2016年10月に第1シリーズがスタートし、深夜の放送ながら安定した視聴率を記録。'22年には舞台化もされるなど人気の高いドラマ『家政夫のミタゾノ』(テレビ朝日系)が、10月から火曜夜9時放送とゴールデン進出を果たした。第6シリーズとなる本作は、初回視聴率9・1%を記録し好発進。
「深夜時代と比べてゲストも豪華ですし、内容もパワーアップしていると思いました。あと、カメラの台数なども増えている感じがして、ゴールデンだけに予算の規模も以前とは違うのではないでしょうか」
こう話してくれたのは、多数の媒体でドラマの記事を執筆しているコラムニストの小林久乃さん。この物語は、松岡昌宏演じる女装した大柄な家政夫の三田園薫(通称ミタゾノ)が、派遣された家族の内情をのぞき見し、そこに巣食う根深い汚れまでスッキリ落とし解決していくヒューマンドラマ。しかし、当初はその内容がブレブレだったという。
当初は「家事テク」にフォーカス
「第1シリーズのころは、市原悦子さん主演の『家政婦は見た!』と松嶋菜々子さん主演の『家政婦のミタ』のいいとこ取りというか、パクリなの?みたいな感じだったので、まさかここまで続くとは思いませんでした。
内容も今は派遣先の家庭のトラブルを解決するのがメインになっていますが、当初は賢い掃除の仕方とか、ミタゾノの家事テクニックを紹介するほうに比重を置いていたと思います。それが第3シリーズくらいから今のように、人情に訴える形にシフトしていった印象がありますね」(小林さん、以下同)
長年愛されるには?
キャラクター設定に関してもブレがあったそう。
「最初のほうはミタゾノは男で、かつてはジャーナリストをしていて、実は妹がいたけど亡くなっていたみたいな設定があったんですよ。でも、そういった話もいつの間にかなくなっていて、あれは何だったんだと。今でも謎のままです」
『相棒』や『科捜研の女』のように、テレビ朝日のドラマといえば、長年愛され続けるシリーズものを作るのに定評がある。『家政夫のミタゾノ』も同じような存在になりうるのか?
「ミタゾノ自体の見た目も濃いですし、キャラクターも強烈ですからね。『相棒』のように2クール放送したら、途中で胸焼けしちゃう(笑)。『科捜研の女』もそうですが、王道ミステリーとは系統が違うから同じような存在になれるかというと、ちょっと違う気がします。個人的には“THE MOVIE”みたいに映画化したり、春や秋の番組改編期にスペシャルドラマで放送するとか、そういったペースで放送していただけると、長年愛され続けるのでは」
シリーズとして続けていくにあたり、やってはいけないことがあると小林さん。
「急にミタゾノの家族を出したり、過去のバックボーンを描いたりするのはやめたほうがいい。完成されたシリーズものって余計なことをするとファンは離れていくんです。『家政婦は見た!』もそうでしたが、やっぱり展開もベタがいちばん。『家政夫のミタゾノ』もそういう存在であってほしいです」
今後も、ミステリアスなミタゾノの活躍に期待したい。