10月17日、『ジャニーズ事務所』という名前が消えた。0時を回るとジャニーズ事務所のサイトは『株式会社SMILE-UP.(スマイルアップ)』に切り替わった。
「“スマイルアップ”に社名を変更した旧ジャニーズ事務所は、あくまで性加害問題の補償のための会社とし、タレントのマネジメント業務は新会社を設立し、そちらで行うと発表しました。新会社の社名は公募するとのことです」(スポーツ紙記者)
特許庁が登録を2度“拒絶”
旧ジャニーズ事務所において、“スマイルアップ”という言葉は'18年から存在している。会見で東山紀之社長は次のように述べている。
「このスマイルアップという名称は、3年前に社会貢献プロジェクトを推進していくために取得した商標であります」
活動時には『ジャニーズスマイルアッププロジェクト』としていた。
「旧事務所は、'18年のプロジェクトの立ち上げ時に、『スマイルアッププロジェクト』の商標登録を出願しています。ただ、なぜか特許庁に2度も商標登録を“拒絶”されています」(芸能プロダクション関係者)
スマイルアッププロジェクトの商標登録までの経過情報を見ると、たしかに2度拒絶されている。理由はどちらも《第6条第1項(指定商品又は指定役務の表示が不明確)》というもの。これはどういった状況だったのか。テックバイザー国際特許商標事務所・代表弁理士の栗原潔氏に話を聞いた。
登録の必要性「さほどない」
「6条は商品・役務の記載の形式的な問題なので、一般には、さほど大きな問題ではありません。修正すれば済む話です。審査官によっては厳しめの判断をする人がいるので、非標準の記載をすると拒絶理由が通知されることはあります」(栗原氏、以下同)
同じ理由で2度拒絶されたのはなぜか?
「2回目の拒絶理由通知は、単に同じ役務を重複して書いたことによるものなので、代理人弁理士の単なる不注意です。好ましいことではないですがたまにやってしまうことはあるでしょう」
商標登録の“区分”を見ると、広告、金融、セミナー・イベント、飲食・宿泊施設の提供に関するもので、確かに社会貢献、被災地支援のためのものということがわかる。しかし、スマイルアップ社は「性加害問題についての補償業務だけを行う会社」としていた。商標として問題ないのか?
「社名『SMILE-UP.』」は、過去に行われた慈善活動である『Smile Up! Project』からインスパイアされたものかもしれませんが、基本的には別の話になります。また、商標は消費者に対するブランドを摸倣から保護するためのものなので、対消費者の事業を行うわけではない新会社が自社名『SMILE-UP.』を商標登録出願する必要性はさほどありません。
一方、過去における“ジャニーズ”の場合は『ジャニーズショップ』等で対消費者のブランドとして使用されていたので、摸倣を防ぐために商標登録出願する必要性が高かったです。今後、公募で決定されるタレントマネジメント会社の社名についても、同様に商標登録出願する必要性は高いでしょう」
旧事務所はスマイルアッププロジェクトについて《“いつも皆様の手の届くところにあって、ほほ笑みかけている”、そんな存在でありたいと思います。》としていた。
スマイルアップ社や、新会社がそんな存在になれる日は─。