旧ジャニーズ事務所の性加害問題で、被害者が自ら命を絶つという最悪の事態が起きてしまった。
「ジャニー喜多川氏から性加害を受けたと訴える『当事者の会』のメンバーだった40代の男性が、大阪府内の山中で首を吊って亡くなっているのが見つかりました。遺体の発見現場では遺書も発見されたことから、警察は“事件性なし”と判断しています」(全国紙社会部記者)
50年以上にわたって、ジャニー氏により行われてきた日本の芸能史上最悪の性加害。旧ジャニーズ事務所は、今年9月7日に会見を開き、その事実を全面的に認めた。さらに10月2日に開いた会見では、『SMILE―UP.』に社名を変更したうえで、既存のタレントと新たに契約を結ぶ新会社を設立することを公表。当初、新会社の社長には東山紀之が就任するとした。また、被害者への対応について同社の弁護士は、
「9月21日以降、順次、社長の東山が被害に遭われた方と直接お会いして、性加害、それに関するこれまでのジャニーズ事務所の対応について謝罪させていただく」
と語っていた。しかし10月9日、同社は自社の公式サイトに《被害者でない可能性が高い方々が、本当の被害者の方々の証言を使って虚偽の話をされているケースが複数あるという情報にも接しており、そのような事態を招かないためにも、報道機関の皆様におかれましては、告発される方々のご主張内容についても十分な検証をして報道をしていただきますようにお願い申し上げます》とのコメントを発表したのだ。
スマイル社の対応に不満も
「一方、40代男性の遺族が弁護士を通じて発表したコメントによると、『当事者の会』の男性が亡くなったのは10月13日とされています。男性は、今年5月に旧ジャニーズ事務所に電話で自身の被害について訴えたところ、同社からは“担当者が必ず折り返す”と伝えられていた。しかし、それから5か月間、同社からは一度も連絡がなかったことも遺族はコメントを通して明かしています」(スポーツ紙記者、以下同)
今年9月、男性は一部メディアにて実名で告発したが、その後も連絡がくることはなかったという。
「こうしたSMILE―UP.社の対応に加え、未成年のときに受けた性加害によって抱えたトラウマが再燃したこと、世間からの誹謗中傷が過熱したことで、男性の心労は極限に達し、自ら命を絶ったとされています」
男性は、その存在を無視され続けただけでなく、心ない誹謗中傷に晒され、苦しい思いを抱え続けた。もし、SMILE―UP.社が約束どおりに一度でも連絡をしていれば、この悲劇は防げたのではないか─。
性被害を受けた元ジャニーズJr.のA氏は、こう語る。
「性加害問題が連日報道され、多くの元ジャニーズやその家族が二次被害を受けています。そのため、僕としては1日も早くこの問題が鎮まることを願っています。そうすれば二次被害も減っていくはず」
弁護士が間に入ったことで遅れ
現役のタレントも、その影響から仕事を失う可能性がある。こうした被害を懸念してか、岡田准一、二宮和也、生田斗真などが続々と独立している。その一方で経営面の問題から、東山は新会社の社長就任を辞退。芸能活動を引退し、被害者の補償に専念していく形となった。
現在の被害者救済の動きはどうか。元裁判官の弁護士3人から構成される救済委員会からの聞き取りを、A氏はすでに終えたという。どのような話し合いが行われたのか。
「僕は9月下旬にSMILE―UP.社の公式サイトにある補償申請フォームから被害内容を送ったところ、11月中旬に都内の法律事務所で聞き取りをされました。面談では、“SMILE―UP.社が直接やりとりすれば早いのですが、救済委員会が間に入ったことで遅れが生じているんです”との説明もありました。
弁護士からの聞き取りは、申請フォームに入力した被害内容をもとに確認していくという流れです。被害については、かなり細かいところまで聞かれたうえで、現在抱えている悩みについても質問を受けました」(A氏、以下同)
会見では“法を超えた補償をする”との言葉もあったが、補償金額について具体的な金額の提示はあったのか。
「具体的な金額の提示はありませんでしたが“過去の日本の裁判例を上回る金額にはなると思う”と話していました。1か月以内には、補償金額がいくらなのか連絡をしてくれるそうです」
被害者救済の責任を放棄した“裏切り”
ただ気になることが……。
「希望される被害者には東山さんが会って謝罪するとの話でしたが、弁護士からは“もともとは東山さんが担当されていたけれど、新会社の社長を辞退されたことなどもあって事務局の方が対応することになった”とのことでした。“具体的に事務局の人って誰なんでしょうか”と聞くと、弁護士さんもどんな人が対応するのかまでは把握していないようでした」
9月の会見で東山は、
「長きにわたり、心身共につらい思いをさせたことを本当に申し訳なく思います。今後はこの事実に真摯に向き合うため、私は年内をもって表舞台から引退をします。今後は人生を懸けてこの問題に取り組んでいく覚悟です」
と語っていたが、その言葉は真実ではなかったのか。現在も被害者救済のみを行うSMILE―UP.の社長を務める立場として、責任を放棄した“裏切り”とも思える。
東山が、被害者への“真摯に向き合う”姿勢を捨てた一方、性加害問題の余波は広がり続けている。
「1996年以降、大みそかの恒例イベントだった『カウントダウンコンサート』が、今年は見送ることが正式に発表されています。また、NHK大河ドラマ『どうする家康』に主演する松本潤さんにも、性加害問題の影響が出ているんです」(ドラマ制作会社関係者、以下同)
世帯平均視聴率は低迷。なんとか10%を維持しているが、1桁台に落ち込む放送回もあり、その評価はおもわしくない。これに加えて、また別の問題が起こっているということなのか。
松潤のドキュメントがお蔵入り危機
「実は、松本さんに密着したNHKの人気ドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』が、大河の最終回直前に放送される予定だったのですが“お蔵入り”の危機で……。すでに撮影も終えて後は放送するだけなのですが、NHKは性加害問題での世間の風当たりの強さから放送を躊躇しているんです」
大河ドラマはすでに関ヶ原の戦いを終え、物語はクライマックスへと向かう。が、ここにきてケチがついた。
「『プロフェッショナル』への出演オファーをした際、密着するディレクターを松本さんが直々に指名したんです。それぐらい大河を最高の形で終えようと意識した、松本さんの肝いり番組なんですよ」
『週刊文春』からは、松本が撮影現場で横暴な振る舞いをする“パワハラ報道”も飛び出した。だからこそ、松潤の“仕事の流儀”が気になるところだが、放送中止の可能性もあるのだろうか。NHKに事実確認したところ、
「個別番組の制作過程などについては、お答えしておりません」
とする回答があっただけ。
放送は中止できても、人の命は取り戻せない。これ以上の被害を出さないために、改めて真摯な姿勢で被害者の救済に臨んでほしいが……。