「個人的にこうやって取れて、特別なことだなと思います」
日本時間11月17日にメジャーリーグのMVPが発表され、大谷翔平が自身2度目の受賞を果たした。
「大谷選手は'21年以来のMVP。前回と同じく満票での選出となりましたが、2度目の満票受賞はメジャーリーグ史上初の快挙です。リーグ本塁打王やポジションごとに最も優れた打者を選出する『シルバースラッガー賞』なども受賞していて、今年3月のWBCでのMVPも含めると、“8冠”となりました」(スポーツ紙記者)
今年はケガのため、シーズン途中で離脱してしまったが、二刀流で活躍。MVPのライバルと比較して、どこが評価されたのか。アメリカで取材をするスポーツライターの梅田香子さんに話を聞いた。
「シーズンが終わるより早く離脱してしまったときはどうなるかと思いましたが、ほかの選手も9月はあまり活躍できていませんでした。大谷選手以外の最終候補に残った2人は、ワールドチャンピオンになったテキサス・レンジャーズの選手でしたが、プレーオフの前に投票は終わっているので、発表前から大谷選手で決まりだろうという感じでしたね」
気になるFAの行方は
前人未到の記録を作り続ける大谷。エンゼルスからフリーエージェント(FA)となり、去就が注目されるが……。
「鈴木誠也選手のいるシカゴ・カブスという話も出ていますが、大谷選手はどちらかというと投手を基準に考えていると思います。カブスの球場はホームランが出やすく、打者有利な球場で、マウンドも独特でケガをする投手が多い。そういったことを考慮すると、ドジャースが有力で、エンゼルス残留というのも考えられるでしょう」(梅田さん)
野球界の最高峰であるメジャーリーグで活躍する大谷。高校時代からその素質は飛び抜けていたよう。花巻東高校のトレーナーを務め、『東北スポーツ整骨院』を経営する小菅智美さんはこう話す。
「当時から身体能力はかなり高かったです。トレーニングを指導することが多かったのですが、一番印象に残っているのは、冬は雪が降るので体育館で練習することもあり、アスレチックのように走ったり、跳んだり、はねたりさせたいと思い、陸上の走り高跳びのマットを用意しました。走っていってマットの上で前転させようと思ったのですが、大谷選手はかなりの大きさがあるマットを走り幅跳びのように跳び越えてしまったんです。身長が高いにもかかわらず機敏な動きができたり、強いバネがあるような選手には出会ったことがなかったので驚きました」
指導者側として、今の大谷はどう映っているのか。
「かつて岩手の野球は全国レベルでは、なかなか勝てませんでした。でも、岩手は宮沢賢治や新渡戸稲造などの世界に通用する偉人を輩出しており、“われわれもその血が流れているのだから、世界に挑戦しよう”という話はよくしていました。
メジャーリーグという世界トップの野球選手が集まる中で、最優秀選手に上り詰めたわけですから、そうとうなことですよね。1度、MVPになるだけでもすごいのに、2回となるとアメリカが嫉妬するんじゃないですかね(笑)。もはや憧れの存在で、指導したなんて言える立場でもないです。一人のファンとして、大谷選手の活躍ぶりをテレビで見ています」(小菅さん)
大谷を支えた“愛犬”
順風満帆かのように思える大谷の活躍だが、二刀流について悩んだ時期もあったよう。
大谷に迫ったドキュメンタリー番組が11月17日から『ディズニープラス』で配信がスタート。その中で、'18年の手術後について、
「'19年、'20年と結果が出ないし、身体の調子が上がってこない。ピッチャーならピッチャー、バッターならバッターに集中して結果を出したほうがいいのかなと思う時期はありました」
と苦しかった期間を回想していた。
つらい時期を乗り越えて手にした、2度のMVPという栄冠。今回の受賞と同じかそれ以上に注目されたのが、一緒に登場した“愛犬”だ。
「MVP受賞者を発表した番組に大谷選手はリモート出演。その際、犬を連れており、ハイタッチなどをしてじゃれ合う姿が日米で話題に。『コーイケルホンディエ』という中型犬のようで、日本では毎年100頭前後しか登録されていない珍しい犬種なんです。シーズン終了前後に大谷選手が飼い始めたそうです」(現地メディア関係者、以下同)
実は、大谷は以前から愛犬家だったという。
「大谷選手が小学1年生のときから実家では“エース”と名付けたゴールデンレトリバーを飼っていました。'18年に右肘を手術した際には、リハビリの合間にトレーナーやチームメートの犬と戯れるのが癒しの時間だったよう。
水原一平通訳も犬好きで数匹飼っています。水原さんが愛犬をよく車に乗せて連れてくるそうで、大谷選手も抱っこしたりして、かわいがっているんですよ。水原さんの犬は保護犬だと聞きました」
夢の向こう側へと挑み続ける大谷の裏には“愛犬”の存在があった!?