「バブル期に購入して、ヌメ革が変色しているような使い古しのルイ・ヴィトンのバッグでも、数万円の値がつくことがあります。『汚いから値段つくわけないよね』なんて話していたお客様はかなりびっくりされますね」
と話すのは、ブランド品の買い取りや販売などの事業を手がけるロデオドライブ横浜関内店・副店長の荒津和香子さん。
値上がる高級ブランド、古いバッグも高値に
「現在、中古品の買い取り価格が高騰しているものとしてまず挙がるのはロレックス。
時計に興味がない方でもご存じのスイスの高級腕時計メーカーですが、その人気モデルである『デイトナ』金無垢の定価300万円台の型番を500万円で買い取りしたこともあります。在庫が世界中で品薄、マニアの方は何本でも所有したがります」(荒津さん、以下同)
なんと200万円の利益!しかし大量生産が難しいロレックスは現在、正規代理店でも品薄で入手が難しい。もっと購入しやすいものは?
「ロレックスと同じく、年月を経ても高い資産価値があるものといえば金。特に『喜平』と呼ばれる貴金属でできたチェーンの輪を平たく押しつぶしたシンプルなデザインのジュエリーは今、人気で、年代を問わず購入される方が増えています。
傷がついても買い取り価格がそれほど変わらないので、普段はアクセサリーとして身につけ、急きょお金が必要になったときに、それを外して換金するお客様もいます」
ブランドの紙袋でお小遣いをゲット
ハイブランドのバッグなど服飾品ももちろん狙い目。
「シャネルやエルメスなど一般的によく知られるハイブランドは、この先も価値が下がることはないでしょう。ただ最近のシャネルは若い世代でも手が届く価格設定のアイテムを発売しており、それらに限っては資産価値が上がらない可能性も。
一方、すべて職人の手作業で生産しているエルメスは、今後も高値での買い取りが期待できます」
と教えてくれたのは、出張買取『買いクル』を運営する株式会社RC・FC本部の島津大輔さん。昨今はビンテージアイテムが大人気のため、親や親戚の遺品の中にあった古いハイブランドの服飾品に予想外の高値がつくこともある。
……ということは遺品整理や大掃除で断捨離してしまいがちなアイテムの中にお宝が隠れている可能性も?
「そうですね。意外なことに、ハイブランドの包装で使われる紙袋も売れます。メルカリに出品した際の相場は、大・中・小の3サイズ一組で2000~3000円程度。弊社でも買い取っています」(島津さん、以下同)
コレクターがいるからといった理由もあるが、紙の価格高騰もあり、単なる資材としても有用だとか。読者世代の家にありそうで、持っておけば資産になりそうなものは?
「例えば、価格が高騰するウイスキーとしてよく知られているのが、サントリーのシングルモルトウイスキー山崎。
世界最高峰のウイスキーとして海外人気が高く、2020年1月に限定発売された『山崎55年』は300万円という高価格にもかかわらず予約殺到で即完売しました。
その2か月後、香港でのオークションでこれが出品され、8700万円で落札された、という逸話があります」
世界中にコレクターがいて、空き瓶でさえ20万円で売れることがあるとか。これはワインなど他のお酒も同じで、生産数が少ない年のボージョレ・ヌーボーのラベルに高値がつくこともあるそう。
独立した子どもの部屋は宝の山
子どもが実家から出ていき、処分しようと部屋にあったものを持ってくる人も多い。幼いころに使っていたガラクタに思えるような古いおもちゃが高く売れることも。
「ファミコンやゲームボーイなどのゲーム機器本体とソフトは、ゲーム買い取り専門業者に出せば、それなりの値がつきます。
特に高値が期待できるのは、PCエンジンやネオジオなど任天堂以外のメーカーが販売していたもの。当時、量産されていた任天堂のゲームより希少価値が高く、万単位で買い取ってもらえることもあります」
子どもが遊ばなくなったら、おもちゃを捨てる家庭は多い。そのため、大流行したおもちゃでも数が少なくなり希少価値が高まって、高値となるパターンは多い。
「1967年発売の初代リカちゃん人形や1996年発売の初代『たまごっち』などが、このパターン。レア度が高いものには、さらに高値がつきます。
