電波少年

 平成の世を沸かせたテレビ番組が今、海外で物議を醸している。

“公開拷問”とSNSで酷評を受けているのが『進ぬ! 電波少年』(日本テレビ系)で'98年から'99年にかけて放送された《電波少年的懸賞生活》です。若手芸人のなすびが何も知らされずに連れていかれた先のワンルームで“人は懸賞だけで生きていけるのか”というテーマに挑むというものでした。部屋の中にはビデオカメラが設置され、常に録画・監視状態。身につけていたものもすべて没収され、部屋で全裸のなすびは雑誌やラジオで告知されている懸賞にハガキを書いたり電話をしたりと1日中ひたすら懸賞に応募し、当選した賞品と賞金の総額が100万円に達するまで終わることができない過酷なものでした。今見れば人権無視のひどいものです」(テレビ局関係者)

とんねるずは「やりたい放題」

 今だったら即コンプラ違反のテレビ番組は『電波少年』だけではない。テレビ番組に詳しいライターの成田全さんが「特にひどかった」という3番組を挙げる。

 まずは『とんねるずのみなさんのおかげです』(フジテレビ系)。

「“デビルマンに似てる”という理由で女優の小野みゆきさんをキャスティングしたり、コント『近未来警察072』では松嶋菜々子さんにキックや膝蹴りをお見舞いしてエッチに聞こえるような言葉を言わせるなどアイドルや女優へのセクハラ、パワハラ、容姿いじり、入り乱れての乱闘、乱痴気騒ぎは当たり前。テレビドラマ、映画、ミュージックビデオ等のパロディーを勝手にやったり、何の前触れもなくいきなり『木梨憲武が死んだ』というコントをやるなど、とにかくやりたい放題。あまりにやりすぎて関係各所から叱られたり、問題になったりしましたが、番組としての作りはしっかりしていたので、予算も愛もあったのだと思いますが……おそらく今では無理でしょう」

埋蔵金企画に3億円超を投入

 続いては『ビートたけしのお笑いウルトラクイズ』(日本テレビ系)。

「強烈な爆破の中でスタントカーに乗せられたり、バスごと水没したり、人間ロケットで飛ばされたり、強力な粘着物質の上でクイズをしたり、ワニの鼻先まで接近したり、間違うとブルドーザーで愛車を破壊されたり、痴態を隠し撮りされる人間性クイズなど、毎回悪ノリと体当たりとリアクションが繰り返され、エンディングでスージー・クアトロの『ワイルド・ワン』が流れると、毎回『やれやれやっと終わった』と思うくらい笑いましたが……もうほぼ全部ダメですね」

『ウルトラクイズ』はクイズ出題者の福留功男の「ニューヨークに行きたいか〜!」というフレーズも印象的だった

 そして大橋巨泉司会の『ギミア・ぶれいく』(TBS系) だ。

「番組内の『徳川埋蔵金発掘プロジェクト』がかなりの荒唐無稽企画でした。コピーライターの糸井重里さんが発起人となり、何百兆円ともいわれる埋蔵金を探し当てるため、重機を何台も投入して発掘作業を複数回行い、毎回『発見した!?』と視聴者に思わせるような煽りタイトルがつけられ、超能力者を呼ぶなどテレビ的演出をしながら、なんと約3億5000万円ものお金をつぎ込んだあげく、埋蔵金に関するものはほぼ何も発見できないまま終了してしまいました。こういう真偽不明な大プロジェクト番組ってすっかりなくなったな……と思ったら2017年にも『林修の歴史ミステリー』で埋蔵金を探していて、『まだ諦めてないのか!』と約30年続くTBSの執念深さには驚かされました(笑)」

 これらの番組はなぜなくなったのか。成田さんは、

「コンプラなどが厳しくなったとはいうものの、予算削減が大きいのではないでしょうか。'19年に施行された働き方改革も、影響しているでしょうね」

『徳川埋蔵金プロジェクト』だけは掘り当てるまで続けてほしい!?

なすびの懸賞生活は海外メディアからも注目を集め、英国製作のドキュメンタリー映画『ザ・コンテスタント』は9月、トロント国際映画祭でワールドプレミア上映された

 

'08年、叔父の家でたまたまナスの漬物があったので記念写真。舞台に熱中していたころのなすび

 

電波少年 松村邦洋 松本明子

 

とんねるず

 

デビュー間もないころの「とんねるず」

 

1991年、NHK紅白歌合戦に初出場して『情けねえ』を歌ったとんねるず

 

1994年9月、バイク事故からの退院会見に臨んだビートたけし。報道陣におどけるも…

 

1994年9月、バイク事故からの退院会見に臨んだビートたけし。報道陣におどけるも…

 

多彩な才能で知られた大橋巨泉さん