長年にわたりシミひとつない美肌を維持している女優の丘みつ子さん(75)。さぞかし手をかけているのだろうと思いきや、実は美容にはほとんど気を使っていないそうだ。
手作りの化粧水がお手入れの基本
「夏でも日焼け対策はけっこういいかげんなんです。周囲の人にすすめられて毎年、一応、日焼け止めクリームは買うんですが、パッケージも開けていないくらい(笑)」
そんな丘さんの普段のお手入れの基本は、手作りコスメ。
「もともといろんなものを手作りするのが好き。1年中使っているのは、ゆずの種をホワイトリカーに漬けて濾した『ゆず化粧水』。寒くなって肌が乾燥してきたら『蜜蝋(みつろう)クリーム』もプラスします」
コスメ作りを始めたのは、今から25年ほど前だ。
「友達のおばあさまがすごく美肌だったんですよ。何をされているか伺ったら、ご自宅のゆずの種で化粧水を作っているとおっしゃって。そのゆずを少し譲っていただいて教えてもらった方法で作ったのが始まり。
ホホバオイルを混ぜると保湿効果が高まりますし、すべて食べられる素材でできているので安心。それから毎年、冬には化粧水1年分の量のゆずの種をホワイトリカーに漬けています」
もうひとつ、ミツバチの巣からとれる天然の蝋成分である「蜜蝋」とホホバオイルを混ぜた保湿剤も、20年ほど愛用している。
「ホホバオイルを多めに加えれば保湿クリームのように使え、かために仕上げればリップクリームに。私は小さな容器に入れていつも持ち歩いて、気になったところに塗っています。
もともと乾燥肌ですし、スキンケアの工程が少ない分、自分の肌の調子がどうなのかは常に気にかけ、作る際にはその季節に合わせて油分の調整をしています」
運動と食事で肌の健康もキープ
30代ごろからトライアスロンの大会に出場するなど、丘さんに長年の運動習慣があることも美肌の秘訣かもしれない。
実は、ポーラ化成工業の研究で、筋肉量が多い人ほど、顔のシミが少ないことがわかってきたのだ。これは筋肉から作られる物質がシミのもと「メラニン」の生成を抑制するためと考えられている。
「今は寝たきりにならない身体づくりをしたいと思い、医師に相談して市販の握力計を20回ぐらい握る筋トレを毎日のように続けています。握力計は手頃なものは2000円ぐらいで買えるので、ぜひシニア世代におすすめしたいですね!
マラソン大会にもまた出場したいので、週1回、夕方に75分以上走るようにしています」
ほかにもテレビを見ながらゴムバンドを両手に持って身体をひねったりと、ながら筋トレもよく行う。いずれも無理はせず、自分のペースで続けることが大切だと話す。
食事面では、夫とともに1日に300グラムを目標に野菜をとるようにしている。
「毎朝、自家製のみそを使い、野菜をたくさん入れたみそ汁を食べるんです。きのこ類は必ず入っていますね。基本1日2食で、夜は会食などがない限りはほとんどとりません」
その分、しっかり栄養をとりたいので、食事メニューにはこだわっていると話す。
「基本、皮ごと料理するので、ゴミがほとんど出ません(笑)。大根の葉はじゃこと一緒に炒めてご飯のおかずに。ほうれん草の根っこも全部いただきます。根の部分って、甘くてちょっと歯ごたえがあっておいしいんですよ」
料理をするのは好きだが、仕事で忙しいときは無理をしないことも大事だと語る。
「時間がある日にまとめて調理したものを冷凍しておき、食べるときに電子レンジを使ったりしますよ。ポトフをたくさん作ったらカレー風味に“味変”して2~3日食べることも。
私はある意味、マイペース。手作りコスメも運動も食生活も、自分にできることを少しずつ積み重ねたことが、今の肌や健康につながっていると思っています」
丘さん流「美肌習慣」
1:野菜は皮つきのまま1日300gを目標に!
大根やにんじんはよく洗って皮つきのまま調理。旬の野菜やきのこ類を中心に毎日、300gを目標に摂取。
2:簡単筋トレと有酸素運動はマスト
いつまでも元気に過ごせるよう、ながら運動で握力や筋力を鍛え、週に75分を目安に走っている。
3:乾燥が気になったらホホバオイルの助けを
もともと乾燥肌だという丘さん。乾燥が気になるときには自家製化粧品に使うホホバオイルの量を増やして保湿力アップ。
20年以上愛用中の自家製コスメ2品
ゆず化粧水
材料はゆずの種とホワイトリカーの2つだけ。「ゆずを料理に使った場合も種を取り出して活用」。丘さんはホホバオイルを足して使っている。
(1)ゆずの種をホワイトリカーに浸す
煮沸消毒したびんにゆずの種を入れ、ホワイトリカーをびんの縁まで注いでフタをする。作りやすい分量はゆずの種140gにホワイトリカー720ml。ホワイトリカーの代わりにほかの甲類焼酎にしてもOK。
(2)冷蔵庫に入れて1日1回かき混ぜる
(1)を冷蔵庫に入れ、1日1回、ゆっくりとかき混ぜる。中身にとろみがつくまで1週間から10日ほど置く。
(3)濾したものをびんに入れて保存
キッチンペーパーなどで(2)を濾して種や残りカスなどを取り除き、煮沸消毒したびんに入れて冷蔵庫で保存。丘さんはキッチンペーパーに残った分を足や身体の保湿用に使っているそう。
※塗布する前に、二の腕の内側などで必ずパッチテストを行いましょう。肌に合わない場合は使用を控えてください。作った化粧品は早めに使い切ってください。
蜜蝋クリーム
鎮痛・抗炎症作用を持つ成分が含まれる蜜蝋。顔だけでなくハンドケアやボディケアにも活用しているそう。
・湯煎した蜜蝋にホホバオイルを足すだけ
蜜蝋を60℃の湯煎にかけて溶かしてホホバオイルを加えて混ぜる。割合は「蜜蝋:ホホバオイル=1:10」だとリップグロス、「1:15」だとやわらかめで顔に塗ったり、かかとやひじ用にも最適。
取材・文/熊谷あづさ