アンミカ

 年末の年越しそば商戦をねらった『日清食品』の誤算だったのかーー。

 12月6日から同社公式HP上で公開された『日清のどん兵衛』シリーズの新CM「最強アンミカーニバル篇」(ウェブ限定)で、キツネ耳に派手な衣装をまい、自身のオリジナル楽曲のリズムに乗って歌い踊るアンミカ

 さながら松平健の『マツケンサンバ2』を彷彿させるノリで、「出汁ってデリシャスミックスジュースやねん」と商品の『最強どん兵衛』を全力でアピール。日清の企画意図にもある《いつも最強にポジティブなアンミカさん》を体現するようなCMが炎上騒動に見舞われた。

「Xを中心としたSNSで拡散されると、1年の締めくくりにふさわしいお祭りムード漂う派手な演出を楽しむ声がある一方で、“うるさすぎ”などと批判的にとられ、さらに一部のネットユーザーからは“密入国者”などと、アンミカさんに対する事実無根の誹謗中傷を向ける騒動に発展

 人気商品の『どん兵衛』だからこそなのか、不買運動を呼びかけたり、中には単にアンミカさんを口撃したいだけと思えるユーザーも散見されたりと、日清にとって想像しなかった騒動と言えるでしょう」(スポーツ紙芸能デスク)

 このアンミカ騒動によって待望論が上がったのが、2017年から5年間にわたって同商品のテレビCMイメージキャラクターを務めた吉岡里帆。彼女が扮する“どんぎつね”の可愛らしい仕草に、共演した星野源ならずともドギマギした視聴者も多かっただろう。

どん兵衛の購入者といえば30代から50代、特に男性がメインとされています」と、広告代理店マーケティング担当者が解説するように、男性人気が高い吉岡はなるほど、どん兵衛CMにはピッタリの存在だったようだ。

 ネット上では《吉岡里帆こそ最強》《もう一度吉岡里帆さん戻ってきてほしい!》などと、どんぎつねのカムバックを切に願う声も聞こえる。

アンミカCMは9000万回に迫る表示回数

「ただ世の中の男性を喜ばせた一方で、吉岡さんが演じた“あざとい”キャラを疎ましく思う一定数の意見も聞こえたのも事実。彼女は5年間の契約満了をもって降板しましたが、日清さんとしては男性だけではない、新たな市場を開拓したい思惑があったのかもしれません。

 翻って美容のカリスマ、“通販の女王”として名を馳せたアンミカさんは主婦層に刺さるアイコン的存在。テレビではなくウェブ限定のCMとのことですが、試験的な試みとして財布を預かる彼女たちに向けたのでしょう」

 炎上騒動がネットニュースでも報じられたためか、どん兵衛の公式Xに投稿された「最強アンミカーニバル篇」のポストは、12月16日までに約9000万回に迫る表示と、桁違いにバズっている。

「誹謗中傷などの批判的意見を繰り返し投稿しているのは一部ユーザー」と同・広告代理店スタッフが明かすように、結果としてアンミカCMは抜群の宣伝効果をもたらしたようだ。

『日清のどん兵衛』CMで“どんぎつね”に扮した吉岡里帆(公式インスタグラムより)

 そしてもう1人、どん兵衛と聞いて消費者の頭の中に浮かんだのが、2004年から2015年までの12年間にわたってどん兵衛を“食べ続けた”元SMAP・中居正広だ。特に年末商戦には、毎年のように年越しそばを前面に打ち出す限定CMも投入され、商品PRに勤しんでいた中居。

 その“どん兵衛愛”は「ビジネスライクではなく、プライベートでも愛食者です」とは老舗芸能プロダクションのベテランマネージャー。

「大金を稼ぐ国民的スーパースター・中居さんですが、外食を好まずに自宅にはどん兵衛を買い置きして常備。お腹がすけばそれらを食べれば満足する、彼の冠番組でも“効きどん兵衛”企画を打ち立てるなど、公私にわたって食べ続けてきた大ファンなんです。

 そうそう、長年にわたってTBS系五輪キャスターも務めてきましたが、海外で長期滞在になった際には中居さんが差し入れで持ち込んでいたのか、同局プレス室にはどん兵衛の蕎麦・うどんの2種類が箱で置かれていて、忙しくて食事もままならないスタッフのお腹を満たしていたそうです」

7年ぶりにソフトバンクCMに復帰

 そんな嘘偽りないどん兵衛愛が、テレビCMを通して滲み出ていたのだろう。SNSでは中居の復帰を望む声も上がっている。

年の瀬に中居くんのどん兵衛のCM見てワクワクした。年末の空気も色も特別だったあの頃。またワクワクの年の瀬を感じたいなあ》

《どん兵衛といえば中居くんなので、ずっとどん兵衛大好きなのでずっと食べてるよ いつかまたCM復帰してくれる日がくると願って ソフトバンクのように

 2009年から2016年にかけてSMAPメンバーとして出演していた『ソフトバンク』CMに、2023年にカムバックを果たして話題になった中居。2016年の『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)で最後に流れたCMでは、SMAP映像の後に『白戸家』のおとうさん犬が「さよならじゃ、ないよな」と話していたが、7年越しの伏線回収した格好だった。

「もちろん吉岡さんのどんぎつねやアンミカさんのアンミカーニバルも魅力的なコンテンツですが、どん兵衛と聞いて年の瀬に思い出されるのは演技抜きで美味しそうにどん兵衛を食べる中居さんの姿なのでしょう。

 ソフトバンクさんと同様にどん兵衛でも、老若男女に愛される国民的スターのCM復帰を見てみたいですね」(前出・広告代理店マーケティング担当者)

 末長く愛されるのはどん兵衛と一緒のようだ。