日本のテレビ史を長年にわたり彩ってきた時代劇。『水戸黄門』や『遠山の金さん』といった長期シリーズは、俳優が代替わりしながら作品を守り続けてきた。きっと今後もそうやって歴史は続いていくのだろう。
というわけで、今回週刊女性では「あの時代劇を、この俳優でリメイクしてほしい!」という希望調査を実施。全国の40歳以上70歳以下の男女1000人を対象に選択方式で答えてもらった。アンケート結果をもとに、漫画家でコラムニストの辛酸なめ子さんにも見解を聞いた。
『遠山の金さん』はガタイ重視
まずは時代劇といったらこれ、『遠山の金さん』(テレビ朝日系など)。江戸町奉行・遠山金四郎景元を主人公にしたドラマで、歴代キャストには杉良太郎、故・松方弘樹さん、故・西郷輝彦さんなど有名俳優が名を連ねる。金さんといえば、「この桜吹雪に見覚えがねえとは言わせねえぜ」と言いながら片肌を脱ぎ、桜の彫り物を見せるのがお約束。アンケートでも肉体美の俳優に名前が集まった。
「鈴木亮平はいい身体をしているので桜吹雪が映えそう」(埼玉県・48歳・男性)、「大沢たかお。『キングダム』で見た肉体美がすごかった」(大阪府・48歳・女性)
お笑い界からもマヂカルラブリーの野田クリスタル、ロバートの秋山竜次など肉体自慢の芸人が多数選出。辛酸さんも「金さんは肌の露出がカギ」と分析。
「脱ぐことを考えたら、身体に自信のある方でないと務まらないと思います。桜吹雪の彫り物が似合うかどうかも重要。タトゥーじゃなくて入れ墨ですからね。細身の方より、鈴木亮平さんみたいなガタイがいい方のほうが似合う役だと思います」(辛酸さん)
時代劇といえば、こちらも絶対に外せない『水戸黄門』(TBS系)。1969年にシリーズがスタートし、これまで故・東野英治郎さんや里見浩太朗などが“御老公”を演じてきた。
「笹野高史はコミカルもシリアスも演じられるので、今までにない水戸黄門になりそう」(宮崎県・68歳・男性)
「梅沢富美男。意外とカッコいい黄門様になりそう」(東京都・50歳・女性)など、“ご隠居”が似合いそうなキャスティングが目立った。そんな中、意外な人選も。
「バカリズム。いつもニコニコしているので意外と合いそう」(広島県・50歳・女性)、「ムロツヨシ。あのくちゃくちゃの髪形で、新しい水戸黄門像をつくってほしい」(東京都・63歳・男性)
辛酸さんは「黄門様は好感度高めな人にやってもらいたい」ということで高田純次を推す。
「水戸黄門がやっていることって街歩きですよね。高田さんなら『じゅん散歩』で慣れているし、町の人ともたくさん交流しているので向いていると思います」
男女逆転時代劇で話題を狙う
続いて、松平健の代表作『暴れん坊将軍』(テレビ朝日系)。後継者にと名前が挙がったのは阿部寛、福山雅治ら。また、「大地真央にやってもらいたい。男役が似合いそう」(埼玉県・65歳・女性)という声も複数あがった。
「大地真央さんが演じるのは面白そうですね。男女逆転『大奥』も流行ったので、結構アリな気がします。加えて松平健さんの元奥さんということで、話題性もありそう」(辛酸さん)
池波正太郎の代表作『鬼平犯科帳』(フジテレビ系など)の主人公は、「鬼の平蔵」と恐れられる長谷川平蔵宣以。これまでに故・丹波哲郎さん、故・二代目中村吉右衛門さんら大御所俳優たちが演じてきた流れもあって、アンケートでもビッグネームが並ぶ。
「人情と厳しさを表現するのがうまい、役所広司さんに鬼平を演じてほしい」(愛知県・70歳・男性)、「渡辺謙さんの貫禄があって、迫力ある演技が合いそう」(岐阜県・55歳・男性)
辛酸さんも役所広司に一票。
「『VIVANT』(TBS系)もそうでしたけど、役所さんは悪人に見えて本当は善人という演技がお上手ですよね。普段は怖いけど、弱い者には情けをかける鬼平の二面性をうまく演じてくれそうです」(辛酸さん)
小川眞由美や大地真央が演じた『女ねずみ小僧』シリーズ(フジテレビ系)。美貌はもちろん、アクションもできる俳優に票が集まった。
「アクションもできる綾瀬はるかに演じてほしい」(群馬県・62歳・男性)、「清野菜名。ずば抜けた身体能力が女ねずみ小僧に生かされそう」(神奈川県・51歳・女性)
