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 ふと鏡を見たとき、「フェイスラインがぼやけている」「顔が丸く見える」「首まわりがたるんできた」と感じることはありませんか?

 そういった顔まわりのたるみが、“老け顔”に見えてしまう原因になっているかも。

“老け顔”の原因は表情筋の筋力低下

 画像解析の専門医であり、顔のたるみの原因について研究している、奥田逸子先生にお話を伺ったところ、

「顔だけではなく身体全体の脂肪は、皮下で均等についている状態だと、たるみません。ですが、年齢を重ね脂肪のつき方が変化してくると、重力に従って垂れ下がってきます。

 特に顔は目立つので、意識をして対策をしないと、年齢とともに重力に負け、プラス10歳に見えてしまうことも……」(奥田先生、以下同)

 顔のなかでも、特に老け見えしやすいポイントが“あごまわり”だという。

「若いときは、ケアしなくてもある程度シャープなフェイスラインをキープできますが、年齢を重ねるとたるんで、気づくと二重あごになっていることも」

 あごがたるみやすいのには、理由があるという。

「顔には筋肉が30種類以上もあります。表情筋と呼ばれ、なかには、衰えると二重あごやフェイスラインのたるみにつながる筋肉も」

 表情筋も足腰の筋肉と同じように、使わなければ衰えてしまうという。

「表情筋が衰えると、顔の皮膚の下の脂肪も重力に負けてたるみやすくなります。なかでも、広頸筋(こうけいきん)や大頬骨筋(だいきょうこつきん)が衰えると、あごの下がたるみ、二重あごの原因になるので要注意。

 顔の土台である、表情筋と、表情筋と連動している表在性筋膜が良好な状態を保っていると、脂肪組織がしっかりと支えられ、フェイスラインがたるむのを防いでくれます」

広頸筋と大頬骨筋の位置 イラスト/上田英津子

 表情筋は、その名のとおり、笑ったり、泣いたり、怒ったり、人がさまざまな表情をつくるときに使う筋肉。つまり、表情を通したコミュニケーションが少ないと、年齢に関係なく、衰えてしまう。

 長いマスク生活では、顔の半分が隠れていたため、表情をつくるという意識が薄れがち。無意識のうちに顔に緊張感がない時間が長くなり、表情筋の筋力が低下したことで、老け見え要素を増やしてしまったのだろう。

スマホの使いすぎもたるむ原因に

 奥田先生は、「ふだん何げなく行っている行動にも、老け顔をつくる重大な要因が潜んでいます」と話す。

「スマートフォンの長時間利用です。理由は、使用するときの姿勢。おそらく、スマートフォンを使うときは画面を見るために下を向いていたり、無意識に猫背になっていたりすることが多いのではないでしょうか。

 本や新聞を読むときもです。前述の広頸筋や大頬骨筋の筋力が衰えている状態で、猫背やうつむいた姿勢を続けていると、重力の負荷を強く受けてフェイスラインが崩れる原因になってしまいます」

 最近では、たるみやしわが目立ち、年齢以上に老けて見える顔のことを「スマホ二重あご」「スマホ首」なんて呼ぶこともあるという。

 姿勢の悪さは、顔や首まわりの血液やリンパの循環を妨げる原因にも。むくみやすくなったり、皮下脂肪もつきやすくなって、より老けた印象を与えてしまうのだ。

1日1分間でOK!あご筋トレで若返る

 では、老け顔を改善、予防するための方法とは?

「表情筋を鍛えること。表情筋は衰えやすい反面、とても薄いため短時間でも鍛えれば簡単に筋力をつけることができます。例えば、1日1分間のプチトレを2週間ほど実践するだけでも、効果が期待できるのです」

 40歳を過ぎて、顔の老化を感じ始めたAさんは、奥田先生考案の表情筋を鍛える体操を実践し、「楽にできるのに、すぐ効果を実感しました!」と話す。

 Aさんも実践していた、表情筋を鍛える2種類のセルフケア法を紹介するのでぜひ試してみてほしい。どちらも1分あれば、実践することができる。

「年齢のせいにして諦めずに、まずは一度ためしてみてほしい。『顔ってここまで若返るんだ!』ということを実感していただきたいです」

ニパニパ体操 目安:週1〜2回※慣れてきたら、回数を増やして行う

 あごの筋肉を鍛えて顔のたるみを解消!

「ニパニパ体操」イラスト/上田英津子

(1)口を閉じ少し口角を上げる

(2)口角を上げ「ニッ」と笑う

(3)筋肉が硬くなっているか指で押して確認。5秒間キープ

(4)パッと力を抜き口を閉じる。1をキープしたまま、2、3を5〜10回繰り返す

《ポイント》頬骨の下に指を軽く当て、頬の筋肉がしっかり動いているかどうかを確認する。

ウーイー体操 目安:週1〜2回※慣れてきたら、回数を増やして行う

 首の筋肉を鍛えて二重あごを改善!

「ウーイー体操」イラスト/上田英津子

(1)口を閉じた状態で上を向き、口をとがらせて「ウー」と言いながら5秒間キープする

(2)顔を正面に戻し口を横に広げて「イー」と言いながら5秒間キープする。1、2を5〜10回繰り返す

《ポイント》「ウー」のときはできるだけグッと口をとがらせ、「イー」のときに首の筋が出るくらい口を横に広げる。

1か月実践したAさん(40代)

 40歳を過ぎて、ふと鏡を見たとき、「老けたと感じた」と話すAさん。「ニパニパ体操」「ウーイー体操」などを実践すると、「筋肉がほぐれた感じ。翌日、頬が筋肉痛になって、効果もしっかり実感できました」と話す。

 1か月続けた様子をCT画像で見ると、フェイスラインがくっきりとしたのがわかる。

1か月実践したAさん(40代)※画像は『すぐ実感!「マイナス10歳」カオキン体操』(青志社)より
奥田逸子先生●加齢画像研究所ONI所長・医師。画像解剖学の観点から、自らの顔を実験台に研究し続け、自分でできる運動法を考案・普及している。著書に『すぐ実感!「マイナス10歳」カオキン体操』(青志社)。
教えてくれたのは……奥田逸子先生●加齢画像研究所ONI 所長・医師。画像解剖学の観点から、自らの顔を実験台に研究し続け、自分でできる運動法を考案・普及している。著書に『すぐ実感!「マイナス10歳」カオキン体操』(青志社)。

(取材・文/鶴町かおり)