寺田心 撮影/伊藤和幸

 朝ドラ『らんまん』で虎鉄(濱田龍臣)の少年時代を演じ、“え、心くん? 大きくなって!”と話題になった寺田心

 12月15日公開の『屋根裏のラジャー』でアニメーション映画の声優に初挑戦。

「自分の声が主人公・ラジャーとして映画の中で生きていることに、すごく喜びを感じます。走るシーンは、実際に走りながらやってみたり。声だけで命を吹き込む声優のお仕事は難しいけど、楽しかったです!」

“こんなに声が高かったんだ”

『かぐや姫の物語』(2013年)や『思い出のマーニー』(2014年)をスタジオジブリ時代に手掛けた西村義明プロデューサー率いる“スタジオポノック”の最新作だ。

「ポノックの作品は家族みんなが好きなので、絶対にやりたくて。オーデイション前日には神社で祈願も。役が決まった時は、母と祖母と一緒に泣いてしまったくらい、うれしかったです

 アフレコ収録は、声変わり直前。すっかり声変わりした現在、完成作を見ると、

“僕ってこんなに声が高かったんだ”と驚きました

 ラジャーは、少女・アマンダが想像の中で生み出した友達(イマジナリ)。ともに想像と現実の世界を駆け巡りながら成長する物語だが、寺田にも同じような経験が。

「母からもらったクマのぬいぐるみの“コロちゃん”とは、赤ちゃんのころからずっと一緒でした。ご飯やお出かけはもちろん、おしゃべりしたり、見えない想像の敵を一緒に倒したり。でもある日、突然コロちゃんの声が聞こえなくなって。きっと、僕の成長を見届けたタイミングだったんだと今は思うようにしています」

 現在も、コロちゃんは寺田の机の上にしっかりと。

ひたむきさ、家族の愛、友情……。この映画は、成長とともに薄れゆくものを思い出させてくれると思います。それに気づいたときに温かな気持ちがこみ上げてくる。僕にとっても、大切な作品になりました」

スイーツ作りは講師級

 収録現場には手作りスイーツを何度も差し入れたという。

「カヌレ、ギモーヴ、ココアのモンキーブレッド……あと、何だったかな? 僕が通っている料理教室には3種類の講師資格があって。“料理”と“スイーツ”を受験して、ともに満点合格! 自慢じゃないけど、自慢したいです(笑)。次は“パン”でも満点合格して、講師資格をコンプリートしたいです」

 現在、中学3年生。毎朝5時に起床し、家族の朝食&自分のお弁当を作って、通学しているという。

身長ですか? 165cm以上あります! 中学でバスケ部に入部して、たくさん牛乳飲んだら40cmくらい急に伸びました。175cmくらいまで伸びたらいいな」

 今、ハマっているのは筋トレ。

“夏にプールで脱いだら意外とカッコいい!”というシチュエーションに謎に憧れていて(笑)。もう2年くらい“筋肉磨き”をしまくっています。残念ながら僕の筋肉は硬くなって締まるタイプなので、全然大きくはならないんですけど……。そんな筋トレ&バスケの筋肉痛、そして成長痛。とにかく毎日、痛くて仕方がないです(笑)」

 2023年を、幸せな1年だったと笑顔で振り返る。

どのお仕事も学ぶ場であり、転機だと思っています。朝ドラや今作での声優を含め、それぞれのお仕講師急しい僕をみなさんにお見せできたことがうれしかったです!

 その未来は、希望と可能性で輝いている--。

来春から高校生に!

 好きな教科は社会(地理と日本史)と国語。英語は文法がやや苦手だそうで。

“コツコツ勉強していそう”って友達には言われますが、実は短期集中型。始めるのはテストの3、4日前から。スイッチが入れば1日10~12時間くらいバーッとやるタイプ。勉強のモチベーションは焦りですね(笑)。だから計画的にやれる人は羨ましいです

俳優と両立させたい夢

俳優と両立して、動物医療の仕事につけたらと思っています。テレビの撮影で、老犬の保護施設でお手伝いをしたことがあって。その後も、月1回ペースでボランティアに行っています。困っている子たちを、自分の手で保護したい。僕が大人になる頃には、悲しい子たちがいなくなっている状況がいちばん望ましいんですけど……。動物医療のお仕事を、芸能活動を通じてみなさんにお伝えすることもできるのかな、と思っています

『屋根裏のラジャー』

『屋根裏のラジャー』12月15日(金)全国東宝系にて公開 (C)2023 Ponoc


取材・文/中川薫 撮影/伊藤和幸
ヘアメイク/奈良原友美 スタイリング/高橋由光
衣装協力/MILKBOY