「聞く力」どころか、ついに国民の声に耳を貸さない“独裁”内閣誕生の瞬間かーー。
すっかり増税イメージが定着した岸田文雄(66)首相に対して、SNSを中心としたネットでつけられた「増税メガネ」。このありがたくないあだ名に11月2日の記者会見で、
「どんな呼ばれ方をしてもかまわない。(私が)やるべきだと信じることをやる」
国民からの「増税メガネ呼び」にも開き直るかのように、あくまでも自分の、岸田内閣が掲げる政策を押し通す考えを示した。
この発言後に集計された、発足以降は下がったり上がったりを繰り返してきた内閣支持率が共同通信は28.3%、JNNは29.1%と過去最低を記録。逆に不支持はそれぞれ56.7%、68.4%と過去最高の数字となり、あらためて国民から「NO」を突きつけられている。
「このまま政権が続けば、2009年の麻生内閣に近づきそうですね」とは、選挙取材を重ねる全国紙・政治部記者。
2009年1月の日本テレビ系列による世論調査でなんと二桁を切る、支持率9.7%にまで落ち込んだ麻生太郎(83)内閣。2001年の森喜朗(86)内閣の9%に次ぐ、当時の歴代2位となるワースト記録に名を連ねた。
その麻生氏は現在、自民党副総裁として岸田内閣にも大きな影響を与えている。
麻生太郎の顔色ばかり見る岸田首相
「前政権の菅義偉内閣でも要職に就いていた“キングメーカー”気取りの麻生さんのご機嫌を損ねないよう、財務省の言うことには耳を傾けている印象の岸田さん。そんな己の信念が見えない、取り立ててキャラがない姿勢に“増税メガネ”がしっくりくる国民が多かったのでしょう。
それに経済対策と称して、給付金という名の“ばら撒き”は麻生さんのオハコで、政権末期に近づくとその場しのぎの“延命策”に必死の様相でした。今の岸田さんと重なる部分はありますね」(前出・記者)
自身の不人気ぶりを多少は気にしているのか、ここにきて「減税」を匂わせる発言を連発する岸田首相。ところが打ち出した経済対策というのが、所得税と住民税あわせて1人4万円の減税と、またも低所得者を中心とする住民税非課税世帯を対象にした7万円の給付。
この“肝入り”政策に与党に近い政治ジャーナリストは首を傾げる。
「その名の通りに住民税を免除されている世代を指しますが、内訳にすると税金を多く収めている働き盛りの30代から50代は1割、20代が2割、そして7割以上が60代から80代の高齢者(厚労省:国民生活基礎調査の統計)となります。そして、この高齢世代こそが各選挙において投票率が最も高く、岸田政権を支持する、なんら不満を感じていない世代とも言われているのです。
“選挙に行かない世代”を優遇する政策を掲げても、自分たちの得票にはつながらないことは重々承知しているでしょう。政治家にとって、支持層以外の国民は税金を搾り取るだけの便利な“ATM”に映っているのでは?」
なるほど、たとえネットで「増税メガネ」と揶揄されようと、世論調査で内閣支持率が低迷しようとも岸田首相にとって「かまわない」のかもしれない。ネット上では、岸田政権への不満とともに、
アホなのは選挙に行かない国民
《岸田政権支持率最低の28%だそうです。残りの72%は選挙行かないから選挙やっても自民党圧勝だから大丈夫です》
《最近私は、岸田さんは「選挙行かないとこうなるよ!国民が政治に関心を持たないとどんどん悪くなるよ!」というのを全力で表してるのかなって思う》
《岸田もアホだと思うけど、独裁者じゃないんだから0から100まで全て政策決定してるわけじゃないあくまでもトップなだけ アホなのは官僚政治家選挙に行かない国民全部》
「選挙に行かない国民」への不満や怒り、呆れを表す声も大きくなり始めている。それでもーー、
「事前に苦戦を伝えられながらも10月の衆参補選で1勝1敗と、しっかり1議席は確保してみせた与党。さらに投票率も長崎4区は42%、徳島・高知区32%と過去最低のところを見ると、“な? やっぱり選挙行かないだろ?”との政治家の高笑いが聞こえてきそうですね」(前出・政治ジャーナリスト、以下同)
それでも遅ればせながら、投票率を上げる動きも出始めている。茨城県つくば市は全国初のインターネット投票を実施予定で、2024年の市長選・市議選ではスマートフォンでも投票できる仕組みを導入する。いずれは国政選挙でも投票所に赴かずとも自宅で投票できる日が来るかもしれない。
「ネット投票が解禁になれば投票率は格段に上がるでしょうが、公職選挙法に絡む問題は山積みな上に、わざわざ自分たちが議席を失いかねない法改正に動くかどうか。つくば市の選挙でも、スマホ投票の一方で、政府は投票所に赴けない高齢者の自宅近くに投票箱を積んだ車を走らせる“アナログ”式を推進する予定です。それこそ迅速で積極的にデジタル推進してきたマイナンバーを使えば、ネット投票も並行してできそうですが(苦笑)」
ネット上で「増税メガネ」と揶揄するばかりではなく、今しばらくは自身で選挙に行って投票してから文句を言うべきだろう。