「今年で高校を卒業しましたが、まだまだ制服姿で学生役を演じたいです!」
大人っぽい紺の着物に身を包みながらも、あどけなさを残す表情で話すのは、女優の本田望結だ。
2023年は変化の年だった
本田といえば、幼少期から俳優とフィギュアスケートで活躍してきた。そんな本田もいまや19歳。これまで長年、表舞台で存在感を発揮してきた彼女だが、過去には両立を諦めかけていた時期もあったという。
「中学校に進学するあたりで、フィギュアスケートに専念しようかと考えていた時期もありました。俳優一筋でやられている方からしたら、自分は『中途半端なんじゃないか』『欲張りなんじゃないか』と引け目を感じることもあったんです。
その時に救われたのが平泉成さんからの一言でした。当時、平泉さんとはドラマで共演して再会したのですが、撮影の合間に『望結ちゃん』って呼ばれたんです。なんの前触れもなかったので、『突然なんだろう』と思っていたら、『お芝居もスケートも、好きなことがたくさんあるのはすごいことなんだよ』ってアドバイスをくださったんです。久々に再会して、私の変化に気づいてくれたのかと思うと、平泉さんはすごい方だなと思いました。
それ以降、『フィギュアスケートと芸能活動を両立していこう』と思えるようになり、今の自分があります。悩む時期もありましたが、要所要所で、平泉さんのような素敵なつながりに支えられることも多かったです。こうした素敵なつながりがたくさんあるのも、幅広く続けてきたからだと思います」
本田にとって2023年は、変化の1年でもあった。初の一人暮らし、連ドラ初出演ーー。生活環境も大きく変わった中、近況について「とにかく一人暮らしが寂しい」とこぼした。
溺愛する妹が冷たい!?
「一人暮らしは寂しいです。最近、帰省して嬉しかったのは、父が家庭菜園を始めたらしく、そこで採れた野菜を母が振る舞ってくれたことです! ただ、それと同時に、家族の知らないことがどんどん増えていくと思うと、実家暮らしの頃を思い出して切なくなってしまいました……。
本田家はきょうだい揃ってフィギュアスケートをやっていたので、みんな小さい頃から忙しかったのですが、毎朝一緒にご飯を食べていたんです。各自フィギュアの練習で、生活リズムもバラバラでしたが、みんな早く起きる人に時間を合わせて、早朝に学校の宿題をやるのが習慣でした。
そこで母が『糖分を取ると頭が冴えるから』と、毎朝アイスを出してくれたのを覚えています。今は一人だからこそ余計に、温かい家庭だったと実感しています」
一人暮らしが始まり、両親やきょうだいと連絡を取る頻度もより増えたというが、こんな不満もぼやく。
「妹(紗来)が、私に冷たいんです! 私は溺愛しているんですけど、温度差を感じるんです。電話しても『え、なに?』みたいな感じで、淡白な対応されるんですよ。きっと紗来はツンデレなんだと思います」
本田は2023年、NHK連続テレビ小説『らんまん』にて主人公の娘役を熱演、フィギュアスケートでは『ワンピース・オン・アイス』に出演するなど、多岐にわたる活躍を見せた。ただ場数が増えていくごとに、心配事もあるという。
「今は年下の方との付き合い方をどうしていいか悩んでいます。これから現場でも増えてくると思うのですが、どう接していいのか全然わからなくて……。慣れていないからドキドキしてしまいます。
これまでは年下として扱われることが圧倒的に多かったので、今後は年下の方にも頼られるような俳優になれたらと思います。ただ演技では、まだまだ学生役を演じて制服を着たいです(笑)。普段は大人っぽさを感じさせつつも、演技では若々しさも出すことができるようになりたいですね」
大人の階段を登り続ける彼女から、ますます目が離せない。
構成・文/佐藤隼秀 衣装協力「ジョイフル恵利」「振袖ハクビ」