「被害者の女性はほんとに美人ですよ。明るくてやさしいし、おしゃべり好きで人当たりもよかった。そんな彼女が、どうしてあんな無残な殺されかたをされなきゃいけなかったのか……」
と被害者の知人は憤りを口にした。
神奈川県警横須賀署は22日、住所不詳で無職の佐藤央雄容疑者(52)を殺人未遂の現行犯で逮捕した。容疑者は同日午後6時28分ごろ、神奈川県横須賀市のファミリーレストランで、同市に住む早川知恵子さん(49)の胸部を、刃物のようなもので突き刺して殺害しようとしたというもの。
その後、早川さんは搬送先の病院で、午後9時11分に失血性ショックによる死亡が確認。警察は、容疑を殺人に切り替えて捜査を続けている。
他に客がいる中で…夕方に起きたファミレスでの惨劇
「ファミレスでは、佐藤容疑者と早川さんは同じテーブルで話していたようです。すると、別れ話のもつれから、いきなり持参していた刃渡り50センチ以上の日本刀で刺したため、その場は騒然となった。幸いにも周囲の客に被害はなく、目撃者が110番通報したが、容疑者みずからも警察へ連絡したようです」(全国紙社会部記者)
直後のようすを近隣の住民は次のように証言する。
「7時前にパトカーと救急車のサイレンがけたたまかしかったので、外に出て見ようとしたら、家の前の道路ですでに警察が交通整理をしていたので、外には出られなかった。何が起きたのかわからなかったが、のちにニュースで知った。日本刀とは物騒な……」
警察の取り調べに対して、佐藤容疑者は、
「(被害者は)知人で、刺したことに間違いはないが、殺すつもりはなかった」
と一部容疑を否認しているという。
被害者の早川さんは、北海道出身。地元で介護や看護関連の仕事に従事していたが、6年前に一念発起して上京して横須賀市へ。これまでの経験を活かして『家族代行 伝書鳩』という、高齢者を家族に代わって老人ホームやデイサービスなどに連れていく福祉事業を立ち上げた。
横須賀市では、2階建て築30年、間取り2DKで家賃月3万6000円のアパートに住んでいた。冒頭の知人は、最初は伝書鳩の事務所(住所)は東京の知人のところにしていたと説明する。
「医師と組んでやっていたようですが、ちょうどコロナの最中だったので、仕事はうまく回らず、ほかのバイトなどをして食べていたようですね」
その後、早川さんは佐藤容疑者と出会い、千葉県浦安市にある彼の実家で同居することになる……。
佐藤容疑者は神奈川県横浜市で3人きょうだいの長男として生まれ、のちに一家は浦安市へ移住する。
「きょうだいで長男だけは昔から普通じゃなかった。ヤンキーというか、やんちゃな感じでした。なんの仕事をしているのかもよくわからなかったが、しばしば作業服姿を見かけたから、現場で働く仕事だったんじゃないかな」(近所の住民)
実家を出た容疑者は自営で、解体業をしていたようだが、
「いわば“ひとり親方”のようなもので、従業員らしき人はいなかったと思いますよ」(同・住民)
そんななか、容疑者は昨年春、女性を連れて実家に戻ってきた。その女性こそが被害者の早川さんだった。容疑者は早川さんの『伝書鳩』の仕事を手伝うようになり、事業のPRのためにインターネットのラジオ番組も配信していた。
しかし、2人の関係はわずか1年半しか続かなかった。今年9月、早川さんは同居していた容疑者の実家を出ていき、再び横須賀市に戻って一戸建ての借家に住んでいた。
「彼女はいつも車で出かけていくんですが、ときどき自宅にはもう1台、車が停まっていた。顔は見たことないけど、男だったと思うよ」(近所の主婦)
容疑者の父親「被害者は素晴らしい女性」
おそらく、佐藤容疑者だったのであろう。男女の関係は終わっていても、仕事としての関係は続いていたのかもしれない。あるいは、容疑者がよりを戻そうとするために押しかけていたのか……。
容疑者の素顔を取材すべく実家を訪ねてみた。80歳前後の父親を直撃すると、
「すいません。うちの息子が、こんなとんでもないことをしてしまって。でも、弁護士の先生から“話すな”と止められていますので」
と弱々しく答えながら頭を何度も下げた。亡くなった早川さんについては、
「しばらく、ここにいたことは間違いないです。とても素晴らしい女性でしたよ。それが……痴話ゲンカでこんなことになってしまって……。すいません、これくらいで勘弁してください」
と再びうなだれた。
容疑者のSNSには、早川さんと思われる女性と戯れ合う写真が投稿されていた。二人の間に一体何があったのか。佐藤容疑者の身勝手極まりない凶行の罪は、きわめて重い。