例えばたまごっちなら、パッケージに入った状態で通常2000~3000円のところ、白なら8000円という時期がありました。リカちゃん人形なら、より出荷数が少ないボーイフレンドのわたるくんの人形の希少価値が高いといわれています」
もしまだ家にあれば、さらに値上がりを期待できる。再ブーム到来で、昔のおもちゃに高値がつくケースも。
「1983年発売のプラモデル『メカ生体ゾイド』シリーズは、恐竜や昆虫をモチーフにした造形が男の子たちにウケて大ヒット。当時、息子さんにせがまれて買ってあげたという方は多いのではないでしょうか。
このプラモデルシリーズが今、再びブームとなっていて、初期シリーズも1万~5万円の高値で買い取ることがあります」
同じく大流行した『遊戯王』『ワンピース』などのトレーディングカードも買い取りしてもらえるが、これらは業者によって価格に大きな差がつくそう。
「日本のアニメは海外での人気が非常に高く、トレーディングカードも日本国内より海外のほうが高く売れます。例えば、トレーディングカード500枚の買い取り価格は、国内を販売先としている業者の場合、250円程度。
一方、海外のバイヤーなら5000~1万円。20倍以上の価格差があるため、中古品の海外輸出を手がけている業者で売るほうが高値となる可能性が高いといえます」
これはトレーディングカードだけでなく、家具や家電にも当てはまる、とのこと。
「日本の家具や国産メーカーの家電は海外での人気が高く、輸出すればそれなりの値がつきます。しかし、これを知らない業者に買い取りを依頼すると、『古いタンスだから有料なら引き取ります』なんて逆にお金を取られることになりかねません。
業者選びは、店舗がたくさんある買い取り業者は信頼していいと思います。なぜなら海外輸出は大手の業者でないと難しいから。ぼったくりなどの不用品回収トラブルも小さな会社に多い印象です」
最後に手前みその話題を。実は『週刊女性』バックナンバーの中にも高値買い取りが期待できるものがある。
「週刊誌を保管する人は少ないため、希少価値が高くなりやすいのです。特に創刊号やスクープが掲載された号は後年、高値がつきやすいです」
『週刊女性』の場合、三浦春馬さんらが表紙だった2010年2月2日号の現在の価格はフリマサイトで驚きの8700円! ファン垂涎(すいぜん)の“お宝”は資産価値も生むのだ。
中古買取業者に聞く、値上がりが期待できる注目なモノ!
高級腕時計
ロレックスは全体的に流通数が少ないため、供給数よりも需要のほうが高く、価値が下がりにくい傾向。デイトナなどは特に人気で高額になっている。
喜平チェーン
金やプラチナのネックレス。純度が高ければ高いほど価値は高まる。一般的なデザインジュエリーと比べると製造コストが低いのもポイント。
ブランドバッグ
エルメスのバーキンは誕生してから一度も価格が下がっていないといわれている。資産価値は年平均14.2%ほど上昇しているとの調査結果も。
ウイスキー
市場での流通が少ないお酒は高価買取の可能性が高い。海外での人気が高いサントリーのシングルモルトウイスキー山崎の限定品などは要チェック。
ハイブランドの包装
メルカリでは大・中・小の3サイズ一組で2000~3000円程度になることも。紙自体が高騰しているため、まとまった量があれば緩衝材がわりに業者が引き取ってくれる場合も。
ゲーム機器本体とソフト
ゲームボーイの価格が3倍になるなど、近年特にレトロゲームが人気。海外でも人気の日本のゲームは将来でも価値が下がらない可能性は高い。
レトロ人形
初代リカちゃんは1体で数万円以上になる場合も。出荷数が少ない人形は希少価値が高く、限定品やサブキャラの人形が狙い目な場合も。
プラモデル
再びブームとなっているプラモデル。数十年前と比べ、タミヤの車やバイクのプラモの新作は価格が3倍ほどになっているものも。今後も値上がる可能性あり。
トレーディングカード
海外での人気も高く、市場規模はまだまだ拡大傾向。「ポケモンカードゲーム」「遊戯王OCG」「デュエル・マスターズTCG」などコレクターは多く、資産価値がある。
ブランド家具
高級家具で有名な海外ブランドのカッシーナなどはもちろん、IDC大塚家具、カリモク、松創など国内ブランドも中古市場で人気。
(取材・文/中西美紀)