沢尻エリカが復帰する。来年2月の主演舞台『欲望という名の電車』のポスターが公開され、共演者の伊藤英明に抱擁される姿が注目された。
今から4年前の11月に麻薬取締法違反で逮捕されたあと、引退したと思っていた人はビックリしただろう。彼女自身、公判では、
「女優への復帰は考えていません。復帰する資格はないです」
と、語っていた。ただ、所属先のエイベックスとの契約は継続され、今年8月にはその会長である松浦勝人の動画チャンネルに登場。復帰近し、をにおわせてもいた。
なお、伊藤とは「初共演」とも報じられているが、2020年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』で共演するはずだった。異母兄妹の設定で、10回分ほど収録済みだったという。しかし、彼女が逮捕されたことにより、幻の共演になってしまった。
伝説の「別に……」事件
また、沢尻のお騒がせといえば、'07年の「別に……」発言というのもある。主演映画の舞台挨拶で腕組みしたまま無愛想な態度を取り続けた姿を覚えている人も多いはずだ。一緒に登壇していた中には、共演者かつ当時同じ事務所の先輩だった竹内結子さんがいて、彼女の代わりに報道陣に謝ったりしていた。
その2年後には「ハイパーメディアクリエイター」の高城剛と結婚。4年で離婚したが、一風変わった夫婦生活が話題になった。
沢尻の不祥事のおかげ
と振り返ってはみたものの、筆者はこの人に何の思い入れもない。それゆえ、今回の復帰も「別に……」という感想だが、ちょっと感謝したいこともある。
まず、彼女が大河を降板したことで代わりに川口春奈が起用され、くすぶり状態から浮上できたこと。これが'22年度前期のNHK朝ドラ『ちむどんどん』でのメインキャスト入りにもつながり、川口には素晴らしいターニングポイントとなった。
また、沢尻は当時、P&GとのCM契約を4年にわたって結ぶ予定だったとされるが、逮捕で破談に。その代わりに起用されたのが吉岡里帆で、2年後には松本まりかも共演するようになった。
沢尻の不祥事のおかげで、好きな女優たちをいっぱい見られるようになったのである。
ところで、吉岡や松本は最近の言葉でいうところの「あざとかわいい」系、川口は「サバサバ」系に分類できるだろう。沢尻もサバサバ系のイメージで、バラエティー番組では「芸能界を代表するサバサバ女子」と紹介されたことも。だが、実はそうでもないというか、わりと流されやすい人なのではという気がしている。
例えば「別に……」騒動のあと、ワイドショーで泣きながら謝罪したことについて、3年後に「あれは間違いでした」と告白。
「前の事務所が謝罪しなくてはいけないと言った。結局、私が折れて」
と、本音を明かした。
蜜月時代は夫に言われて禁煙するほど夫唱婦随的だった結婚生活についても、離婚協議中「あまりいい思い出はない。悪夢みたい」と振り返っている。
そして、今回の「復帰は考えていません」からの復帰だ。
かつての江角マキコのように、サバサバ系で売っていた人がそうではない一面を報じられ、やがて消えていった例もある。サバサバ系を見る世の中の目は、以前より肥えてきたのではないか。
もちろん、沢尻ならではの華を好む人にとっては、今回の復帰は喜ばしいニュースだろう。ただ、それ以外の人にとっては「別に……」ということになりそうだ。