《身内に不幸があり、自分の判断で急遽日本に戻って来ました》
11月3日、YOSHIKIはInstagramに喪服姿の自撮り写真とともに、こんなメッセージを投稿した。アメリカのNPO団体の授賞式に出席するため、サンフランシスコに滞在していたYOSHIKI。その予定をキャンセルしてまで帰国したのは、X JAPANのメンバー、HEATHさんの訃報を聞いたからだったーー。
報道では、彼の急逝を伝えるとともに、死因については今年に入ってからがんが発見されたという。しかし、ミュージシャン仲間にもこのことは知らされていなかったようだ。'80年代後半、HEATHさんと『パラノイア』というバンドでともに活動した、ボーカルのNOVは、
「本人とはここのところ会ってなかったけど、病気なんて話、全然聞いてなくて……。知り合いからのLINEで記事のことを知って、“え? 何の話ですか?”って。だって、8月にYOSHIKIさんのイベントにゲスト参加したじゃないですか。その記事を見て“Xが活動していなくても、メンバー一緒にやっているんだ”って、僕は嬉しくなったんですよ。本当に逝くには早すぎますよ」
ステージの姿とは違って、とても穏やかな方
と、寂しそうに語る。また、HEATHさんがX JAPAN解散後に活動していたバンド『RATS』でサポートギターとして一時期メンバーだったKENTAROもNOVと同様、ツイートされた記事で彼の死を知ったという。
「人当たりのいいというか、すごく穏やかな方でした。ステージで見せたクールな感じと素顔は、ちょっと違うかもしれないですね。
最後に会ったのは……、5年くらい前に幕張メッセでのMステの年末特番の現場かな。僕は浜崎あゆみさんのサポートで入っていて、HEATHさんはX JAPANで出演したとき。廊下でお会いして“久しぶり”って……。
寂しいです。どうしようもないことだけど、ただただ寂しい。HEATHさんの立場で考えたら、まだまだやりたいこともあったと思います。もし今、声をかけられるなら、あっちに行っちゃったけど、そこで存分にやってください、かな」
誰かの悪口を言っていること、聞いたことない
ステージを降りたときのHEATHさんの“素顔”を、歌舞伎町でロックバーを経営していた力也さんはこう思い返す。
「X JAPANの解散から再結成する間のころ、僕のお店にちょくちょく来てくれていたんです。もともと、あまりお酒を飲むほうではなく、全然乱れもしないし、キレイな飲み方でしたね。
X JAPANという成功したバンドのメンバーなのに、それで天狗になって、ほかのバンドを見下したりもしないし。HEATHさんが誰かの悪口を言っていること、聞いたことないですから」
また、この店でHEATHさんとよく会っていたという業界関係者は、彼のお茶目な部分をこう明かす。
「自分がSかMかわかる腕噛み診断、なんて言って酔ったお客さんに僕の腕を噛ませていたら、“オレはどっち?”と甘噛みしてくれました(笑)。本当に気さくな人で、入院した常連客が退院して店に来たとき“大丈夫ですか、心配してたんです”と言葉をかけたり。ただ、酒場で撮影はさせないように徹底していましたね。事務所から言われていたのと、自分の肖像権を商品だと自覚するプロ意識の両方があったと思います。
お酒は、X JAPANに入ってからYOSHIKIに鍛えられたそうです(笑)。普段は焼酎を飲んでいましたが、『Lynx』を一緒にやっていたISSAYさん、『Dope HEADs』を一緒にやっていたPATAさんと飲むときは、シャンパンでしたね」
ミュージシャン仲間や関係者からは、穏やかで気さくというHEATHさんの人柄のよさしか聞こえてこなかった。
突然この世を去ったHEATHさんだが、雲の上で先に逝ったhideさんやTAIJIさんと会えたのだろうか。もしかしたら3人で、活動休止状態のX JAPANの未来を憂いているかもしれないーー。
<取材・文/蒔田 稔>