香川照之(10月31日撮影)

《ハッピーハロウィン…》

 10月31日、普段から頻繁に更新するブログに、そう書き込んだ歌舞伎俳優・市川右團次(59)。カボチャを模したミッキーのランタン風照明を肩に乗せ、虚ろな目つきで自撮りする彼は、この日はハロウィンよりも重要な催事があったことを知らないはずがない。11歳で弟子入りした、生涯の師が亡くなって四十九日にあたる、この日を――。

市川猿翁さんの四十九日法要 

 東京・上野、寛永寺――。今にも小雨が降り出しそうな曇り空の早朝、寺の駐車場に到着した車から忙しなく降りてきたのは、黒のスーツに身を包んだ香川照之(57)だった。側頭部を豪快なツーブロックに刈り上げ、手には香典を包む紫色の袱紗(ふくさ)を携えている。

「この日は、9月13日に83歳で亡くなった香川さんの父である市川猿翁さんの四十九日法要でした。寛永寺には、猿翁さんと香川さんの先祖代々の墓がありますから、猿翁さんのお骨を納めに来たのでしょう」(ワイドショースタッフ、以下同)

 猿翁さんはかつて、妻の浜木綿子と幼い香川を捨てて、16歳上で日本舞踊家の藤間紫さんの元に出奔。父子は長らく断絶していたが、大学卒業後に俳優の道を歩んでいた香川を気にかけていた藤間さんは、亡くなる2009年までに、その関係修復に尽力した。その甲斐あって、猿翁さんと香川は2011年に和解することに。

「紫さんのお骨も、寛永寺にあるお墓に入っています。以前の香川さんは、毎月のように先祖のお墓参りをして、丁寧に掃除をしていました。2022年に発覚した銀座ホステスへの性加害報道以降は、人目を避けるためか、お見えになっていませんでしたが」

 香川が寺の本堂に向かうと、その後ろには十数名の参列者が続いた。

「澤瀉屋(おもだかや)の同門である市川笑三郎さんや市川猿弥さんがいました。2人はベテランの歌舞伎俳優ながら、夏に放送されたTBS系のドラマ日曜劇場『VIVANT』に出演していました」

 一行が本堂に入って1時間。遺骨や遺影を持つ参列者と一緒に猿翁さんの位牌を持った香川らが出てきた。そのまま納骨のため、墓地へ移動。昼過ぎには、参列者を見送った香川も、安堵の表情で車に乗り込み、その場を立ち去った。

市川猿翁さんの遺影を持って歩く参列者

 つつがなく終わったように見えるが、澤瀉屋の関係者は、この法要に違和感を覚えたようだ。

「猿翁さんといえば、スーパー歌舞伎を確立して、1980年代後半の歌舞伎界を盛り上げた大貢献者。もっと大勢の人が法要に参列してもよかったと思うのですが……」(歌舞伎業界関係者、以下同)

 2023年5月に世間を震撼させた両親を巻き込む心中事件を起こした四代目・市川猿之助被告。10月20日に初公判があり、11月17日に判決が言い渡される予定だが、この日、その姿は見当たらず。

「香川さんの夢は、長男の市川團子さんに自身では継げなかった『猿之助』の名跡を継承させることでした。ただ、四十九日法要に、團子さんの姿は見当たりませんでした。また、香川さんが2022年に再婚していた31歳下の元タレントの女性と、同時期に生まれたという男児の姿も確認できせんでした」

 後日、猿翁さんのお別れの会を行うとしているが、具体的な発表は、まだない。

「香川さんは現在、市川中車として歌舞伎の舞台に立っており、今後の人生を歌舞伎と大好きな昆虫の研究に捧げると宣言しています。そのために必要なのは、歌舞伎興行の実績とご贔屓の支援だと、よくわかっています」

 そんな中で聞こえてきたのが、こんな計画だった。

猿之助を巻き込む“話題づくり”公演計画

「香川さんが、猿翁さんにゆかりの演目を披露する“追善公演”を取り仕切って、それを猿之助さんの復帰舞台にもするという話です。役者としての復帰か、演出などの裏方かは不明ですが、追善公演と復帰舞台が一緒になれば大きな話題になります。さらに、それが成功すれば、猿之助さんは香川さんに大きな貸しを作ることになるでしょう」

 ただ、これまで本格的に歌舞伎に取り組んでこなかった香川には、いまだ“新参者”としての見方が強い。

「かつて猿翁さんの弟子で、一時は“リトル猿之助”と呼ばれたこともある市川右團次さんも、四十九日法要でその姿は確認できてません。右團次さんは、2016年に澤瀉屋を離脱していますが、猿翁さんの芸を継承した彼が加わる追善公演なら、贔屓筋も見に来るかもしれないのですが……」

 こうした人間模様もまた、見どころというわけではないのだろうが……。

納骨前に参列者と話す香川照之

 

本堂から出てきた参列者一同。香川照之以外にも川猿弥(写真左)や市川笑三郎(写真右)の姿も

 

納骨前に参列者と話す香川照之

 

寛永寺の駐車場到着した香川照之

 

袱紗を小脇に歩く香川照之

 

市川猿翁さんの遺影を持って歩く参列者

 

本堂に向かう香川照之と参列者