9月14日、ダイアナ妃のお気に入りだったというニットがサザビーズで、約1億6000万円で落札された。
ファッションリーダー・ダイアナ妃
白い羊の群れの中に黒い羊が迷い込んでしまったデザインは、チャールズ皇太子(当時)と“政略結婚”し、その後の結婚生活に悩まされた自身のメタファーのようだった。
'81年、世界中に見守られながらチャールズ皇太子と結婚したものの、皇太子が以前の恋人であったカミラ夫人とW不倫。その後、自身の不倫も噂されるなど、波瀾万丈の人生だった。
'97年、交通事故によって36歳という若さで人生の幕を閉じるまで、大胆なスタイルも臆せず楽しみ、ファッションを通して強い意志を表現し続けた。
「ギリギリまで攻めたファッションをしつつも、ロイヤルメンバーとしてのエレガンスさはなくさない、高いバランス力とセンスがある方です」
と、ファッションジャーナリストの高はし賀子さん。※「高」は「はしごだか」
さまざまなテイストを自在にあやつるダイアナ妃だが、どんなスタイルにも一貫して見られるのは“女性らしさ”。
「ダイアナ妃は洋服を通して自分の気持ちを伝える方。女性らしいファッションは、“私も女性なの”“こっちを見てほしい”という気持ちの表れです。離婚後、チャールズ皇太子がカミラ夫人とともにメディアに出た際に、ダイアナ妃は別のパーティーに参加。
その際、大胆に肩を出したブラックドレスに、濃いメイクという、いつもよりさらに“攻め”たスタイルにしたりと、強い気持ちを表していました」
生き様も憧れの的
当時も今も、多くの女性が憧れるファッションアイコン。
「日本の皇室は“見られる”意識と絶対的な格式を大切にして、肌の露出も最小限に抑えています。洋服のブランドも特定されにくいようにオーダーメードが多い。
一方で、イギリスの王室は、国民にフレンドリーな印象を与えるために、自国のブランドの服を積極的に着用して地元愛をアピール。
また、プライベートではスタジャンを愛用したりと“庶民派”なスタイルも多い。そういった部分も、愛されるプリンセスになったゆえんですよね」
ダイアナ妃の好んだファッションはどれも今流行しているものばかりだが――。
「最近は、洋服以外のカルチャーも、削ぎ落とされたシンプルなものが好まれています。ただ、コロナや戦争と不安定な世の中で、それも変わりつつあります。
ダイアナ妃の時代にあったような重厚さやエレガンスさのある“原点”が求められているのでしょう」
“困っている人を助けるのが私の人生の一部”と語ったダイアナ妃。ファッションだけでなく、生きざまも美しい。
「30着以上のニットをお持ちになられるなど、かなりお気に入りのアイテムのようです」