現在放送中のドラマ『マイ・セカンド・アオハル』(TBS系)では、広瀬アリスがお金も学歴もない30歳ドン底主人公に。7月クールでは『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)で森七菜が仕事に家事にと貧しい家庭を支えるサップトレーナー女子を演じたり、4月クールでは『王様に捧ぐ薬指』(TBS系)で橋本環奈が家族を守るべく結婚を選んだ“ド貧乏シンデレラ”を演じるなど、近年、貧困ヒロインを主人公にしたドラマが相次いでいる。なぜ、こうした設定が増えているのか?
カフェや居酒屋にも行かず
「こういった作品はコロナ禍後に少しずつ目立つようになりました。貧困という世相を反映したような設定のほうが、視聴者的にも共感しやすいからだと思います」
こう教えてくれたのは、さまざまな媒体でドラマに関する記事を執筆するコラムニストの小林久乃さん。特に増えたのは物価高になった、この1、2年だと話す。
「『ロングバケーション』(フジテレビ系)など、こういった設定って昔からずっとありますよね。昔は、いくら貧乏でも友達とカフェや居酒屋に行くシーンが必ず出てきたんですが、今のヒロインはそれすらしない。食事のシーンがあったとしてもほとんど自炊だし、友達と飲むのもコンビニで買って外飲みみたいな(笑)。そこまで世相を反映しなくてもって思っちゃいますね」(小林さん、以下同)
実家など家族も貧乏で、それをヒロインがひとりで背負ってしまうケースも目立つそう。
韓国ドラマとの違い
「特に切実だったのが4月クールに放送された『日曜の夜ぐらいは…』(テレビ朝日系)。清野菜名さん演じる主人公が母親(和久井映見)と団地でふたり暮らしをしていて、お金がないからファミレスのバイトのシフトを増やしてばかり。しかも、自分のせいで母親が車いす生活になってしまったから、介護までしなくちゃいけないという貧困にヤングケアラーの設定も。
『真夏のシンデレラ』でも、介護ではないにしろダメ親のためにヒロインがひとりで家族を背負い込んでいましたが、確かに現実にもある話だと思います。ただ、こういった作品はたまに見るのはいいのですが、あまり増えすぎると、視聴者も離れてしまうのでは」
『シスターズ』など、貧困ヒロインを主人公にした作品も多い韓国ドラマの影響も少しはあると小林さん。
「ただ日本はリアルに落とし込みすぎている感じがします。韓国ドラマって内容が振り切っているじゃないですか。だから少し非現実的でもエンターテインメント作品として見られる。日本もそういった部分を取り入れてもいいんじゃないかなと思います」
今後も貧困ヒロインドラマは増えていくのか?
「バブル期にはトレンディードラマが流行ったりと、ドラマは時代を映す鏡なんて言われたりしますが、今のドラマは不安な世の中の現実を、そのまま表現している感じがします。ドラマなんですから、少しは夢を与えてほしいじゃないですか。例えば恋愛ものにしても、デートシーンはラーメン屋ではなく表参道のカフェ(笑)。そういう作品を期待したいです」