『BUCK-TICK』ボーカルの櫻井敦司さん(右、公式Xより)

 5人組バンド『BUCK-TICK(バクチク)』のボーカルである櫻井敦司さんが、10月19日に脳幹出血のため、57歳でこの世を去っていた。10月23日に所属事務所が発表した。

「10月19日に横浜で行われていたBUCK-TICKファンクラブ会員限定のライブ中に、櫻井さんが体調不良を訴えて、ライブは中止となっていました。翌20日も中止になりましたが、ギターの今井寿さんは“絶対やるから待っててね”とSNSでファンに呼びかけていたので、大事には至らないだろうと思っていましたが……。突然の訃報に悲しみの声が相次いでいます」(スポーツ紙記者)

 布袋寅泰、西川貴教、綾小路翔といった音楽界の有名人をはじめ、櫻井さんを“神様”と公言していた熱烈なファンの芸人・ヒロシなど、多くの人がSNSで悲しみの胸中を明かしている。

 2022年9月にデビュー35周年を迎えたBUCK-TICK。1987年のバンドブーム期から活動し、カリスマ的人気を誇った彼らにはいくつもの“伝説”があるという。

“爆破予告”と勘違いされたライブ宣伝

「1987年の“バクチク現象”が印象的です。当時、インディーズバンドとしてアルバムをリリースし、そのライブイベントを東京・池袋の『豊島公会堂』で開催することになったのですが、前売りチケットの販売に苦労していました。そこで《BUCK-TICK現象》と書かれたステッカーを作って、渋谷や原宿などの街中に貼りまくって宣伝。結果的にキャパが1200人の会場に、当日券が400枚さばけて、800人を動員。なかには“バクチク”ステッカーを見て、爆破予告と勘違いした人もいたみたいですが(笑)。このイベントの成功が音楽業界で話題となり、メジャーデビューが決まったんです」(レコード会社関係者)

 BUCK-TICKは、デビューから一度もメンバーが変わらず、解散もしていない。日本にはカリスマ的人気を誇るロックバンドは多々あるが、30年以上も継続的に活動しているバンドは稀有な存在と言える。

 ただ一度だけ、メンバー全員が“謹慎”したことがある。1989年に今井の薬物使用が発覚したときのことだ。

解散することになったら死にます

「今井さんには執行猶予付きの判決が出ましたが、世間の目を考えて“解散”という選択肢も考えられたそうです。しかし、事務所には解散を思い留まるよう求めるファンレターが殺到。“解散とか、今井さんが抜けるようなことがあれば死にます”などと訴える過激なファンもいたんです。結果的に今井さんは復帰し、復帰作となった『悪の華』はバンドの代表曲になりました」(音楽誌ライター)

 解散危機を乗り越え、活動を続けてきたBUCK-TICK。櫻井さんの早すぎる死を、受け止めきれないファンも多い。

「楽曲のリリースがなくても、毎年年末には必ず日本武道館でライブがありました。それに、12年に1度開催してきたイベント『CLIMAX TOGETHER』が次は2028年で、それも楽しみにしていたのですが……」(ファンのひとり)

《just one more……》。もう一度、櫻井さんの歌う姿が見たいという願いは届かなくても、トキメキはわたしたちの心に残り続ける。

2023年4月には28年ぶりの『MUSICSTATION』出演を報告、いつも仲良さげだった『BUCK-TICK』(公式Xより)

 

『BUCK-TICK』ボーカルの櫻井敦司さん(左、公式Xより)

 

5人組バンド『BUCK-TICK』ボーカルの櫻井敦司さん(中央、公式Xより)

 

2022年にデビュー35周年を迎えていた『BUCK-TICK』(公式Xより)