“増税クソメガネ”こと岸田文雄首相。かつてこれほどまでに嫌われた総理大臣がいただろうか。
「11月20日、読売新聞が行った世論調査では岸田内閣の支持率が24%と政権発足以来、最低を更新しました。同時期の毎日新聞の調査では21%。どちらにしても不支持が70%超という結果です。2012年に自民党が政権に返り咲いてから最低の支持率となっています」(全国紙政治部記者)
なぜこれほど嫌われるのか
前任の菅義偉・前首相の内閣支持率は74%に始まり、2021年9月の退任時には34%まで落ちたものの、岸田内閣よりは10%以上も高い結果に。なぜこれほどまでに岸田首相は嫌われるのか。ジャーナリストの大谷昭宏氏は、「初手から失敗だった」と指摘する。
「ちょうど政権に陰りが出てきたときに、もっと影の薄い岸田さんが総理になった。国民は8年にわたる安倍政権にうんざりしていましたから、安倍さんが辞めた後、精彩を欠いた菅さんが総理になってがっかりしているところにさらに影の薄い岸田さんときた。このとき自分なりのキャラを出して“安倍政権をぶっ壊す”“アベノミクスは失敗した”くらい言うべきだった。現に約30年も賃金は上がってないじゃないですか。さらに円安のため国民の財布の中は実質、3分の2に減っている。その安倍政権を否定できなかったところが最初の誤り」(大谷氏、以下同)
続けて、岸田首相の性格についても分析する。
「国民はそんなにばかじゃない」
「この人は目先のことしか考えられないんですよね。軍事力の増強で40兆円かかりそうだと言ったそばから、減税すると言ってくる。朝日新聞の世論調査ではこの減税政策におよそ7割の人が評価していない。その先に増税があることをわかりきっていて、減税をちらつかされたって国民はそんなにばかじゃない。
それから岸田さんは、開成高校を出ていますが、霞が関の同校卒業生の同窓会をものすごく大事にしているわけです。閣僚に初めて抜擢された小林鷹之・経済安全保障担当相、嶋田隆・元経済産業事務次官など開成OBを信頼している。財務省には開成OBが多く、財務省の言うことを聞きすぎるのも開成人脈を信用しきっているからともいえます。3代続いた政治家セレブという自信が根本にあるんだと思います。たとえそれが間違っていたとしても、安倍さんのようにそれなりのポリシーを持ってやれば一定数の国民には評価されるんです。強烈な個性もなければ政策もその場しのぎ。支持する理由が答えられないんですよね」
一方で岸田首相を支持するというのは杉村太蔵・元衆院議員。支持率が歴代最高を記録した小泉純一郎・元首相のもと誕生した小泉チルドレンの1人だ。
「増税メガネと揶揄されることもありますが、私は国民の皆さんが言うほどダメではないかなって思うんですよ。なぜ増税が必要かといえば、超高齢社会、少子化対策といった社会保障の拡充から、ロシアや中国、北朝鮮などと隣接している日本としては防衛費も増額しなければならない。そのため、方々から少しずつ増税することで国民の負担を小さくして、持続可能な社会をつくっていきたいということが岸田政権のやりたいこと」
と、支持する一方で国民の理解が得られない理由にも言及する。
「小泉さんや安倍さんと比べるとわかりにくい政策だというのは事実だと思います。理由のひとつは数値目標が明確になっていないから。安倍さんは『デフレからの脱却』として物価を2%上げていった。菅さんの場合は『コロナに勝つ』と言って、1日100万人にワクチンを打つという政策を打ち出した。岸田さんにはそれがない。だから具体的にゴールがイメージしづらく国民の皆さんに伝わらないんだと思うんですよ」
“底が抜けた風呂桶”
前出の大谷氏は、「ポリシーがない」とバッサリ。
「本来、政治の目的は2つ。国民の生活を守ること、二度と戦争をしないことに尽きるんです。これは与野党共通の認識です。そこを前面に出してくれば国民は納得するわけですよ。ですが岸田さんの場合、税制に関しては増税をしたいときは減税をちらつかせる。人気がなくなると人気を取ろうとして、自民党内でも安倍さんを支えていた右派を取り込もうとする。彼らの支持が欲しいだけでポリシーもないのに憲法の改憲を持ち出してきたわけなんです。
ただ、青山繁晴議員や高市早苗議員のように安倍さんにくっついていた改憲派は筋金入りの右派。半端な人間が改憲を打ち出したって、口先だけで取り込みにきたな、としか思わない。国民に対してだけでなく、党内でもどこでも失敗しているんです。やることなすこと失敗。ここでヒットを打てよ、というところで見事に三振してみせているのが岸田首相です」
さらに岸田首相を“底が抜けた風呂桶”と表現し、
「これだけ落ちたら小手先の作業では底が抜けた風呂桶の修理なんてできるわけがないんです。釘1本だけ持ってきて板を打ちつけたってうまくいくわけない。ドカンとびっくりするような大技を出さないと」(大谷氏)
岸田首相の支持率を上げるための大技を大谷氏が提案する。
「国民の7割が反対している『大阪・関西万博』の中止を宣言すればいい。かつて東京で計画されていた『世界都市博』を開催中止にした青島幸男・元東京都知事のように“万博やめた、金も出さない、撤退しろ”と言えば何もせずに座っていても支持率は上がるんです」
前出の杉村氏は、
「支持率が低いのは岸田さんだけではない。先進国のリーダーは軒並み支持率が低いです。根本原因は物価高です。支持率回復には物価高対策しかないです」
とフォローするが……。
曇りなき眼で世の中を見てくれる首相が求められる。
東京都生まれ。早稲田大学を卒業後、読売新聞大阪本社に入社。グリコ・森永事件など数々のスクープを手がけ、1987年に退社後、ジャーナリストに。社会事件から政治まで、幅広い分野で活躍。
北海道生まれ。筑波大学中退。
2005年9月の総選挙で最年少当選を果たし、ニート・フリーター問題など若年層雇用の環境改善に尽力した。現在は、テレビやラジオなどで政治評論家としても活躍。