『嵐活動休止表明会見』に登場した5人。

 相葉雅紀(41)、松本潤(40)、二宮和也(40)、大野智(43)、櫻井翔(41)からなる5人組で、2020年末から活動休止しているものの、いまなお国民的アイドルグループとして君臨している嵐。

 嵐と言えば、それぞれがドラマや映画の主演をバンバンこなすほど個々の人気も高く、芸能活動休止中の大野をのぞくメンバー4人は2023年も連ドラ主演を果たしている。

 ……だが実は、嵐メンバー主演の連ドラに地盤沈下が起きていることにお気づきだろうか。

松本の大河、二宮の月9は酷評の“嵐”だった…

《3か月間一緒に観て頂きありがとうございました。世間様の評価評判はあるのは重々承知の上ですが、我々は自分達の道を走り切れた事を誇りに、また次の現場に向かいます。皆々様、本当にお疲れ様でした(ハートマーク)》

 これは12月18日、10月期の月9ドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)の最終話放送直後に、主演した二宮がX(旧Twitter)に投稿したメッセージ。「世間様の評価評判はあるのは重々承知の上」という一文で、同作が酷評されまくっていたことを暗に認めた形になったため、その異例の発言が大きな注目を集めた。

二宮和也

『ONE DAY』の全話平均の世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は5.3%で、月9史上最低を更新。今の時代、リアルタイム視聴を計測する視聴率はもう絶対的な指標ではないが、さすがにひどすぎる記録だろう。

 実際、『ONE DAY』最終話を報じたネットニュースのコメント欄は、次のような批判の声で溢れかえっている。

《爆死……苦笑》

《最期までつまらなかったですね……》

《最後に何かあるのでは?と期待して見続つけていたが、何も起こらなかった。 全話見終えて見るんじゃなかったと後悔したドラマ歴代一位かも》

《びっくりするぐらい最初から最後までつまらなかった。 この俳優陣使ってここまでつまらなく仕上げるのは逆に凄いのか??》

 だが“爆死”したのは二宮のドラマだけではない。

 松本主演の2023年の大河ドラマ『どうする家康』(NHK)もさんざんな結果だった。全話平均の世帯視聴率は11.2%で、過去最低記録となっている2019年の『いだてん~東京オリムピック噺~』(同)に次ぐワースト2位となってしまったのである。

『どうする家康』最終話のネットニュースのコメント欄にも、次のようなネガティブな意見が多数。

《新しい試みをしているのはよくわかったけど、ドラマとして脚本があまり面白くなかったと思う。 主演の松本さんの演技も冴えがなかった》

《視聴率にこだわらなくてもいいとは思うが、出来が今ひとつだったのは確か。脚本家がやりたかったことを大河でする必要はなかった》

《相棒やリーガルハイの古沢さん脚本だったので期待していたのですが、本能寺で見るをやめてしまいました。いつか面白くなるだろうとは思っていたのですが、合戦などの雑なCG、大河としてはかなり稚拙な脚本、本当にがっかりでした》

松本潤

 二宮の場合、2022年主演した日曜劇場『マイファミリー』(TBS系)はヒットしたし、5番手ほどのキャストとして出演した2023年7月期の日曜劇場『VIVANT』(TBS系)は、社会現象化するほどの大ヒットとなっているので、彼の役者としての評価が低いわけではないだろう。

 一方で松本は昨年の主演ドラマ『となりのチカラ』(テレビ朝日系)も、第6話で世帯視聴率7.9%まで下落するなど不評で、彼の演技力を疑問視する声があるのも事実である。

櫻井は謎の続編決定、相葉は勝負から降りている?

