「これまで5000件以上の相談を受けてきました。そのほとんどが妻からの『夫の浮気を調査してほしい』というもの」と語るのは、15年以上のキャリアを持つ探偵の北川舞子さんだ。
2児の母でもある北川さんの肩書は「ママ探偵(R)」。自身のプライベートな立場もあり、女性に寄り添うようにこの仕事を続けてきたという。そんな経験を踏まえ、このたびコミックエッセイ『ママ探偵(R)が明かす! 浮気夫の生態とクズな男の見抜き方』(漫画・Sumi/竹書房)の原作を手がけた。
依頼があると対象者を尾行し、張り込みを続けて、浮気の証拠写真を撮るのが北川さんの仕事だ。もともとは電話占いの事務所で受付として働いていたという北川さん。彼女が探偵になった理由は何だったのか。
「電話してくる人たちの占ってほしい内容で、かなり多かったのが『夫が浮気しているかどうかを知りたい』『不倫で悩んでいる』というものだったんです。でも占いでは、事実をつかむことはできません。それで、決定的な証拠をつかんで事実を明らかにするために、探偵になりたいと思ったんです。まず大手の調査会社に就職して、探偵として修業を積んだ後、自身の探偵事務所である『VIVID女性探偵社』を立ち上げました」(北川さん、以下同)
80代の夫がホテルで女性と密会
これまでさまざまな浮気現場を見てきた北川さん。浮気するのに年齢は関係なく、70代の妻から80代の夫の浮気を調査してほしいという依頼もあったそう。
「最初は奥様も『夫はただの茶飲み友達と会っている』と思っていたそうですが、だんだん怪しいと思い始めて相談に来られました。尾行して張り込んだ結果、80代の旦那さんが女性とラブホテルに入るところを確認し、浮気が確定したのです」
あきれるほど最低な浮気男もたくさん見てきたという。
「奥さんとの関係を修復中に5度目の浮気をした夫とか、浮気相手が妊娠しても人ごとな男性とか……。また、奥さんに言えない過激な性欲の発散に不倫相手を使う男も多いです。ちなみに浮気男がやりがちな3大プレイは(1)ハメ撮り、(2)コスプレ、(3)野外セックスです」
一方、どこまでが浮気だと感じるかは人それぞれだ。風俗で遊ぶのは許すという妻もいれば、仕事仲間とスナックに行っただけで浮気だと怒る妻もいる。
「私たちは肉体関係を持ったであろう現場を押さえることを浮気の証拠としています。浮気夫の証拠をつかむ場所としては4つあり、(1)ラブホテル、(2)ビジネスホテルやシティホテル、(3)相手の家もしくは密会のための家を借りている、(4)車の中です」
また、夫が別の女性と肉体関係を持っていることよりも妻がショックを受けるのが、「心を持っていかれている」ケースだという。
「例えばこれまで夫婦でペアルックなんて着たことがないのに、夫が浮気相手とペアルックで歩いていたとか。自分にはしてくれないことを浮気相手としていたら、性欲を満たすだけの相手ではないんだと妻は傷つくのです」
VIVID女性探偵社調べでは、浮気相手と知り合うきっかけは、1位が「職場」、2位が「元カノ・同級生」、3位が「飲み屋・アプリ」となっている。アプリで知らない人と会って浮気するより、よく知っている相手と浮気に発展することのほうが多いという。
北川さんのような探偵の調査によって夫の浮気の証拠をつかんだ後、妻はどうするのか。
「離婚する人は約3割。あとの7割は夫婦関係の再構築を目指します。再構築に向けた旦那さんとの付き合い方もアドバイスしています。実は浮気にはがんと同じようにステージがあり、末期でなければ修復は可能です」
北川さんによると、浮気ステージ1は「身体の関係のみの遊び」、ステージ2は「相手に何回も会いたくなっているけれど妻のことも大切にしている」、ステージ3は「身も心も相手のほうに向いていて離婚もちらついている」、ステージ4は「離婚して相手と結婚したいと考えている状態」だという。
「奥さんが相談に来られる場合、多くのケースがステージ2か3です。また年齢が高い人ほど『離婚はしたくない』とおっしゃいます。特に専業主婦の場合は、一人で生きていく力がなく、経済的な問題もあって離婚はできないと考えているケースが多い。離婚せずに関係を修復するなら、いつまでも浮気のことをネチネチと責めたり、世話をしないなどといった嫌がらせはやめて、旦那さんの気持ちにも寄り添うことが大切で、忍耐も必要ですね」
夫がスマホを離さなくなったら注意
北川さんは、相談に来た妻たちを見ていて、浮気されやすい女性には3つのタイプがあることに気づいたという。
「(1)しっかり者の甘え下手、(2)夫は二の次・三の次で子ども第一、(3)自己肯定感が低いタイプです。旦那さんは奥さんに頼ってもらえなかったり、ないがしろにされていると感じると、寂しくなって浮気に走ってしまうんです。職業的には、看護師さんや公務員に“サレ妻”は多いですね。自己肯定感が低い人は、夫からなめられていて、浮気に気づいていても何も言えず、モラハラやDVを受けていることも多いです」
一方で、浮気しているカップルのうち、半数はW不倫だという。広末涼子や斉藤由貴のように、妻側が浮気しているケースも少なくないのだ。
「以前、『夫の浮気の証拠をつかんで別れたい』という奥様が相談にいらっしゃいましたが、淡々としていて夫の浮気にショックを受けている様子がないんです。話を聞いていくうちに彼氏がいることがわかり、夫から慰謝料をもらって別れて、新しいパートナーと第2の人生を歩みたいとおっしゃっていました」
「うちの夫に浮気は絶対ない」と思っている妻も多いが、「こんな行動をしていたら要注意!」というチェック事項を教えてもらった。
「今の時代、やはりスマホがキーになります。やましいことがなければスマホを見られても大丈夫なので、家の中でスマホをほったらかしにしていると思います。でも、お風呂やトイレにまでスマホを持ち込んだり、枕の下に入れて寝るなどの行動があれば、怪しいと思ってください」
車の座席のシートの角度も要注意
ほかにも残業や飲み会が増えて帰宅が遅くなった、自宅で使っているのとは違う柔軟剤の匂いがするといったことがあれば要注意。さらにこんな細かいところでも……。
「靴下の裏にホコリや髪の毛がついている、車の座席のシートの角度が変わっている……といった点もチェックです」
もし、夫が怪しい行動をとっていたら、どうしたら?
「大切な家族を守るために見て見ぬふりはせず、向き合うしかありません。“不倫”という病気にかかった旦那さんの症状はさまざまですが、治療法は“目を覚まさせる”ことで、証拠をたたきつけることが第一です。
何もしないでひたすら耐えることは、妻もそれを見ている子どもも不幸になります。浮気をされたら誰でもショックを受けるのは当然。
離婚するにしてもしないにしても、みなさんが出した答えを全力で応援するので、乗り越えて、地に足をつけて生きていってほしいと思います」
北川舞子さん●VIVID女性探偵社代表。2児のママ。探偵業歴15年以上、相談件数は5000件以上。夫婦問題、不倫、浮気、恋愛トラブル(結婚詐欺)などに強く、その調査力で数々の案件を解決してきたスペシャリスト
VIVID女性探偵社 https://vivid-mamatantei.link18.jp
フリーダイヤル 0120-45-1510
ライン公式相談 ID登録 @gml0330a
北川さんが原作を手がけたコミックエッセイ『ママ探偵(R)が明かす! 浮気夫の生態とクズな男の見抜き方』(税込み1320円 竹書房刊)
(取材・文/紀和 静)