10月31日で、旧ジャニーズ事務所が立ち上げる新会社の名称公募が締め切られる。ジャニーズ事務所が10月2日に行った会見では、“1か月以内”に新たな会社を設立すると発表。タレントたちは、その新会社とエージェント契約を結ぶか、希望があれば所属することもできる。
そんな中、10月24日の深夜、二宮和也が先陣を切って自身の身の振り方について発表した。
「10月24日をもって『SMILE-UP.』から独立し、個人として活動していくそうです」(スポーツ紙記者、以下同)
これを受け、多くのファンは嵐の今後を心配したが……。
「二宮さん自身もそれを認識しているようで、“僕は明日からも嵐です”と強調。この先、グループが活動を再開するときはメンバーとして参加すると話していました」
しかし、嵐として足並みがそろわない発表に、不信感を覚えたファンの投稿も、SNSで散見された。
《できれば4人で一緒に発表してほしかったなあ》
《今回も自分優先で先に進めたのが私的に引っかかる!》
松本潤はこのまま「エージェント契約」
また“円満な独立ではないのでは”という指摘も。
「11月末で退所する岡田准一さんは、SMILE-UP.のサイトにお知らせが掲載されていますが、二宮さんは嵐のファンクラブでの発表にとどまった。さらに、今後もSMILE-UP.は二宮さんと対話を続け、改めて契約を結ぶ可能性も示唆していますから、“あの日”みたいに強行突破したのかもって……」(テレビ局関係者、以下同)
'19年11月12日、二宮が結婚を発表した日のことだ。
「お相手が3歳上だったこともあって、二宮さんは早く結婚したいと焦っていた。結果的に“'20年末の嵐の活動休止まで待てない”と、メンバーの反対を押し切った形での結婚になりました」
そして、松本潤との間に、軋轢が生じてしまった。
「当時、大野さんと松本さんはお祝いコメントを出しませんでした。中でも松本さんとの“不仲説”がいくつかの媒体で報じられ、会員制サイトのブログで複雑な心境を吐露。ファンの戸惑いに寄り添い“みんなの気持ちもわかる”と発信したのです」
そんな松本は、主演を務めるNHK大河ドラマ『どうする家康』の撮影が10月26日に終了。12月には、'22年の誕生日からクランクアップまでの約1年2か月を追ったソロ写真集を発売すると発表した。
「先を見据えた動きを見せていますし、独立する可能性は低いと思います。さらに、松本さんが'19年に設立した個人事務所の住所は、SMILE-UP.の住所と同じ。賃貸借契約を結んで間借りしているそうです。このままエージェント契約を結ぶのではないでしょうか」(芸能プロ関係者、以下同)
嵐の匂わせはファンクラブを退会させないため?
嵐は9月から、それぞれの今後について5人で話し合いを重ねてきたという。
「二宮さんは、全員が集まった話し合いの場で、独立することをほかの4人のメンバーに伝えたそうです」
しかし、これによって松本との軋轢が再燃したとも。
「二宮さんは、今後の活動に不安を覚えて、早く動きたかった。一方、松本さんはファンを心配させないことを優先し、まずは『嵐』としての答えを出したかったのだと思います。こうしたすれ違いが、二宮さんの“抜け駆け独立”を生んだのでしょう」
独立後もグループ活動は続けるという、異例の発表をした二宮。嵐の再始動を待ち続けるファンにとっては、朗報かと思いきや……。
「このところ“5人”アピールをしたり、大野くんの名前を出したり、やたらと嵐の“匂わせ”が続きました。こうして期待させ続けて、私たちがファンクラブを退会しないようにしているのかなって……。そうすれば、会社には莫大な会費が入り続けますし……」(嵐ファンの女性)
嵐のファンクラブ会員数は、300万人を超えるといわれている。4000円の年会費を単純計算すると、その収入は年間約120億円になる。
再始動を匂わせてまで、これを手放さないのはなぜか。
「1年間は出演料をタレント本人に支払って芸能プロとしての報酬は受け取らないという方針で、事務所は大幅に収入が減りますから、ファンクラブ収入は重要なのでしょう。もちろん、金銭面だけでなく、嵐とのつながりを感じたいファンの気持ちに応える意味もあると思いますが、性加害問題の対応で、補償以外にも多くのお金や手間がかかりますからね」(前出・テレビ局関係者)
例えば、対応の1つとして行った社名変更や新会社設立には、どれだけの手続きや費用がかかるのか。特定行政書士で『パワーコンテンツジャパン株式会社』代表取締役の横須賀輝尚氏に聞いた。
「一般的に、社名を変更するには、株主総会を開いて承認決議をしたうえで、1.商業登記(変更登記)、2.税務署・都道府県税事務所・市区町村役場への手続き、3.年金事務所・労働基準監督署・ハローワークへの手続きが必要です。旧ジャニーズ事務所程度の規模であれば、社内での担当者がいたり、あるいは税理士や社労士などの外部の専門家との契約があると考えられます。そのため、かかる金額としては、登録免許税や司法書士の費用などで、6万~8万円程度だと考えられます」(横須賀氏、以下同)
新会社設立にかかる費用は
ただ、社名変更の手続きをすればよいだけではない。
「所有している不動産や登録商標、JASRAC上などの権利を、新会社に譲渡するのか、SMILE-UP.に名義変更するのかを決定し、それに伴う手続きも行わなければなりません。ただ、旧ジャニーズ事務所ほどの規模での権利をすべて譲渡するような前例があまりないため、手続きをする専門家への依頼費用は、状況次第で変動するのではないでしょうか」
新会社設立は、手続きと専門家への依頼費用で、30万~40万円程度。それに伴う業務として、
・ロゴやサイトの制作
・メアドやドメインの取得
・封筒や名刺などの制作
・会社の印鑑の作成
・クレジットカードや公共料金、携帯電話、金融機関、保険、社用車などの名義変更
・各種契約書の作成、締結
などで、総額数百万円ほどの費用が想定される。
「ただ、これだけの手間とお金をかけて新会社を設立しても、補償の詳細や嵐をはじめとするタレントとの契約など問題は山積みのままです」(前出・スポーツ紙記者)
心機一転、新たな船出とはいかないようだ。
横須賀輝尚 パワーコンテンツジャパン株式会社代表取締役/特定行政書士。著書に『プロが教える潰れる会社のシグナル』(さくら舎)、『お母さん、明日からぼくの会社はなくなります』(角川フォレスタ)、ほか多数