《9月以降、当該事務所の会見および具体的対策への動き等が認められております。未だ解決の道筋は見えず、むしろ緒についたところとも言える本問題ですが、社会的関心は言うまでもなく非常に高く、BPOにも視聴者からの意見が数多く寄せられています》
12月4日、放送倫理・番組向上機構『BPO』が理事長名義で声明を発表した。
“当該事務所”とは、新社名が『スタートエンターテイメント』に決まった旧・ジャニーズ事務所。“問題”とは言うまでもなく故・ジャニー喜多川氏による性加害問題だ。
「今年の10月にBPOに視聴者より寄せられた意見は、発足以来最多となりました。その多くは性加害問題についてのもの。特に事務所側が記者会見を開いた際に、特定の記者に関する“NGリスト”が存在していたという報道に関する意見が多数寄せられたそうです」(芸能プロ関係者)
BPOの姿勢は
BPOは、視聴者から寄せられた意見をもとに、放送されている番組が人権侵害や虚偽、捏造、また低俗で俗悪な表現が存在しないかをチェックする機関。'07年に日本民間放送連盟の会長(当時)が、
「BPOの判断というのは最高裁の判断みたいなもので、ここが判断を出したら、いろいろ言いたいことはあっても、すべて守っていく」
と衆議院の委員会で話すなど、放送業界において、ある種の権威。しかし、今回の“最高裁の判断”について批判の声が。『芸能事務所における性加害問題について』というBPOの声明は、以下の文言が続く。
《本問題に対しBPOの各委員会が速やかに審議入りをして、放送局を諫めるべく動きをとることを期待する声も多数いただいております》
「長々と続く声明は見解というほどでもなく前置き程度。最後に記された“各放送局の今後の取り組みをたゆまず注視してまいります”“適時、さまざまな形で放送局と議論する場を設けて、意見をたたかわせていきたい”くらいしか内容のないものでしたね」(前出・芸能プロ関係者、以下同)
BPOは「見てるだけ」
要するに“今後もいろいろ目を光らせてはおきます”“いつかどこかで会議します”という、問題についての具体的な対応を明確にしたものではなかった。
「BPOはその存在意義として“番組を注視”するのは通常業務のはずです。そのためこの文面はいつもと変わらず業務を行いますという話にすぎないですね」
SNS上でも非難の声が上がっている。
《注視しますって、見てるだけで何もしませんでしょ》
《視聴者からたくさんの要望があったのにBPOは何があれば動くの?》
《監査するBPOも、人が死んでいる重みを真剣に受け止めろ》
《議論の場は“いつ”設けるの? 言ってるだけじゃん》
現在のBPO理事長は大日向雅美氏。心理学者で恵泉女学園大学学長だ。専門は発達心理学(家族・親子関係)、ジェンダー論。ジャニー喜多川氏と所属タレントたちはまさに“親子”的な関係であった。今後、彼が親として行っていた性加害についての報道はどのような動きを見せるか─。