“衝撃的な敗北”。卓球で世界一の強さを見せる中国のメディア(『捜狐』)は日本人対決の結果をそう表現した。11月26日、『卓球・全農カップ大阪大会』が開催された。同大会は'24年パリ五輪代表選考会。五輪代表争い3番手の伊藤美誠は7位という結果に。
「準々決勝で張本美和選手に敗北。次の5-8位決定戦では五輪切符を争う平野美宇選手と直接対決となりました。平野選手は代表争い2番手。伊藤選手はストレート負けを喫しました」(スポーツ誌ライター)
衝撃的と伝えられた伊藤の敗北だが、日本において対戦結果以上に注目されてしまっているのが、試合後の伊藤の発言だ。
「屈辱的な試合でした」
幼少期からのライバル
伊藤と平野は同学年。“みうみま”の愛称でダブルスを組み、幼少期から友人であり、そしてライバルという関係だ。
「シングルスでの対戦成績は伊藤選手が平野選手に勝ち越しています。また直接の対戦以外の世界大会などの戦績的にも伊藤選手は平野選手を上回ってきた。ここまでそんなライバル関係でした」(前出・ライター)
衝撃的と評され、自身にとって屈辱的だったという一戦。その表現にネット上で賛否が巻き起こっている。
《「屈辱的」という言葉はふさわしくない。人格者は使わない単語》
《いかに他を見下していたのかが分かる。どんな負けであろうとこの表現は使うべきではない》
《小さなときから下に見てきた平野さんにストレート負けしたんだから、正直な気持ちだと思う》
このような上から目線のような否定的な意見もあるが、それだけではない。
《これまで頑張ってきたことへのプライド。でも、これがあるからまた頑張ることができる》
《誰かをけなしておごっているわけじゃない》
《ストレートでのあんな負け方…屈辱でしょう。それを素直に認めて発言してるのに、なんで上から目線だとか言われないといけないのか?》
賛否が分かれるワケ
なぜこのように賛否分かれる意見が出ているのか。
「伊藤選手は実績で平野選手を上回ってきたので、“下だった選手に追い抜かれたからそんなことを言うのか”と感じた人が少なからずいた。
ただ、伊藤選手は基本的に歯に衣着せぬタイプで、通常営業的なところはあるのですが……」(前出・ライター、以下同)
伊藤はこれまでも「今日の練習そこまで気合が入らなくて」「気持ち的には飽きちゃってる」など思ったことをそのまま口にすることが少なくない。五輪代表の選考方法の変更に疑問を投げかけたことも。
「“巨人軍は紳士たれ”じゃないですが、日本は年配層を中心にスポーツ選手に品行方正な態度・発言を求める人が少なくない。
日本のエースだった立場を脅かされている伊藤選手の言動をバッシングしたい人もいるのでしょう」
他スポーツでもイチローに野茂英雄、中田英寿に本田圭佑といった選手は“特異”だと映り、時にその姿勢は批判された。
「結局は結果がすべてなのがアスリート。五輪出場と結果がついてくれば“さすが伊藤美誠!”“逆境をはね返すメンタル”と批判している人も手のひらを返すでしょうね」
手首がちぎれるほど繰り返す手のひら返しはネット民の得意技。伊藤は来年1月の全日本選手権に「最後まで諦めることはしない」と望みをかけている。