キッチンボードのつり戸棚の右側は乾物類、左側によく使う食器類を。冷蔵庫横の収納ボックスには目線から下には缶詰やストック食品など、目線より上には使用頻度の低いキッチン掃除用品が入っている 撮影/伊藤和幸

 クリスマスや年越しに向け、食材を買い込む時期。キッチンまわりが大渋滞の人も多いのでは?そこで、週刊女性おなじみの冷蔵庫収納&食品保存アドバイザー・島本美由紀さんが片づけ法をアドバイス!「冷蔵庫のスペシャリスト」島本さんのご自宅キッチンを突撃取材!

 冷蔵庫収納&食品保存アドバイザーとしても活動している、島本美由紀さん。

3つのルールで食品をしっかり収納

「仕事柄、たくさん食材を買うことが多いのですが、うちのキッチンはマンションの標準サイズなので広くはありません。

 だから買い物のあとの食品収納がけっこう大切なんです。冷蔵庫やストック棚などがゴチャゴチャしていると、使い忘れが出たり、取り出す手間がかかってしまうことも」(島本さん、以下同)

 その結果、賞味期限切れになったり、ムダ買いになってしまうと時間的にも経済的にもソンだ。

引き出しごとにラベリング分けをしている。缶詰や細長い乾麺類は浅い引き出しのほうが見やすい。スープ類は箱から出し、レトルト食品は立てて収納。賞味期限は上から見えるところに書いておくと安心だ 撮影/伊藤和幸

「料理は冷蔵庫を中心にまわっているので、キッチン整理の最大の要は冷蔵庫なのだと思います」

 島本さんは“うっかり”を防ぐため、「見える」「まとめる」「取り出しやすい」という3つのルールを設けている。

「見えるというのは、棚や冷蔵庫のドアを開けたとき、どこに何があるかをパッと見でわかるようにすること。ある程度、スペースを空けておくと、何が入っているのか把握できます」

 家族にもわかりやすい庫内ルールを作っておくと、いつもきれいな状態をキープできるようになる。

料理酒やみりん、油などはコンロ脇に常温保存でOK 撮影/伊藤和幸

「あちこちに散らばらないよう、まとめておくことも大切。“ダブり買い”も防げます。使いかけのものは、バラバラに収納するのではなく、ひとまとめにしておくこと。

 うちでは冷蔵庫のそばにストック食品を収納することで、冷蔵庫の中身と同時に確認することができ、献立が立てやすくなります。効率よく動けるため、調理作業もラクです」

 引き出し内も、缶詰やレトルト食品、乾麺、お茶の葉など、いろんな場所に点在しないよう、それぞれまとめておくと便利だという。

「どんなにきれいに収納しても、使い勝手が悪いようでは意味がありません。トレーやカゴ、容器を使ってスムーズに出し入れできる状態にしておくとラク。日頃から7割以下の収納を心がけておくといいでしょう」

冷蔵室は位置ごとの温度に合わせて配置! 撮影/伊藤和幸

冷蔵庫内はざっくり定位置を決めておく

 日本では年間523万トンもの食品ロスがある。これは、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量の約1.1倍に相当。例えると、国民1人あたり、毎日おにぎり1個分(約114グラム)の食べ物が捨てられている。

「毎日の『もったいない』をなくし、大切な食材をムダなく、おいしく食べ切るようにするためにも冷蔵庫内の食品収納はとても重要です」

 買い出し後はすぐに食べる野菜は野菜室、それ以外は生のまま冷凍しているそう。肉や魚も使う分だけチルド室へ。すぐ使わない肉類は下味冷凍すると2か月保存が可能で、安い肉もおいしくなる。

乾物やだし類、昆布は密閉容器にまとめて常温で保存。特に昆布類は冷蔵庫に保存するとカビが生えやすい。引き戸の中も7割収納が基本なので手が届きにくい場所はわざと空ける 撮影/伊藤和幸

