大阪・関西万博が開催される夢洲

 大阪・関西万博('25年4月13日~10月13日)の開催に、世間からバッシングが集まっている。10月20日、日本国際博覧会協会(以下、万博協会)は建設費の精査結果を政府や大阪府に報告。'18年の誘致決定時には1250億円としていたが、建築資材と人件費の高騰が原因として、当初の約1・9倍、2350億円になることを明かした。

「開催する意味は?」

 この費用は国と大阪府・大阪市、経済界が3分の1ずつ負担することになっていて、税金からの支出が増えることに世間からは、

「そこまでして開催する意味はあるのか?」

 という声が多数上がった。結局、岸田文雄首相が語った、これ以上の増額を認めない、という方針でGOサインが出そうなのだが、これが本当に最後の増額になるのだろうか? 経済アナリストの森永卓郎さんは、

「これ以上、建設費が上がることはないと思います」

 と語り、その理由をこう続ける。

「企業間で売買される物品の価格変動を示す、企業物価指数が10月には前年同月比で0・8%増でした。昨年末は10・6%増だったので、急速に物価が下がってきているんです。また、アメリカが利下げをして日本が利上げをしているので、これまでと逆の状態、来年にかけて円高に向かうと私は見ています。円安の状態もこれで頭打ちになるでしょう」

万博開催地の“本当の目的”

 開催に向かっての明るい展望が示されたようだが、その経済効果に疑問を投げかけたのが、兵庫県明石市の前市長、泉房穂氏。前大阪市長で、誘致委員の会長代行を務めた松井一郎氏が6年前にツイートした、

《万博は誘致できればその経済効果は6兆円以上》

 という言葉に噛みついた。最近では、経済効果が2兆円という数字が報じられていて、この違いは何?ということなのだが、森永さんはこの数字について、

「2兆円、といわれていますが、私はその半分くらいかな、と思っています。そもそも、万博協会が'20年に策定した計画では、来場者は半年で2820万人を想定していますが、完全に無理ですよ。'70年の大阪万博は6400万人くらいの来場者でしたが、今回は1500万人来ればいいところかなと。

 '70年の万博会場では携帯電話が初めて使われ、月の石も展示されました。今回はそのような目玉がないんです。世界の情勢もネットでリアルタイムにわかる時代ですし

誘致委員の会長代行を務めた松井一郎氏

 なんとも寂しい話ばかりなのだが、それでも万博を開催する意味はあるのだろうか?

「誘致を党の功績としてきた大阪維新の会も、本音では万博に期待なんてしていないと思います。見据えているのは、万博後に会場の夢洲に誘致するIR施設、もっと言えばカジノなんですよ。

 万博開催にかこつけて地下鉄を開通し、終了後には地下鉄を活用するということでカジノをつくる。カジノ建設にIRと万博というオブラートをかぶせているんです」(森永さん)

 そして、万博を盛り上げる方法として、こんな“策”を提言する。

「万博ではなく『世界ギャンブル博覧会』にすればいい。世界のギャンブルを集め、日本からはチンチロリンやおいちょかぶなど、あらゆる博打を解禁。これなら絶対に盛り上がりますよ(笑)」