 では櫻井のドラマはどうだったのだろうか。

 2023年1月期に放送された主演ドラマ『大病院占拠』(日本テレビ系)は、現在テレビ局が重視しているコア視聴率がよかったため、来年1月期に続編となる『XXX占拠』(同、XXX部分は後日発表)の放送が決定している。

 一見すると『大病院占拠』は好評だったように思えるが、内容が陳腐すぎてツッコミ視聴している層が多かったのだ。雑なストーリー、ありえない演出、チープなCG、不死身すぎる主人公、櫻井の緩慢なアクションなどに対して、視聴者のツッコミがSNSに殺到しており、要するに“悪目立ち”した作品だったのである。

 ちなみに櫻井が主演した前作の連ドラは、同じく日本テレビ系で放送された2021年の『ネメシス』だったが、こちらもつまらないと酷評され視聴率も低かったにもかかわらず、2023年3月から続編の劇場版が公開されて物議を醸していた。当然ながら『ネメシス』の劇場版も不発に終わっている。

 視聴者の評判がさんざんだったにもかかわらず、櫻井の主演ドラマは2作連続で続編制作されているので、日テレが櫻井をゴリ押ししている、もしくは日テレが旧ジャニーズに媚びているように見えてしまうのは否めない。

2022年11月、『大病院占拠』の撮影に臨んだ櫻井翔

 さて、嵐メンバーで活動中の残る1人は相葉だが、実は彼の主演連ドラはもう長らく、“数字”で評価されやすい土俵から降りている。

 2023年10月期に『今日からヒットマン』(テレビ朝日系)に主演しているが、これはGP(ゴールデン・プライム)帯から外れる23時15分スタートの枠。実は相葉主演の過去2作となる2021年の『和田家の男たち』(同)、2018年の『僕とシッポと神楽坂』(同)も同じ枠だった。

 つまり相葉は5年以上、ドラマ業界の第一線であるGP帯の連ドラに主演していないことになる。

 GP帯から外れる深夜枠の作品は、視聴率などの数字がそこまで求められるわけではないので、人気俳優があえて深夜ドラマに出演するというケースも多々あり、相葉もその路線に進んでいるのだろう。だがうがった見方をすると、彼の主演ドラマはもう数字が取れないと判断されている、もしくは彼自身が数字で評価される勝負から逃げている、とも考えられるのだ。

相葉雅紀

 ――このように2023年に放送された嵐4人の主演連ドラは、不評だったり話題にならなかったりで、どれもイマイチ。さらに言うと、昨年『マイファミリー』をヒットさせた二宮を除けば、2023年に限った話ではなく、近年の嵐メンバー主演のドラマは不調続きとなっている。

 もちろん、ドラマは主演俳優が全責任を担っているわけではなく、脚本や演出や共演者など多くの要素が絡んで成否が決まるため、本人には不可抗力な要素も多々あるもの。実際、二宮の『ONE DAY』や松本の『どうする家康』はもっとも批判が集まっているのは脚本のため、彼らにとって不運だったという側面もあった。

 ただ、主演俳優はそういった幸運・不運もひっくるめて評価されるものでもある。

 故・ジャニー喜多川氏の一連の問題の影響で、旧ジャニーズタレントへの過剰な厚遇が今後なくなっていくに違いない。また、“国民的アイドルグループ”と言っても、メンバー全員がもう40代に突入しているため、今後はアイドル人気ではなく役者としての地力が問われるようになってくるだろう。

 嵐メンバーがドラマでも第一線で活躍し続けられるか否か……2024年が正念場となるかもしれない。

堺屋大地●コラムニスト、ライター、カウンセラー。 現在は『文春オンライン』、『CREA WEB』(文藝春秋)、『smartFLASH』(光文社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『日刊SPA!』などにコラムを寄稿。これまで『女子SPA!』(扶桑社)、『スゴ得』(docomo)、『IN LIFE』(楽天)などで恋愛コラムを連載。LINE公式サービス『トークCARE』では、恋愛カウンセラーとして年間1000件以上の相談を受けている(2018年6月度/カウンセラー1位)。公式Twitter:https://twitter.com/sakaiyadaichi