さまざまな価値観や意識の転換が行われている令和の世、“あざと可愛い”という形容詞ももはや女性だけのものではない。むしろ昨今では、あざとさを武器に軽やかにエンタメ界を闊歩していく男性有名人の活躍のほうが目立っていたりもするのだ。そこで全国20~50代の女性1000人にアンケート。あざと男子ランキングの1位に輝いたのははたして……?
前回の新あざと女子ランキング企画の際、テレビウォッチャーの漫画家・カトリーヌあやこさんが“あざとさの化身”と紹介し、本命かと思われた伊野尾慧は意外にも5位。「あの中性的な可愛さは罪」(東京都・41歳)、「カッコいい面もあるが、言動が可愛く女の子っぽい」(宮城県・27歳)とやはりアラサーとは思えぬ可愛さへの評価は高かった。
新・あざと男子ランキング
「残念、5位でしたか(笑)。
“あざと可愛い”という言葉が生まれたのが8年くらい前なんですけど、まさにそのころ旧ジャニーズ内では伊野尾革命なるものが起こりました。
岡田准一さんが伊野尾さんのことを『いつも眠そうで、可愛くてムカつく』と発言したのをきっかけに、伊野尾慧=ムカつくほど可愛いという認識が定着したんです。
『条件反射』という彼のソロ曲があるのですが、ものすごくSMチックな歌詞で、歌いながら伊野尾さんがメンバーに緊縛されるんです。この突き抜け方はスゴいなと(笑)。
自分のキャラをわかった上で遊んじゃう。そんな余裕があるんです」(カトリーヌさん)
自分のキャラを全うするプロフェッショナリズムにおいては負けてはいないのが、4位に入った中島健人だろう。「いつでも自分のアイドル像を崩さない姿勢がすごい」(岡山県・38歳)、「自分がイケメンだとわかった上で女性と接する感じがプロ」(兵庫県・44歳)などそのサービス精神をたたえる声が多かった。
「あざといというよりも欧米男性的なスマートさがあるんですよね。彼の名言で『あざとさはバレちゃいけない。サンタさんと一緒』というのがあるのですが、さりげない気配りが女性たちを虜にするんです」(カトリーヌさん)
3位は志尊淳。女性と見まがうようなきれいな顔立ちで、フェミニンな役も多く、それがあざといというイメージにつながっているよう。「そういう役を多くやってるからかもしれませんが、女性的なあざとさを感じてしまう」(大阪府・48歳)、「なんとなく甘え上手な気がする」(北海道・37歳)と本人がというよりもイメージ先行の順位のようだ。
「志尊さん自身は骨のある男らしい方なんですよね。大好きな作品は『クローズZERO』だし(笑)。ただ、とにかくお顔がきれいだから、『きみはペット』『半分、青い。』『女子的生活』など可愛い男の子にしかできないような役柄が多い。そのイメージが強いんでしょうね。
あと、インスタで寝顔をアップしたりと女子的なサービス精神もあって、それがあざといと思わせるのかもしれません。あざと可愛いという言葉は、男性の場合ルックスがよくなければ絶対言われないんです。志尊さんは主にビジュアル的な要素でのランクインだと思います」(カトリーヌさん)
離婚報道で話題のアスリートがランクイン
惜しくも2位だったのは、あざと男子界の新星・大西流星。ここまであざと可愛いを自己演出されると、もう感服するしかないだろう。「カメラへの自分の見せ方などすべて計算し尽くされている」(岩手県・51歳)、「自分が可愛いということをしっかり自覚している。もう関西弁すらあざとく感じる」(滋賀県・23歳)などのコメントが。
「なにわ男子自体があざと男子の結晶みたいなグループですけど、中でも大西さんは令和の最新型あざと可愛いを提示してくれている。『ちゅきちゅきハリケーン』という曲で、大西さんがちゅきちゅきポーズというのを考案していて、それがピースを閉じた両方の二本指をほっぺにくっつけるという……まさにあざとさ爆発ですよね。