女ねずみ小僧にスタイルやセクシーさを望む声も多く、「菜々緒。スタイル抜群で運動神経もあってハマりそう」(北海道・63歳・女性)、「昭和イメージの壇蜜なら、レトロな色っぽさが見られそう」(三重県・65歳・男性)といった意見も。
「女ねずみ小僧はかぶり物をするので、顔の一部しか見えません。目力のある方がいいですよね。菜々緒さんは合っていますが、ねずみというよりキャッツ・アイのイメージです。壇蜜さんはエロすぎるのでは。すぐ捕まっちゃいそうです」(辛酸さん)
親子二代で演じてほしいあの役
ドラマ史上最長の全888話という金字塔を打ち立て、ギネスブックにも載ったのが『銭形平次』(フジテレビ系)。故・大川橋蔵さんの終生の当たり役としても有名なこの役は、「動きが機敏な人にやってほしい」と辛酸さん。
「銭形平次は、投げ銭をするので運動神経が良い人じゃないと務まらないと思うんです。そういう意味では玉木宏さんはシュッとしていて、足も速そうなので、いいんじゃないでしょうか」(辛酸さん)
アンケートでも、運動神経を重視する声が多数。
「内村光良。ジャッキー・チェンのようなスピード感を見てみたい」(鹿児島県・40歳・男性)、「小栗旬。アップに耐えうる容姿で、動きが機敏そう」(岩手県・68歳・女性)
お約束の投げ銭に着目したキャスティングも。
「工藤阿須加なら、上手にお金を投げてくれそう」(大阪府・63歳・男性)、「出川哲朗。投げ銭が当たらないドジな平次を見てみたい」(福岡県・67歳・男性)
『大岡越前』はTBS版では故・加藤剛さんが、NHK BS版では東山紀之が演じた。弱きを助け強きを挫く名奉行だ。
「向井理。クールな裁きと冷たさの中に優しさを感じさせるのがよい」(北海道・53歳・女性)、「松本潤。『どうする家康』で主役を見事に演じ、時代劇もいけると思った。人情味あふれる奉行の役を見てみたい」(秋田県・60歳・男性)
いわゆる二枚目俳優に票が集まったが、辛酸さんは「大岡越前は人格者に見える人がいい」と話す。「この人に裁かれたいと思えるくらいの人じゃないと、大岡越前は演じられません。そういう意味では松本潤さんは奉行より殿様っぽい。向井理さんも素敵ですが、クールすぎて人情が薄いイメージです」(辛酸さん)
『必殺仕事人』シリーズ(テレビ朝日系)は、長きにわたり藤田まことが主役の中村主水を演じてきた。入婿の主水が嫁と姑に挟まれるところを演じるとなると、コミカルな要素も求められる。そこで票が集まったのが大泉洋。
「コミカルさと包容力を演じられるのは大泉さんくらい」(千葉県・59歳・男性)
また、本作はさまざまな仕事人が出るのも見どころ。辛酸さんは京本政樹が演じた“組紐屋の竜”役に息子の京本大我を推薦。
「お父さんに似てミステリアスな雰囲気だし、紐も似合いそう」(辛酸さん)
理想のキャスティング、このうちどれかは当たるかも?
その他にもこんな意見が!
『御宿かわせみ』(NHK)→北川景子が主演で。色気のある女将を見てみたい(愛知県・61歳・男性)
『三匹が斬る!』(テレビ朝日系)→「三匹」の役をそれぞれ「新しい地図」の3人にやってほしい。チームワークもよさそう(北海道・48歳・女性)
『子連れ狼』(日本テレビ系)→香川照之がよさそうかと。スキャンダルのせいで業を背負っている感じが出せるのでは。頼れる人がいなくてひとり乳母車を押している姿がハマりそう(東京都・50歳・男性)
『大江戸捜査網』(テレビ東京系)→隠密同心の十文字小弥太を木村拓哉で。杉良太郎とは違った軽さでいい感じになりそう(兵庫県・58歳・男性)
『木枯し紋次郎』(テレビ東京系など)→ちょっと陰がある紋次郎を菅田将暉にやってほしい(大分県・60歳・男性)
『柳生十兵衛』シリーズ(テレビ朝日系など)→柳生十兵衛を新田真剣佑で。二代目世襲を見てみたい(栃木県・68歳・男性)
『桃太郎侍』(テレビ朝日系)→桃太郎侍を西島秀俊さんで。男らしい、カッコいい、和装も似合う、色気がある。明るい感じの高橋英樹さんもいいけれど、陰も色気もある桃太郎侍も見たい(埼玉県・52歳・女性)
『忠臣蔵』→EXILE TRIBE総出で赤穂浪士をやってほしい。吉良上野介はあえてのHIROさんで(福岡県・45歳・女性)
※インターネットアンケートサイト「Freeasy」にて11月下旬、全国の40歳以上70歳以下の男女1000人を対象に選択方式で実施
(取材・文/中村未来)