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 猛暑で連日エアコンを利用した今夏の電気代。予想以上に高い金額となり、家計に重くのしかかった人が多いのではないだろうか。

電気代のピークの1月、2月に向け対策を

「電気料金は一般的に夏より冬の季節が高い。警戒すべきはこれからやってくる冬のほうですよ」

 こう指摘するのは消費生活アドバイザーの和田由貴さん。

「夏も冬も家電の中で最も多く電力を消費するのがエアコンです。下のイラストのように、エアコン設定温度と外気温の差が夏と比べると冬のほうが圧倒的に大きい。それだけエアコンを使用する際にエネルギーを必要とするため、冬の電気料金が高くなるんです」(和田さん、以下同)

 世界情勢や円安による電気代値上げの家計負担を軽減する政府の補助が、“半減”されたのも懸念点のひとつ。

「政府補助は今年8月の電気使用分まで1kWhあたり7円でした。これが9月の使用分から12月は半分の3.5円に。

 電力会社が燃料価格の変動に応じて毎月の電気料金を調整する『燃料費調整額』に組み込まれる仕組みで、補助半減は電気料金の実質的な値上がりを意味します。冬の電気料金がピークを迎える来年1月、2月にこの補助金半減が大きく響いてくるでしょう」

 家族が多かったり、何も対策をしないと、電気代が5万円近くになる可能性も!

電気代、全国的に高くなるのは「冬」! グラフ出典:TERASELでんき

電気料金の差がなくなった大手電力と新電力

 そんな冬の怖い電気代に備え、どんな対策が必要か。

「電気料金プランは東京電力などの大手電力が扱う規制料金プランと、新電力会社などが扱う2016年の電力自由化以降に登場した自由料金プランに分けられます。

 前述した燃料費調整額に上限がある大手電力に対し、上限を設けない新電力は電気料金が高い印象でしたが、その状況は変わっています」

 今年6月に大手電力各社が燃料費調整額の“上限の引き上げ”を国に申請して認められ、新電力との電気料金の差が見られなくなっている。

「今なら新電力のプラン内容をチェックし、お得なものに乗り換えるのもひとつの方法といえるでしょう。乗り換えは書類上の手続きだけなので簡単ですしね」

 何より大切なのは日々の節電だが、それ以前に重要なことがあるという。

「住まいの環境を整えることです。エアコンの設定温度を下げるなど暖房費を減らす努力をしても、底冷えするような“寒い家”だと耐えられなくて長続きしません。住まいの断熱性を上げるひと工夫をすることで、冬の節電がより効果を生むのです」

 部屋も家計も安らぐ、賢い節電ワザを紹介!

夏と冬のエアコン イラスト/赤松かおり

暖房器具の効率を上げる温熱循環をとことん制する!

 寒い冬の強い味方になってくれる暖房器具。和田さんいわく、部屋の断熱性と節電効果を高めるには、使い方や製品を吟味する必要がある。

「例えば暖房器具の置き方ひとつで室内温度は大きく変わります。また、“暖かい空気”の特性を理解して、空気を循環させることによって、電気代を抑えることが可能です。各種器具などを有効に活用して部屋を効率よく暖めましょう」

電気代を節約する冬の部屋 イラスト/赤松かおり

ワザ1:サーキュレーターは冬こそ使うべし

 冬も活用したいサーキュレーター。エアコンの暖房などをつけた室内では、暖かい空気は上に向かい、人が生活する下の空間は冷たい空気になる。

「この上下の寒暖差を解消するためにサーキュレーターを暖房と併用します。室内上部の暖かい空気を下部に流し下ろすように、天井に向けて風を送るのです。もちろん、扇風機を使ってもかまいません」

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ワザ2:部屋の湿度は40~60%に保つべし

 室内の温度だけでなく湿度によっても体感は変わってくる。部屋の湿度が低い状態だと、エアコンの暖房をつけても暖かさを感じにくいのだ。

「そこで利用したいのが加湿器です。寒くなると乾燥して湿度が下がり、室内では暖房によってより下がる面も。加湿器を置き、40〜60%の湿度を保つようにしましょう。温湿度計は100円ショップでも売っています」

ワザ3:暖房器具は窓側に置くべし

 ヒーターなどの暖房器具を部屋のどこに置くか。気にしてますか? ズバリ、窓側に置くのが正解。

 「冬は部屋の窓側が一番冷えます。窓側とは逆の壁側に暖房器具を置くと、窓に当たる暖かい空気が冷やされ、床に下りて上下の寒暖差を生んでしまいます。

 ですから暖房器具は窓側に置き、壁側に向けて風を送るのがベスト。前述した暖房と併用して使うサーキュレーターも同様です」

ワザ4:カーペットの下には断熱材がマスト

 最も冷たい空気が漂っているのが床付近。そのためカーペットの下に断熱マットを敷いておきたい。

「断熱マットは冷たい風や高温を遮断するシートです。マットを敷くことで底冷えを防げますし、床付近の冷たい空気をやわらげて暖房効率を上げられます」

冷気の入り口、窓際対策をとことん実行

 家の中で熱の出入りが最も激しく、家の中の保温性を上げるカギとなるのが「窓付近」。

 暖房などで暖めた室内の熱が窓からどんどん逃げてしまうのを防ぐ必要があるという。

「夏の場合、外からの太陽の熱を室内に入れないように、すだれやよしずを置くなど窓の外側で対策を打ちます。冬は逆。窓の“内側”で対策を打つのがポイントです。同時にそれは外からの冷気の侵入を防ぐことにもなります」