彼は美容男子でもあるので番組でメイクについて語ったりもするのですが、ここぞというときは逆に引き算しますという大西さんに、『それパリジェンヌの言葉やん』ってアンミカさんが驚いたという(笑)。まさに究極のあざと男子です」(カトリーヌさん)
そんな数々の猛者を退け、見事1位に輝いたのは千葉雄大。もう10年以上可愛い系男子のトップランナーとして活躍する、あざと男子の元祖ともいえる存在だ。「アヒル口を確信犯的にやっていて面白い」(新潟県・43歳)、「とっくに30歳を過ぎてるのに、いまだ可愛いを売りにできるのがスゴい」(兵庫県・28歳)とコメントでもレジェンドへの称賛は惜しみない。
「納得の1位ですよね。アヒル口という女子のテクニックを最初にやったのが千葉さんだし、『いいね!光源氏くん』ではキョトン顔が可愛かった。以前は可愛いというイメージを嫌がっていたけど、あるとき毒を吐いたら、可愛いがあざといという評価に変わった。腹黒い部分を表に出すことで二面性が生まれ、選択肢が増えたそうなんですね。
彼のような整った童顔の方はどうしても可愛いと言われがちですが、それを受け入れ、戦略として使いこなした。まさに男子のあざと可愛い道を切り開いてきた方で、貫禄の1位です」(カトリーヌさん)
6位の菊池風磨、9位の道枝駿佑を加えると旧ジャニーズ系がトップ10の半数を占めるなか、異彩を放っているのがアスリートで唯一ランクインした7位の羽生結弦。「キレキレの演技を披露したあとにプーさんに話しかけるというギャップ」(宮城県・27歳)、「言動のすべてが計算されていて逆に気持ちがいい」(奈良県・44歳)などの意見が集まったが、先日、突然の離婚発表で日本中をざわつかせた。
「何をやっても人の心を揺さぶらずにいられないというのはまさにスターです。
立ち居振る舞い自体は昭和のアイドルを彷彿させますが、彼の場合はあざとさではなく無意識でそれをやっている。羽生結弦という存在自体がファンタジー(笑)。そりゃあ結婚も離婚も一筋縄じゃいかないですよ。
いつまでも羽生結弦のまま、私たちを驚かせてほしいです」(カトリーヌさん)
そして10位に飛び込んできたのは、これまた意外な寺田心。「大人の喜ぶことをわかってやっている」(東京都・55歳)、「小さいころは大人に媚びる感じがした」(神奈川県・45歳)と中学生の今も子役時代のイメージが強いよう。
「これは寺田さんというより子役への票のような気がします。名子役=あざと可愛いモンスターですから。
恐ろしいのは、彼、中学に入学してから背が40センチも伸びたそうなんですよ。あざとさで身長まで止めてたのかって(笑)」(カトリーヌさん)
いい男にはたくましさや男らしさが求められた昭和の時代から、’90年代のジェンダーフリーなフェミ男ブームを経て、’00年代に入ると草食系男子という言葉が生まれ、男らしさに縛られない心優しい男性が多数派になる。
「その流れであざと可愛い男子が生まれるわけですが、これって女子のあざと可愛いとは違うんです。女子の場合は、可愛くありたいとか見られたいという努力の成果があざと可愛いに結実しますが、男子の場合はハナから可愛いんですね。
もともと可愛い男子が『ボク可愛いよね?』と聞き、『うん、可愛い!』と女子が答える。そのコール&レスポンスのことを“あざと可愛い”と称している。彼らは生まれたときから可愛いと言われ続けているので、内面は逆に男らしいんですよ。そこで可愛いを否定せずに自分なりに消化して、武器にできる。それが令和のあざと男子なんです」(カトリーヌさん)
新・あざと男性有名人TOP10
1位 千葉雄大(34)115票
2位 なにわ男子・大西流星(22)93票
3位 志尊淳(28)87票
4位 Sexy Zone・中島健人(29)76票
5位 Hey! Say! JUMP・伊野尾慧(33)71票
6位 Sexy Zone・菊池風磨(28)59票
7位 羽生結弦(28)52票
8位 佐藤健(34)41票
9位 なにわ男子・道枝駿佑(21)32票
10位 寺田心(15)28票
(取材・文/蒔田陽平)