朝晩の冷え込みが厳しいこの時期。なんとなく身体がだるく、気分もすっきりしないのはなぜ?
「その不調、実は“冷え”が原因なんですよ」と教えてくれたのはイシハラクリニック副院長の石原新菜先生。
現代人の病気は、ほぼ“低体温”が原因!?
「体温が低いほど身体の免疫機能が働きにくくなる一方で、がん細胞は体温が35度台でいちばん増殖するともいわれます。
低体温が続くと血液がドロドロになり、頭痛、便秘や下痢、食欲不振、臓器の不調、アレルギー性疾患や自己免疫疾患、イライラするなど心の不調に悩まされることも。
特に女性は月経痛など婦人科系の不調を引き起こす原因にもつながります。現代人がかかる病気のほとんどが低体温が原因といってもよいほどです」(石原先生、以下同)
まさに、「冷え」は“万病のもと”なんです。
体温が1度低いだけでも代謝が大幅ダウン!
「冷え」を語るにおいて「代謝」は欠かせないキーワード。
代謝とは身体の中で糖分や脂肪などの“燃料”を燃焼させてエネルギーを作り出すこと。代謝がよければ必然的に“燃料”が使われ、血液中の糖濃度などが下がります。
逆に悪いと燃え残りが出てしまい、それが血液中に残って高血糖や脂質異常症を引き起こしてしまいます。
「例えば、暴飲暴食をしていなくても糖尿病などになる人がいるのは“冷え”で代謝が下がったことが原因。ちなみに体温が1度違うと代謝は約13%も違うんですよ」
また、細胞内にある「酵素」は体温が37〜40度あたりでよく働くので体温が高い人ほど、体内の細胞の働きがよいのだそう。
「漢方の考え方だと、冷えると気が流れないから気分が落ち込むなどメンタルにも響いてきます」
あらゆる不調を引き起こす“冷え”、あなたは大丈夫?
あなたの冷えレベルをCHECK!
以下の項目に当てはまると思うものをチェックしてください。
□年中、素足で過ごすことが多い
□デスクワークが多く、あまりしゃべることがない
□手足や、お腹(みぞおちのあたり)が冷たい
□体温が36.5度未満
□入浴は湯船につからず、シャワーですませている
□身体にぴったりした服を着ることが多い
□外食やコンビニ弁当で食事をすませることが多い
□冬でも冷たい飲み物をよく飲む
□仕事などでストレスを感じ、常に緊張感が続いている
□姿勢が悪い
□運動不足だ
□夜12時前に寝ることはほとんどなく、睡眠不足を感じている
チェックが2つまでのあなたは、ほぼ「冷え」の心配なし。3〜7個のあなたは、徐々に「冷え」始めてきているサイン。8〜12個のあなたは、本格的に「冷え」てきています。生活習慣を根本的に見直すタイミングは今!
家でラクラクできる!4大温活ルーティン
自分の「冷え」度がわかったところで、今度は「冷え」を改善するための家でも簡単にできそうな方法があれば教えてください、石原先生!
「はい、ありますよ! 毎日の暮らしに手軽に取り入れられて、続けてほしい“温活ベスト4”です」
まずは、「スパイスちょい足し」。食事にスパイスや薬味を何でも少し加えるのがお約束。
「コーヒーや紅茶を飲むときも、しょうがやシナモンパウダーをさっとひとふり。他にもにんにく、ねぎ、大根おろし、七味唐辛子、山椒など“薬味”を何にでも少し加えるだけでOKなんです!」
次に、「24時間“腹巻き生活”」を先生はオススメ。
「お腹を温めるのはとても大切なので24時間、腹巻きを! ちなみに私は、日中はアウターなどに響かないよう薄手、夜は厚手のものを使い分けています」
機能性素材のものも多く出回っているので、用途に応じて使い分けても。敏感な人は肌にやさしい綿やシルクなど天然素材が◎。
1日10〜15分の入浴も欠かせない!“お風呂”といえば半身浴で長い時間入らないと身体が温まらないイメージがあるが、
「実際には顔に汗がポツポツ出てきたら、身体が温まっている証拠。41度くらいのお湯に、10〜15分程度つかるとちょうどいいですよ!」
ちょっとハードルが高いけれど、“運動”も温活には大切な要素。筋肉で体熱の約4割が生み出されるので、しっかり筋力をつけて身体を温めたい。
いきなり激しいものではなく、例えばスクワットを1日朝昼晩10回ずつに分けて合計30回や、1日20分程度歩くだけでもOK。
「お風呂とセットにして“スクワット30回をやってからお風呂に入る”をルーティン化すると、お風呂前に身体が温まり、入浴の効果もより早く出て“一石二鳥”です」
みそも温活の心強い味方!
みそは“ジャパニーズスーパーフード”とも呼ばれるくらいアミノ酸、ビタミン類、ミネラル類などがたっぷり入っていて、代謝アップや腸内環境にも良好。
みその茶色い色素“メラノイジン”は抗酸化作用がとても強いので、病気予防にも。グルコシルセラミドも入っており、みそ汁を1日2杯、2週間続けて飲むと肌の水分量が約1.4倍になるという研究結果も!
“勘違い温活”に気をつけて!
よかれと思ってやっていた“温活”が、実はかえって体温を下げる結果に。やってしまいがちな“勘違い”な温活、まとめてみました。
勘違い:朝は一杯の白湯で、身体を温め目覚めさせる
白湯を飲んでも一時的に温まるだけ。体内にたまった水が体温より冷えると、むしろ身体を冷やし、むくみの原因にも。
正解:白湯には、しょうがなどのスパイスをちょい足し!
スパイス類が血管を広げ、熱が体内に回ります。ちなみに、しょうがは加熱・乾燥すると身体深部から温めてくれるショウガオールという成分に変化するので、“蒸ししょうが”がよりオススメ。
勘違い:厚手のニットやアウターを着て、身体を冷やさない
素材が重すぎて保温のための空気層がつぶれたり、汗をかいて体温調節しづらい盲点が。上半身を温めすぎると冷えのぼせの原因にもなるので注意。
正解:薄手の重ね着や湯たんぽを活用
下半身を重点的に温める「頭寒足熱」が効果的。特に肌着は1枚で体感温度が約1度違うといわれるので、腹巻きなど薄手の重ね着で空気の層をつくり、適宜脱ぎ着して調節するのがオススメ。
寝るときは湯たんぽ。睡眠中の身体には水分が必要ですが、湯たんぽなら余計な水分を奪いません。
勘違い:外気に触れず、暖かい部屋でのんびり過ごす
身体を冷やさないこと、リラックスすることは大切ですが、だらだらしすぎな過ごし方は体熱を生み出すのに必要な筋力を低下させることに。
正解:運動で筋力アップの“温活”を!
先述のとおり、筋肉で体熱の約4割を生み出すので少しでも身体を動かして筋力をつけたいところ。実はお風呂や運動の後には血液をサラサラにする酵素の効果が高まるという研究結果も。
運動だと気負わずウォーキングやお風呂前のスクワットなど、ぜひ日課にしてみて!
取材・文/住田幸子