44年ぶりに旧ジャニーズ勢の出演がゼロとなった『第74回NHK紅白歌合戦』は、紅組の勝利で'23年を締めくくった。視聴率こそ歴代ワーストとなってしまったが、出場歌手は一年の集大成となるパフォーマンスを披露した。そこに花を添えたのが、それぞれの個性が発揮された衣装たち。
人気スタイリストが選んだ“高見え衣装”は
豪華絢爛な“紅白ファッション”を、人気スタイリストの矢部義浩さんが独自の目線でチェック。お金がかかっていそうな“高見え”衣装を勝手にランキングしてみた!
「全体的にシックな衣装が多く見受けられ、作り込んだ衣装も少なくなってきたように思います。“衣装っぽくない洋服での出場歌手もいるんだなぁ”と、時代の変化を感じました。その中でも特に華やかなものや“絶対に高いでしょ!”という衣装の出場歌手を上位にしています」(矢部さん、以下同)
10位となったのは、パワフルな歌声で沸かせたSuperfly。
「総スパンコールのオールインワン。70's風なベルボトムにフレアスリーブで、コンセプトがしっかり伝わってきました。全身どこを見てもキラキラしているんですもの、高いはず!」
9位には、'23年に大ブレイクしたanoが、個性的な形の衣装でランクイン。
「王冠と“たすき”がミスコンみたいでカワイイ! “ザ・衣装”って感じで素敵。総作りでしょうし高いでしょうね。異素材を組み合わせていて、キラキラ感や派手さもありました」
8位は、2年連続の紅白出場となったグループ『JO1』。その衣装は、今回も高見え!
「あれだけ人数がいるのに、ペールピンクで統一しながらも一人ひとりが凝っているし、トレンド感もありました。ツイードやサテンなどを使い、ゴールドのチェーンなどで華やかさもプラス。ツイードにチェーンの組み合わせは『シャネル』風で素敵! メンバーごとにデザインが違うと、見ていて楽しいですよね」
白組のトリ・福山雅治は、全身ライムグリーンが眩しい衣装で7位に。
「『GUCCI』のダブルボタンのスーツにはフェザーがついていて“王子様”感が素敵! 福山さんだから着こなせるカラー、スタイルだと思います。曲間で『ジルサンダー』のファーコートを羽織って、変化も楽しめました。イイ男って、何を着ても素敵なのよね〜」
続いて6位は、東京・浅草から芸人たちとの中継で出演した山内惠介。
「赤いベロアのナポレオン風コートは、袖口と襟元にファーがついていて高そう! 曲中にコートを脱いで黒いフォーマルスーツに変身。ストーンやビーズをあしらって、ゴージャス感があってまたまた高そう! 総作りであることがわかる、惠ちゃんにしか着られない衣装だと思うわ」
3位から5位はベテランアーティストがランクイン
5位となったのは、'23年がデビュー50周年だった、さだまさし。ベテランだからこそ着こなせる衣装が高見えポイント。
「キラキラした衣装の若いアイドルは、人数も多いので、なかなか高い生地は使えないはず。そんな中、さださんは若い人が着るキラキラ衣装に引けをとらないジャケット。よく見るとペイズリー柄になっていて、フォーマルな雰囲気もあり、若いアーティストとは違った華やかさ。イタリアのラグジュアリーブランド『エトロ』のジャケットですもの。“高見え”じゃなくて“高い”のよね」
前回3位だった石川さゆりは、4位にランクイン。
「絶対高いに決まってる! いつもながら素敵な和装でした。黒地の着物に金糸の帯で華やかさがあり上品。かんざしはべっこうのような伝統的な雰囲気で、センス抜群。帯だけでも数百万~1000万円近い金額なのでは? さすが、演歌界の女王!」
3位は特別企画『テレビが届けた名曲たち』から薬師丸ひろ子。一見、シンプルに見えたけれど……。
「黒のオフショルダーのタイトなトップスに、千鳥格子柄のロングフレアスカート。黒いベルトでウエストマークをしていてスタイルも抜群。スカートは生地をふんだんに使っていますし、お高いでしょう。品があって素敵でした」
2位は、アニメ『鬼滅の刃』の主題歌を披露した人気アーティスト。
「miletさんです。チュールをふんだんに使っていて、ボリューム感が豪華。それを脱いだら、赤い衣装に変わった! やっぱり紅白には、これくらいの驚きは必要ですね」
栄えある第1位は、大トリを務めたMISIA。
「'24年の干支である辰年にちなんで、大きな龍に乗ってのパフォーマンスは圧巻でした。それに負けず劣らず、衣装も高見え。すべてオリジナルで作られた赤い着物と袴に、“水引”のようなターバン風ヘッドアクセサリーもインパクト大! バックバンドとして参加していた『男闘呼組』の着物風衣装も含めて、かなりの予算がかかっているのではないでしょうか」
司会を務めた橋本環奈の衣装も高評価!
以上が、トップテンの顔ぶれだけど、ランク外でも印象的な衣装はたくさん。
「天童よしみさんは“高見え”ではないですが、イチから作っている感じはさすが! “紅白はこうでなくちゃ!”と思わされます。ヘッドアクセサリーには“よしみちゃん人形”がついていて、個人的には圧巻でした」
また、『TWICE』の日本人メンバーで結成された『MISAMO』は……。
「ほぼ裸! 面積は少ないけれど、ベージュのチュールにビーズのたくさんついた生地自体はめちゃくちゃ高いはず。縫うのも大変なので、手間もかかっています。ビーズやラインストーンが本当のスワロフスキーだったら、相当な金額になると思います」
ネット上でも話題となった、司会の橋本環奈のドレスも高評価。『オスカー デ ラ レンタ』というブランドの、定価が286万円のものだ。
「オープニングの着物から着替えたベアワンピドレスがとっても素敵。フォーマル感はないですが、華やかで高級感があります。紅白では、キラキラや重厚感のある衣装を選びがちな中、このチョイスは大正解!」
今年の大みそかも豪華衣装でお茶の間を楽しませてほしい……って気が早い!
矢部義浩…スタイリスト歴20数年。テレビ番組や雑誌、広告で活躍するほか、タレントの専属スタイリストもこなす