KANさんの葬儀に参列していた平井堅

 ここ1年以上、表立っての活動がない平井堅

 2022年7月から音沙汰がなかった公式サイトのインフォメーションは、今年11月17日に更新。平井の厳選されたライブ映像が、12月8日から全国の映画館で放映されることを報告している。

「新型コロナウイルスが蔓延した2020年ごろは、配信ライブを開催していたのですが、2021年からはいっさい開催されていません」(スポーツ紙記者、以下同)

 そんな平井が、ある場所にひっそりと姿を見せた。

「都内の斎場で、ひときわ背が高く彫りの深い顔をした人がいると思ったら、平井さんでした。ほかには、ASKAさん、サカナクションのメンバーなど、有名人が続々とやって来て、いったい誰の葬儀だろうと思ったら“木村家”と書かれていました。調べると、KANさんでした」

KANさんの大ファン

『愛は勝つ』で知られるシンガー・ソングライターのKANさんは、11月12日に亡くなった。葬儀は同月15日と16日に親族や近親者のみで執り行われたが、そこに平井も訪れていたのだ。

「2人が初めて会ったのは、1999年のこと。川崎市で行われたKANさんのライブに、平井さんが訪れていました。ただ、ゆっくりと話す時間もなく、楽屋で挨拶した程度。実は平井さんはKANさんの大ファンで、たびたびコンサートには足を運んでいたのです」(音楽誌編集者、以下同)

 親交を深めたのは、平井がKANさんに楽曲制作の依頼をしたのがキッカケで、2007年のことだという。

「ラジオ局の開局20周年記念のアニバーサリーソングの制作で、平井さんとKANさんがタッグを組みました。それが2008年3月にリリースされた『Twenty!Twenty!Twenty!』。それ以降、KANさんは、平井さんのコンサートにゲスト出演するようになったのです

 食事をするようになり、メールのやりとりも頻繁に交わした。

「友だちというより、平井さんからすれば憧れの人。学生時代に失恋した際、KANさんの『君が好き胸が痛い』を泣きながらカラオケで歌っていたそうで、平井さんの十八番なんです。ピアノのあるお店で食事をし、KANさんの伴奏に合わせて平井さんが歌うこともあったみたいです」

 死ぬまでに1曲は書いてもらいたい……。それほど強烈に平井はKANさんを敬愛していた。ともに過ごした時間は、特別だったはずだ。

 一方、KANさんも平井を尊敬していた。WEBインタビューで、KANさんは平井についてこう明かしている。

《それは、もう、すごいでしょ! 魅力的な声ですし、もちろん詞も曲も素晴らしいものはいっぱいありますけど、ライブを観ていていつも思うんです、すごく謙虚だなって。日本を代表する素晴らしいシンガーの一人なのに、僕はまだまだぜんぜん下手》

「マイペースな活動方針に切り替え」

 平井が瞳を閉じれば、KANさんとの日々が浮かんでくるだろう……。平井の所属事務所に話を聞いた。

亡くなったKANさん。平井堅とは酒を飲んでから、深夜に“かくれんぼ”をしたことも

「KANさんの葬儀には、11月15日の通夜と16日の告別式、両日に参列させていただきました」

――1年以上、コンサートを行っていないが。

「特別な理由はございません。充電期間と認識いただければと思います。現在はマイペースながら、楽曲制作などをさせていただいております。もともとデビュー25周年のイヤーの全国ツアーなどを終えて、一度リセットし、マイペースな活動方針に切り替えようと考えていた矢先、コロナ禍になってしまいました。情勢を見ながら活動しており、現在に至っております」

――今後の予定は?

「コンサートに関しては調整中ですが、地方のファンの方々などから、まだまだ不安がある旨をお聞きしており、全国的に安心してコンサートを行えるタイミングを見計らっている状態です。なので、はっきりしたことは、まだお伝えできない状況です。ご理解いただければと思います」

――コンサート映像が劇場公開されるが、KANさんとの共演映像もあるか?

「KANさんには生前、ステージ及び楽曲制作で大変お世話になりました。残念ながら、今回の映画館上映作品の中には、ステージ共演した楽曲は使用しておりません」

 とのことだった。

 11月18日に放送された『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)で、総合司会の三谷幸喜はKANさんについて、亡くなる1か月ほど前にメールをもらったことを明かした。そのメールは、KANさんが病気を押して行ったパリ旅行のお土産を、平井に預けておくとする内容だった。

「それで昨日、平井さんに連絡をとって“チョコレートを受け取りに行きたいんですが”と言ったら“大変申し訳ないんですけど、食べてしまいました”って。どうしても我慢できなかったらしいです。どんなチョコレートだったんですかね……」

 三谷からこのエピソードを聞いた安住紳一郎アナは、

「三谷さんの今の笑い話が、KANさんに届いていると思いますよ」

 と、締めようとしたが、三谷は、

「笑い話ではありませんよ」

 と、真顔で返していた。平井が口にしたチョコレートは、きっと、どこかしょっぱくて――。