11月6日、東京都にある『国立科学博物館』が会見を開き、クラウドファンディングによって9億円が集まったと発表した。光熱費の高騰などにより、500万点以上の膨大な数のコレクションを収集・維持する資金が危機的状況に陥り、8月7日からクラウドファンディングを実施していた。
「設定された目標金額の1億円を早々に達成した後も寄付が寄せられ、最終的には9億円の調達に成功したわけです。多くの支援者が現れたのはよいことですが、“そもそも国や都がもっとお金を出すべき”と、国立でありながらクラウドファンディングに踏み切らなければならなかった状況に疑問の声も挙がっています」(全国紙記者、以下同)
国立科学博物館の問題に限らず、日本では“文化予算”の少なさが、たびたび指摘されてきた。
「K-POPアイドルたちが世界中を席巻している韓国では、文化芸術の海外発信や文化財保護などに使われる文化予算が充実しています。2020年の1年間で、金額にして日本の約3倍、政府予算に占める割合では約12倍と大きな差があるんです。欧米のように、アートやカルチャーへの寄付文化が浸透していない日本では、行政が下支えする必要があると言われてきました」
東京都が主催した6億円のイベント
そんな声を反映してかどうか、11月3日の『文化の日』から11月6日まで開催されたのが『TOKYO FASHION CROSSING(ファッション クロッシング)』。東京都が主催したイベントで、都のホームページによれば《街全体でファッションやアパレルを楽しむ気運(※ママ)を醸成し、産業を活性化することを目的》として企画されたという。
「冨永愛さん、ゆりやんレトリィバァさん、kemioさん、テリー伊藤さんをアンバサダーに起用し、丸の内、銀座、渋谷エリアで“東京発”のブランドによるファッションショーを開催しました。東京都は、このイベントに6億円の予算を計上しており、力の入れようが伝わってきます」
普段は業界関係者向けに行われているファッションショーが珍しかったためか、銀座松屋通りで開催されたショーには多くの観覧客が集まっていた。ところが、
「《たまたまやっていたから物珍しさに見ていた》、《冨永さんがいたから見てみた》、という人がほとんどだった印象です。ファッションショーのほかにも、駅前の一等地にある会場を何か所も押さえて、ファッションについてのさまざまな展示を行っていましたが、どこも盛況だとは言い難く……。ファッションに興味のある一部のファンだけが足を運んでいたのではないでしょうか」(ファッション誌編集者、以下同)
Xとインスタのフォロワーは1000人以下
週刊女性PRIMEも11月5日の日曜日に丸の内の展示場を訪れてみたが、休日にもかかわらず数人程度の来場者のみ。会場までの案内も少なく、フラリと立ち寄るのは困難に思えた。さらに、
「事前の告知が十分ではなかったのかなと。イベントの公式SNSも運用していますが、Xとインスタグラムのどちらも1000人以下のフォロワーしかいません。“街全体でファッションを楽しむ”というイベントの目的が達成されたかについては、疑問が残ります」
東京都の担当者に問い合わせたところ、
「事業全体で、6億円の予算を計上しています。事業の認知を高めるという面では、効果的であったと認識しております」
とのことだった。
来年も開催するのであれば、まずは告知をしてほしい。