4つのワザを駆使した“完璧窓” イラスト/赤松かおり

ワザ5:丈の長い厚手のカーテンで冷気をシャットアウト

 夏と同じカーテンをそのまま使用している人が多いのでは?

冬物カーテンに掛け換えて、室内の暖気および外からの冷気をシャットアウトしましょう。窓に掛けるカーテンを丈の長いものにしたり、厚手のものにすること。特に冷気に有効なのは丈の長いカーテンです。長さの目安は床に引きずるくらいでもいいかも」

カーテンの衣替え割合

ワザ6:窓には断熱シートを張る

 二重窓にするなどの窓の断熱対策は高額な工事費用を必要とする。窓に断熱シートを張る程度なら、費用は安く、自身でも手軽にできるだろう。

「断熱シートは100円ショップやホームセンターなどで売っています。薄いシートですが効果は高いですよ」

ワザ7:シャワーカーテン利用で二重の厚みを作る

 二重カーテンは手作りすることもできる。100円ショップなどで売られているシャワーカーテンを活用する方法だ。

「カーテンとレースカーテンの間に、シャワーカーテンを取り付けます。レースカーテンのレールにひっかけて設置すれば見た目の変化もありません。カーテンに厚みを持たせることで、熱・冷気の出入りを防ぐのに効果的です」

ワザ7:シャワーカーテン利用で二重の厚みを作る

ワザ8:窓枠に結露防止シートやパネルを置く

 窓にブロックパネルを設置するのもおすすめ。

 寒さ対策とともに、結露防止になる。冬の結露は窓をより冷やす原因ともなるため、対策は必須。

「窓の下に立てかけるだけなので使い方は簡単。これも100円ショップやホームセンターなどで売っています」

省エネ家電を検討するなら「補助金」を活用しよう!

 エアコンなどの家電を10年以上使用していたら、省エネ家電に買い替えるのも手。近年の家電は省エネ性能が高く、買い替えによって節電効果が望めるからだ。その際、自治体で行われている「省エネ家電購入の補助金制度」を利用したい。

 例えば東京都が実施するのは「東京ゼロエミポイント」。省エネ性能の高いエアコン、冷蔵庫、給湯器、LED照明器具に買い替えた都民に、1台あたり最大2万6000円分のポイントが支給される(2024年3月末期限)。

 自身の自治体の実施有無をネットで要チェック!

省エネ家電を検討するなら「補助金」を活用しよう!

和田さんおすすめ「暖房グッズ」

1.パーソナル暖房グッズ

 パーソナルなエリアを暖めるグッズとして推すのが「電気ひざ掛け」。「おすすめはコードレス&ポンチョのように着られるタイプ。キッチンで料理をするときなど、いつでも、どこでも使えるのが利点です」

2.気化式加湿器

 加湿器には超音波式、スチーム式などの種類がある。和田さん推薦は「気化式」。「水を含ませたフィルターにファンで風を当て、自動的に気化する仕組みのものです。電気代が非常に安く、安定した湿度を保てます」

3.サーキュレーター

 サーキュレーターは夏はもちろん、冬の節電にも大いに役立つ。

「部屋を効率よく暖めるのに、エアコンとの併用は欠かせません。安いもので1万円以下と手頃な値段で購入できるのでぜひ」

和田由貴さん●消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザーなどの資格を持ち、暮らしや家事の専門家として多方面で活動。環境カウンセラーや省エネ・脱炭素エキスパートでもある。2人の子どもを持つ現役の節約主婦で、日常生活に密着したアドバイスを得意とする。著書多数。
教えてくれたのは……和田由貴さん●消費生活アドバイザー、家電製品アドバイザーなどの資格を持ち、暮らしや家事の専門家として多方面で活動。環境カウンセラーや省エネ・脱炭素エキスパートでもある。2人の子どもを持つ現役の節約主婦で、日常生活に密着したアドバイスを得意とする。著書多数。

取材・文/百瀬康司

 

電気代を節約する冬の部屋 イラスト/赤松かおり

 

4つのワザを駆使した“完璧窓” イラスト/赤松かおり

 

夏と冬のエアコン イラスト/赤松かおり

 

電気代、全国的に高くなるのは「冬」! グラフ出典:TERASELでんき

 

カーテンの衣替え割合

 

※写真はイメージです

 

ワザ7:シャワーカーテン利用で二重の厚みを作る

 

省エネ家電を検討するなら「補助金」を活用しよう!