「ネットで本音しか言ってないけど」と述べているので、この言葉が本当ならば、当時の謝罪も本心からだったということになる。
本心からの謝罪を今になって撤回したのであれば、彼女がまず真っ先に攻撃すべきは、コロッと本音が変わってしまった“あやなん自身”なのではないだろうか。当時、本心から謝罪した自分を嘆き、一番に糾弾すべきなのだ。
また、もし当時の謝罪が本心からでなく上辺の言葉だったのだとしたら、「ネットで本音しか言ってないけど」というこの言葉がウソということになる。
当時謝罪した本心がコロッと変わって、今は強気になって謝罪撤回しているのだとしたらそのスタンスが非常にダサい。当時はウソの謝罪をしていたのだとしたら、当時も今もウソばっかり吐いていることになり、非常にダサい。どちらにしてもダサいのである。
他者を責めるのではなく、ポリシーを貫けなかった過去の自分を責めて、自分のダサさを呪ったほうがいい。
余談だが、このあやなんの謝罪撤回宣言に対して、堀江貴文ことホリエモンは共感・賛同している。ホリエモンも緊急事態宣言下でも毎晩飲み会をしていたそうで、「あのときに叩いてたやつクソですね」とあやなんを擁護している。
ただ、ホリエモンは「私なんか絶対謝らないもんね。なにが悪いんだよっていう話になっちゃうんで」とも発言しており、もし彼が当時、あやなんのように世間から大バッシングを浴びても、自分の信念を貫いて謝罪なんてしていなかっただろう。
あやなんが今回の謝罪撤回宣言で述べていたようなことを当時から思っていたのであれば、ホリエモンの言うとおり、謝ったりせずに突っ張ればよかったのだ。大衆からさらに非難轟轟になることも“覚悟”のうえで、ポリシーを貫いていればよかったのだ。
穿った見方をすると、彼女が今回の謝罪撤回に至ったのは、大衆のコロナに対する熱量が下がっているタイミングだったから、強気になれただけなのではとも考えられる。
大衆という“相手”が猛烈な攻撃態勢のときは屈してすぐに謝罪して、大衆のコロナに対する熱量がもう下がっているときを見計らって、今なら“相手”の攻撃力がだいぶ弱まっていると見越して謝罪撤回したようにも思えて、そこもダサく感じてしまうのである。
だから、あやなんは大衆がコロッと変わったかのように指摘しているが、本当は彼女自身が相手(大衆)の勢いが落ちていると見てコロッと態度を変えて、ヒヨッていた自分を棚に上げて、強気に出ているだけなのではないだろうか。
いずれにしても、ホリエモンとあやなんの違いは“覚悟”の強さの差だろう。マジョリティーを敵に回すのであれば、途中で屈するような半端な信念ではなく、絶対に折れない不屈の信念を持ってからにしたほうがいい。