「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。有名人の言動を鋭く分析するライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。
第95回 南野陽子
女優・南野陽子の夫が業務上横領で逮捕され、南野は離婚を発表しました。12年に及ぶ結婚生活はトラブル続き。「週刊新潮」に自宅や経営するバーなどの未払いを報じられ、銀座のママさんとの不倫や妊娠が報じられたこともありました。ヤバ夫と法的に縁が切れたことで、南野の周辺は、ほっと胸をなでおろしていることでしょう。梅宮アンナ、高垣麗子、亜希など女性芸能人の夫が警察のお世話になることは時々あり、彼女たちは「オトコ運が悪い」と片づけられがちです。
天下の美女で、引く手あまたな彼女たちが、なぜよりによってヤバいオトコを選ぶのか、どうして幸せになれないのかという気持ちから、「オトコ運が悪い」と言われてしまうのでしょう。おかしな言い方かもしれませんが、それは美女だからだと思うのです。
人気女優と結婚したい富豪は後を絶たない
女優が一般人男性との結婚を発表し、相手のプロフィールを詳しく聞いてみると、じつは富豪だったということはよくある話です。女優はお金持ちが好きという見方をする人もいるでしょう。もちろん、それは間違いではないと思いますが、そもそも、みんなの憧れの的である美人女優を口説くには、自分に相当自信のある男性でないと無理だと思います。資本主義社会において、一番わかりやすい成功とはカネを稼ぐこと。周囲にも丁重に扱われて、自信がつくことでしょう。トロフィーワイフという言葉があるとおり、妻の社会的な立ち位置を成功の証と考える男性もいますから、ともかく人気女優と結婚したいと考える富豪は後を絶たないのではないでしょうか。
が、この自分に自信がある人、というのが、なかなかクセ者だと思うのです。一代で財を成し、自信をつけて女優を妻にした男性は、さらなる成功を求めてバリバリ働くことでしょう。しかし、景気などのあおりをうけて事業が一気に傾いてしまい、離婚に至ることは珍しくありません。また、美人女優を妻にしたことで、ヘンな自信がついて、より人に羨ましがられる女性を求める可能性も捨てきれません。そうなると、結婚生活は落ち着かないものとなってしまうでしょう。
もっと厄介なのは、世の中には実績もないのに成功者のように振舞う人も、少なからずいること。こういう人は「成功者になりたい」のではなく、「成功者だと見られたい」のだと思います。しかし、世の中は甘くないので、実績のない人をビジネスの相手として扱いません。ですから、こういう人はカモフラージュとして、有名人と知り合いであることをアピールしたり、高級ブランドで身を固めて「自分は成功者である、羽振りがいい」とアピールしがちです。
口ばっかりのヤバい人が寄ってきてしまう
南野と元夫は焼肉店で出会ったそうですが、「成功者に見られたい人」にとって、知名度があり、経済力もある南野のような女優との出会いは千載一隅のチャンスと言えるでしょう。この機会を逃してなるものかと死に物狂いでグイグイ口説いてくるでしょうし、この押しの強さを女性側が愛されている証拠だ、運命なんだと勘違いしてしまうと、どツボにはまってしまうのでしょう。その結果、周囲からは「なんであんな人とつきあっているんだろう、なんで別れないんだろう」と思われる男性とつきあってしまうのではないでしょうか。
こうやって考えていくと、美人女優に寄ってくる人は、ほんの一握りの成功者か、自分を成功者に見せたい、口ばっかりのヤバい人が寄ってきてしまうと言えるのではないでしょうか。どちらにしても、安定とはほど遠い人たちで、その結果、トラブルが起きやすくなるのだと思います。
南野の元夫はPL学園出身だそうですが、銀座のクラブで「キヨさん(筆者注:元プロ野球選手の清原和博氏)の後輩」と吹聴していたそうですが、すべてがウソではないけれど、だからといって、まるまる信じるのは危険な話し方をする人だなという印象を私は受けました。元夫がPL学園出身であることは本当でしょうし、その気になればすぐに調べられることです。けれど、清原氏をキヨさんと呼べるほど親しい関係かどうかは、清原氏本人に聞いてみないとわからない。ですから、有名人と親しいかのような話は言ったもの勝ちで、自分を大きく見せたい人が取る常とう手段である可能性は捨てきれないのです。私なら、こういう有名人と親しい話を聞かされたら「どんなご関係?」と納得もしくは相手がボロを出すまで聞きだそうとしますが、南野のように自分自身が有名人の場合、周囲も有名人だらけなわけですから、「そうなんだ」とあっさり信じてしまうのでしょう。有名人のほうが、世間知らずゆえにダマしやすい部分があるのだと思います。
“いい夫”を演じることは朝飯前
結婚以来、元夫の悪行はちょこちょこ報道されてきましたが、南野はずっと元夫をかばってきました。「徹子の部屋」(テレビ朝日系)では、元夫が南野のお母さんのお見舞いに一緒に行ってくれたこと、お母さんも元夫に感謝していると話していました。多少ルーズなところがあっても自分がカバーすればいい、両親も気に入っている“いい夫”な面もあると思って決断できなかったのかもしれません。しかし、「成功者に見られたい人」は「人にどう見られるか」ばかり気にしていますから、お見舞いのようなギャラリーがいる場所では、“いい夫”を演じることは朝飯前のことではないでしょうか。元夫は南野のお父さんの介護を進んで引き受けてくれたそうですが、「女性自身」によると、元夫は介護施設に振り込む費用を使いこんでいたとのこと。外面が良くても、ウラではこんなことをしているわけで、“いい夫”とは言えないと思います。
拙著『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)において、美女の婚活が難航しやすい理由を書いていますが、ダマされる美女にもヤバい点がないとは言えません。彼女たちの共通点は、おっとりしつつも頑固なこと。人を疑うことを知らないので、相手についてよく知らないままに交際をはじめてしまい、その後にヤバい事実が判明しても、聞く耳を持とうとしない。惚れた弱みという見方もできるでしょうが、プライドが邪魔して、本当のことを知るのが怖いのかもしれません。有名人であること、美女であることは現代の世の中では“武器”となりえますが、その分、それを利用しようと悪い人も寄って来るので注意が必要ということでしょう。芸能人であろうとそうでなかろうと、交際相手が「この間と言っていることが違う」「周りからの評判が悪い」と思ったら、周囲に意見を求めることをおすすめしたいと思います。
<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」