あのちゃん(本人のインスタグラムより)

《他人からの恥ずかしくないの?とか数年後の心配とかまじでいらない、別にどうだっていいじゃん。ダメになったらダメになるし、もうダメなまま生きてるし、それの何がダメ?他人の人生の心配してないでまずはテメェの人生恥じないようになってから生き返ってみて》

 これは10月31日、ブッ飛んだ不思議ちゃんキャラでブレイクしているアーティストの「あの」(年齢非公表)が、自身に寄せられるアンチからの声に反論する形でX(旧Twitter)に投稿したコメントだ。

 5.2万以上の「いいね」(11月15日時点、データは以下同)を集めるなど反響を呼んでいる。

売れっ子あのちゃん、次なるステージは?

「あの」は2021年10月、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の企画で朝の情報バラエティ番組『ラヴィット!』(TBS系)に出演し、人気芸人たちから遠隔操作されながら大喜利回答していくという放送回で注目度が一気に上昇。

 また、昨年11月にリリースした曲『ちゅ、多様性。』がアニメ『チェンソーマン』のエンディングテーマに採用され、TikTokでバズッたことでアーティストとしても高い人気を獲得。同曲のYouTube再生回数は4900万回を超え、今年の『NHK紅白歌合戦』への初出演も決まったばかりだ。

 トークバラエティー『あのちゃんの電電電波♪』(テレビ東京系)といった冠番組まで持つなど、引っ張りだこの売れっ子となっているのだ。

「唯一無二のカリスマ」の声があがる一方……

 そんな「あの」はよくも悪くも世間から大きな注目を集める存在となっており、Xにはさまざまな声が寄せられている。

《あのちゃんは唯一無二のカリスマ。》

《あのちゃんのコメントほんと個性的で好き》

《あのちゃん良いですよね ジャンルあのちゃん 職業生き様 みたいに唯一無二な感じが》

《あのちゃん 可愛い過ぎて何回も観てる あのちゃんはやっぱり唯一無二の存在なんだな!》

 このようにポジティブな意見もあれば、次のようにネガティブな意見も少なくない。

《今のあのちゃんを見てると数年後に「あの時はキャラを演じさせられてて辛かった」的なカミングアウトをしてる姿が目に浮かんでせつない》

《すげー昔に不思議ちゃんブームってのがあって、そこに篠原ともえとか、演技の上手い釈由美子とかが出てて、その後、そんな過去忘れたかのように普通の人に戻ってるんだよな。 あのちゃんも今はあのキャラを演じてるんだけど、数年後飽きられたら元に戻るんだろうな》

 冒頭の「あの」自身のXのコメントは、こういった後者の声へ異を唱えた投稿だったのだ。

「あの」の存在は芸能界のある類型に分類できる

あのちゃん

「あの」自身の反論はごもっともだし、彼女自身が芸能界で売れ続けることにたいして執着していないようなので、アンチたちの声は本人にしたら大きなお世話でしかないのだろう。

 それを大前提に語らせていただくが、本人は自分の将来をすでに達観しているとしても、「あの」をこれからもずっと応援していきたいというファンのなかには、10年後も20年後も第一線で活躍していてもらいたいと考えている人もいるのではないだろうか。

 そういった視点で考えると、確かに今のスタイルのまま芸能界で売れ続けるのは難しい気はする。

 彼女の存在を「唯一無二」と考えているファンは多いだろうし、局所的に見ればほかのどのタレントともカブッていないキャラクターとなっている。

 しかし芸能界の歴史を俯瞰して見て、大局的な視点で考えると「バカっぽいけど実は頭がいい女性タレント」という類型に分類されていることがわかる。

 数年に一度ぐらいはこのタイプでブレイクするタレントは出てくるもので、大きくジャンル分けをすると古くは小倉優子(40)やローラ(33)、近年なら滝沢カレン(31)や王林(25)などと系統が同じ。

 滝沢カレンや王林は電波系のキャラではないので、タレントとしてのパッケージング(見せ方、売り方)は違えど、“一見バカっぽく見えるが地頭がよく、確固たる信念を持っている”といったファクターで通底しているのである。

需要減を防ぐとしたらリブランディングが必須?

 そう考えると、「あの」は「突然変異で登場した過去に類を見ない存在」というわけではなく、脈々と芸能界で受け継がれてきたキャラクターの“席”に、ちょうどすっぽりおさまって座っている状態だと考えられる。

 彼女の出現は“青天の霹靂”のミラクルというわけではなく、長い芸能史で何度も繰り返されてきたということだ。

「あの」は年齢で自分のやっていることを批判されたくないという理由で、年齢非公表にしているそうで、本人のそのポリシーは素晴らしいし尊重されるべきだろう。

 だが、日本は特に年齢によって偏見や差別をするエイジズムが根強く残っている国のため、どうしても大衆からは年齢(推定年齢)で判断されることが多いに違いない。

 そのため「あの」が現在の喋り方や振る舞いのキャラクターのまま変わらずにいると、日本の芸能界では需要が減少していく可能性は高いだろう。

 これも余計なお世話なのは重々承知しているが、「あの」がこれからも芸能の世界で活躍し続けるには、ローラや梨花(50)のようにおバカっぽく見えてしまう言動は封印し、カリスマモデル路線にリブランディングしていくのがいいのではないだろうか。

 もしくは活動拠点をエイジズムが薄い海外に移し、ワールドワイドな活躍を目指すのもいいかもしれない。

 パブリックイメージを「かわいい」から「かっこいい」に変えていければ、「あの」は10年後、20年後も芸能界の第一線に君臨し続ける可能性を秘めている。

 本人は芸能界に未練がなかったとしても、ファンたちのためにも、これからもずっとカリスマでいてもらいたい。

堺屋大地●コラムニスト、ライター、カウンセラー。 現在は『文春オンライン』、『CREA WEB』(文藝春秋)、『smartFLASH』(光文社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『日刊SPA!』などにコラムを寄稿。これまで『女子SPA!』(扶桑社)、『スゴ得』(docomo)、『IN LIFE』(楽天)などで恋愛コラムを連載。LINE公式サービス『トークCARE』では、恋愛カウンセラーとして年間1000件以上の相談を受けている(2018年6月度/カウンセラー1位)。公式Twitter:https://twitter.com/sakaiyadaichi