『きのこの山』※写真は明治のホームページより

 お菓子の「きのこの山」を忠実に再現したワイヤレスイヤホンが来春、数量限定で発売されると発表された。ネットでは《かわいい》《欲しい》と歓喜の声が殺到。しかもこのイヤホン、127言語に対応した同時翻訳機能付きだという。

 発端は今年7月、発売元の明治がX(旧ツイッター)の公式アカウントで“ネタ”として投稿した、きのこの山のワイヤレスイヤホンの画像。26万いいねが集まり、一気にバズった。

「『明治のありそうでなかった雑貨』として架空の雑貨を作ったのですが、お客様にこんなに喜んでいただけるならと、リアルな商品開発に踏み切りました。せっかく作るなら、ただのイヤホンではつまらない。実はきのこの山とたけのこの里はグローバル展開の拡大を目指しているので、世界に向けたものにしたいと思いました」(明治 カカオマーケティング部の杉山詩織さん、以下同)

 きのこの山は10か国向けに輸出・販売しており、今後はさらなるグローバル展開を予定しているという。

「きのこの山にかけて、“言葉の山”を越えていけるイヤホンということで。半分ネタではあるのですが(笑)、このイヤホンが世界をつなぐコミュニケーションツールになれば」

 まるで、食べると外国語が母国語に聞こえるドラえもんのひみつ道具「ほんやくコンニャク」みたい!

「確かにそうですね。きのこの山のイヤホンは食べられませんが」

たけのこの里の雑貨は?

 翻訳機能を備えたイヤホンなんて空想の道具のようだが、すでに各メーカーで商品化が行われている。きのこの山イヤホンは、リアルタイムAI翻訳機を開発・販売しているウェザリージャパンの協力を得て開発中とのこと。スマートフォンに専用アプリを入れると翻訳したい言語を選べて、自分が話したことを外国語の音声に変換するモードや、対話する2人がイヤホンを1つずつ装着して双方の言葉を同時翻訳するモードが搭載される予定だ。こだわりはデザインにも。

「きのこの山とたけのこの里は、『立体商標』(商品の外観を商標登録する制度)を取得している唯一無二の形です。イヤホンも形に妥協せず、本物に近づけていこうと努力しています」

 具体的な発売日や値段は今後発表されるというから、待ち遠しい。しかし、ライバルのたけのこ派からは《たけのこの雑貨は?》と寂しがる声も……。

「たけのこの里のことを思い出してくれるお客様がいるのは本当にありがたいことです。きのこの山・たけのこの里ブランドでは、今後も面白いことはどんどんやっていこうと思っております。例えば“どっち派”かを投票してもらう『国民総選挙』をこれまで3回開催し、きのこの山が1勝、たけのこの里が2勝していますが、今後は世界中の人を巻き込んだ『グローバル総選挙』を実現したいと思っています」

 海外でも、きのこの山の小さくてユニークな形が大好評だという。ただ、たけのこの里には思わぬハードルが。

現在、たけのこの里は国内でしか販売しておらず、輸出可能なスペックの商品を開発中です。そしてたけのこ自体、日本以外は食べる国があまりなくて、世界での認知度が低いんです……。課題を乗り越えるべく、頑張っているところです」

 たけのこの里の追い上げを期待したい!

取材・文/小新井知子