'23年も師走に突入し、各キー局が今年最後の日「大みそか」の特番を発表。お笑い、スポーツ、トークショー……、視聴者は何を求めている?子どものころ、夜中の年明けまでワクワクして見たテレビ番組の楽しさを取り戻すことはできるのか?
全国の30代から60代の男女1000人にアンケート調査
12月に入り、2023年もあと少し。年の瀬も押し迫ってきた中、テレビのキー局から大みそかの特番が発表された。
今年最後の“視聴率レース”に、各局とも力を注いでいる様子。テレビ離れが囁かれる昨今、どの特番を見て大みそかを過ごすかを、全国の30代から60代の男女1000人にアンケート調査を実施。また、見ない人はどんな年越しを考えているかを聞いてみました。
今年1年を振り返る機会になる大みそか、家族や友達と団らんの時間をあなたはどう過ごしますか─?
36票を獲得し、5位にランキングされたのは『逃走中~お台場リベンジャーズ~』(フジテレビ系)。限られたエリアの中、ハンターから逃げた時間によって賞金を獲得できるゲーム。今回の特番では、「江戸の町」「おとぎの国」「忍者の里」など、時空を超越したエリアが登場するという。
「ゲームのワクワク感が感じられる」(千葉県 女性43歳)
「ハンターにいつ捕まるか、毎回ハラハラして見ているので」(東京都 男性46歳)
また、特番ということで、
「展開が思いも寄らないことになりそう」(東京都 女性46歳)
といった、この番組推しの声が集まった。フジテレビの定例会見では、
「恒例のもの(番組)で積み上げていきたい。カウントダウンもやろう、と考えています」
と編成担当は語ったが、視聴者からの期待度は5つのキー局で最下位……。放送当日は、ハンターのような追い上げで、視聴者を捕まえることができるか!?
4位は48票で『WBC2023 大晦日・生放送スペシャル』(TBS系)。今年、野球ファンではない人も盛り上がった、野球日本代表が優勝した感動をもう一度!ということで、
「優勝のときの気持ちで盛り上がりたい」(北海道 女性50歳)
「世界一の野球チームの裏側を見てみたい」(愛知県 女性55歳)
「出場選手がスタジオに来るのが楽しみ。試合のとき、どんなことを思ってプレーしていたのか、などの話を聞いてみたい」(北海道 男性44歳)
といった声が集まった。昨年までは12年間連続でボクシングを中継してきたTBSだが、今年は同じスポーツでも全7戦の中継で視聴率40%越えをマークした“切り札”を出してきた。
ただ、これまでも繰り返し放送してきたことで、目新しさに欠けるのでは、という声もチラホラ……。まさかの大谷翔平選手の生出演、くらいのサプライズは欲しいかも。
そんな“感動モノ”を抑え、12票差の60票で3位にランクインしたのは『笑って年越し! THE 笑(ワラ)晦日』(日本テレビ系)。
『笑ってはいけない』の穴を新番組で埋めることはできるか
「笑って年越しを迎えたい」(大阪府 男性62歳)
「司会のナイナイと東野幸治さんとの絡みに期待」(広島県 女性46歳)
「とにかく笑える番組が見たい。心の底から笑いたい」(大阪府 女性43歳)
など、お笑いを求める人の期待値が大きい。しかし、日本テレビで大みそかのお笑い番組といえば、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで! 絶対に笑ってはいけない』シリーズ。
'20年まで15年放送、'10年からは11年連続で大みそかの特番視聴率、民放首位をキープしてきた。今年は復活を期待されたが、結果として見送りに。そんなこともあってか、
「期待はしない。ただ、ゆるく、ダラダラと見ていられそう」(北海道 男性55歳)
などお笑いが見たいと言いつつも、辛口な意見もあった。
「笑う門には福来る」
この言葉のように『笑ってはいけない』の抜けた穴を新番組で埋めることはできるか、司会の東野&ナインティナインの双肩にかかっている。
昨年、一昨年と大みそか特番、視聴率民放トップの座についた『ザワつく! 大晦日』(テレビ朝日系)が104票で2位に。石原良純、長嶋一茂、高嶋ちさ子がメインを務めるトークバラエティー番組で、3人の言いたい放題のスタンスが人気だ。
「一茂のトンチンカンな発言を堪能したい」(埼玉県 女性55歳)
「毎週楽しみにしている番組で、大みそかならではのテーマで、3人のかけ合いに期待しています」(石川県 男性63歳)
「大人が落ち着いて見られる、自然と笑顔になれるような上品なユーモアのある番組だから」(東京都 女性58歳)
「いつもの番組内容も面白くて、特番ということでさらに期待できるから」(鹿児島県 男性61歳)
やはり、レギュラー番組での根強い人気が後押しをしているよう。ただ収録ということで、他局が生放送で勝負している中、ちょっと浮いた存在になっているという声も……。
そして2位とダブルスコア以上の229票を獲得して、1位になったのは、『紅白歌合戦』(NHK)。
期待度は高くないが「ほかの番組よりはいいと思う」
「毎年見ているので。習慣です」(新潟県 男性63歳)
「今年、流行った曲を把握しておきたい」(東京都 男性62歳)
「母親と毎年楽しみにしているので、欠かすことはできません」(熊本県 男性49歳)
「これを見ると大みそかで、年が終わるという雰囲気が好き」(東京都 女性52歳)
さすが“大みそかの定番”ともいえる番組で、毎年「もういらない」という意見が上がりつつも、トップは譲らない。ただ、
「特に期待はないが、ほかの番組よりはいいと思う」(新潟県 女性52歳)
といった、ほかに見るものがないから、という消極的な意見も目立った。また今年ならではの、こんな声も─。
「ジャニ系が出ない紅白を楽しみたい」(群馬県 男性44歳)
「今年はジャニーズの出場なしで、どうなるのかを見てみたい」(徳島県 女性54歳)
旧ジャニーズでは、ライブを無料配信すると発表したグループもあるので、そちらの数字がどれくらいになるかも見どころかも。
週刊女性のランキング調査には間に合わなかったが、11月30日に満を持して(!?)『孤独のグルメ 2023大晦日スペシャル』(テレビ東京系)の放送が発表された。実は、523票という過半数を集めた「あてはまる番組はない」と答えた人たちの中には、
「五郎さんを見て年を越すのが最近の定番でした」(大阪府 男性43歳)
といった、『孤独のグルメ』を待ちわびる声も多数あったので、視聴率争いが、より激化しそうな気配が。
さて、こういった特番を見ない人たちの大みそかの過ごし方というと、
「ネット配信のドラマを見ます」(東京都 女性37歳)
「テレビを見る習慣がないので、友達と集まって年越しを楽しみます」(茨城県 男性39歳)
「面白い番組がないので、ゆっくりとお酒を飲んで今年を振り返る」(山口県 男性33歳)
「DVDかYouTubeを見て過ごす」(東京都 女性65歳)
“特別な日”にどうすれば視聴者の目をテレビに戻せるのか? 多様化してきた大みそかの過ごし方を前に、テレビ局スタッフたちの悪戦苦闘はこれからも続く─。
取材・文/蒔田 稔