現在放送中の『ブラックファミリア〜新堂家の復讐』(日本テレビ系)では、板谷由夏が48歳にして連ドラ初主演。『セクシー田中さん』では38歳の木南晴夏、『コタツがない家』(共に日本テレビ系)では42歳の小池栄子がゴールンデンタイムの連ドラに初主演するなど、10月クールはアラフォーの個性派女優が相次いで主演に抜擢されている。
50代以上を見ても、『くすぶり女とすん止め女』(テレビ東京系)で53歳の西田尚美が主役に。なぜ今、バイプレーヤーのベテラン女優の主演での起用が増えてきているのか?
「ドラマだけでなく映画もそうなのですが、日本は海外と比べて圧倒的に40代以上の女優の主演作が少ないんです。Netflixなどを見ると韓国やフランスなど、アラフォー以上の女優を主演に起用した作品がすでに当たり前のように作られている。昔と違って今は多様性の時代。そういった時流が、日本のドラマ界にも来ているのではないでしょうか」
そう教えてくれたのは、ドラマに関する記事をさまざまな媒体で執筆するコラムニストの小林久乃さん。近年、ドラマが量産されるようになったのも要因のひとつだそう。
若手・人気俳優は“かぶる”かもしれない
「私が調べたところ今クールだけで約49本も新作ドラマが放送されています。若手の人気ある俳優ばかり起用していたら、他局とネタがかぶるかもしれないし、キャスティングも大変。
その意味でも、これまでゴールデンで主演を務めてこなかったアラフォー以上の女優を起用することで話題にもなりますし、何より演技がうまいので安心じゃないですか。視聴者としてもこれまで頑張ってきての主役ですから、知っていたら応援したくなる。見てみようという気持ちにもなりやすいんじゃないかと思います」(小林さん、以下同)
アラフォー以上の女優を起用することで、「特にテレビをよく見る世代の女性が共感し、親しみやすい作品が増えるのでは」と小林さん。
今の時代を反映するようなホームドラマ
「ホームドラマって昔から『寺内貫太郎一家』の小林亜星さんじゃないですけど、頑固親父とか男性を主人公にした作品が多いんです。それを、『コタツがない家』ではコメディータッチの演技も上手な小池さんを主演にしたことで、ダメダメな夫・息子・父親を養うためバリバリ働く母親という、笑って泣ける今の時代を反映したようなホームドラマになった。
実際にこのドラマみたいな家庭は増えているようですよ。私の周りでも『妻にいろいろツッコまれそうだから、一緒に見られなくなった』という人もいました(笑)。40代以上はテレビで育った世代。そういった視聴者層に刺さる新たなドラマが、この先も誕生するのではと思います」
今後もバイプレーヤーとして活躍してきた女優を、主演に抜擢する流れは続くのか?
「来年4月に江口のりこさんの民放連ドラ初主演作『ソロ活女子のススメ』(テレビ東京系)の続編が決まりましたし、こういった傾向はあると思います。個人的にはほぼ毎クール、ドラマに出演している松本若菜さんや、ブルーリボン賞も受賞しているMEGUMIさんにも続いてほしいです。演技力もあり、脇でも輝いている。ゴールデンタイムでの主役を期待しています!」