「冷凍室は詰め込んだほうが電気代節約になりますが、見やすくなるよう密閉袋を縦にし、日付と品名を書き留めておくと安心です」

 反対に野菜室はあまり詰めすぎないほうがいいと話す。

 冷蔵室もパンパンだと冷気が効率よくまわらなくなる。

「鮮度を保つためには、庫内温度についても知っておくと便利です。例えば、牛乳や卵をドアポケットに置きがちですが、ドアの開閉で温度変化があるのでおすすめはできません。調味料や常温保存できる飲み物が適しています」 

 傷みやすい卵を長持ちさせるなら棚の取り出しやすい位置へ。一番下の段は半分ぐらい空けておき、鍋や生菓子などを入れる場に。

よく使うものは中段へ。常備菜などを入れる密閉容器は横から見ることが多いので、透明なほうがわかりやすいです。上段にはドリンクやお酒、こんにゃくなど長期保存ができる食品を置いています」

 定位置を決めすぎるとムダも出てくるため、ざっくり仕分けるだけでもよい。

「年越しのための買い物をしたり、年末、駆け込みでふるさと納税を申し込み、大量の食品が届くという人も多いはず。

『もったいない』をなくし、大切な食材をムダなく、おいしく食べ切るようにするためにも、冷蔵庫を中心としたキッチンまわりの収納はとても重要です」

ドアポケットに調味料をまとめる 撮影/伊藤和幸

冷凍室

 詰めたほうが節電にも◎

冷凍室 撮影/伊藤和幸

 8割以上収納したほうが冷気が逃げにくい。が、取り出しやすいよう下段は冷凍食品や平らにした肉などを金属製ブックエンドを使って立てて置く。

 下には100円均一のアルミシートを敷き、冷却効果アップを狙う。

野菜室

 7割以下にして重ねない

野菜室 撮影/伊藤和幸

 下段には新聞紙を敷いておき、汚れたらすぐに取り替えると便利。葉物野菜は立てた状態で収納すると鮮度をキープできる。

 上段のトレーにはすぐ使う野菜や使いかけの野菜をまとめたカゴを入れ、迷子防止に。

冷蔵室は位置ごとの温度に合わせて配置!

(1)ドアポケットに調味料をまとめる〔6〜9℃〕

 よく使うものを下段にまとめておくと取り出しもスムーズ。背の高いものは奥にすると見つけやすい。薬味チューブ類は迷子になりやすいため、半分に切ったペットボトル容器にまとめて保存するのも手。

半分に切ったペットボトル容器にまとめて保存するのも手 撮影/伊藤和幸

(2)長期保存できるものを上段へ〔5~6℃〕

 温度が高めなのでドリンクやお酒などの保存向き。開封前の水煮などの要冷蔵食品はトレーにまとめると出し入れがスムーズ。

(3)中段は頻繁に出し入れするものを〔4~5℃〕

 日常的に使うものをまとめたトレーや、作り置きのおかずを。保存容器は透明なもののほうがひと目で中身や残量がわかるため、常備菜などの食べ忘れを防ぐのに有効。

中段は頻繁に出し入れするものを 撮影/伊藤和幸

(4)傷みやすい食材は下段に保存する〔3℃〕

 冷たい空気は下に流れる性質があるため、豆腐など傷みやすい食材は下段に保存。使いかけの食材はトレーにまとめてココへ。半分は鍋などが入るよう空けておく。

傷みやすい食材は下段に保存する 撮影/伊藤和幸
島本美由紀さん●料理だけにとどまらず、エコの観点から食品保存や冷蔵庫収納を提案する「食品ロス削減アドバイザー」、「冷蔵庫収納&食品保存アドバイザー」としても活動。著書に『ムダなく使い切れる!冷蔵庫収納術』(コスミック出版)。
島本美由紀さん●料理だけにとどまらず、エコの観点から食品保存や冷蔵庫収納を提案する「食品ロス削減アドバイザー」、「冷蔵庫収納&食品保存アドバイザー」としても活動。著書に『ムダなく使い切れる!冷蔵庫収納術』(コスミック出版)。
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文/鶴町かおり