1995年、39歳で建築家の男性と結婚。翌年、長男のShuさんを出産するも、2013年に離婚してから今年で11年。以来、「おひとりさま」生活を続けているのが、フリーアナウンサーの南美希子さん。南さんは60代の今がもっとも自由で楽しいと語る。
自由そうで自由でない30代、子育てに縛られた40代
「私は30歳で会社(テレビ朝日)から独立し、実家からも独立してひとり暮らしを始めました。それまでは親の目を気にしたり、門限を気にしてデートを早く切り上げたり。
独立して“これで楽になるはずだ”と思ったけれど、当時、付き合っていた彼は、かなり束縛するタイプの人で、“今、何しているの?”と電話が頻繁にかかってきたりして、思っていたほどひとり暮らしも自由じゃなかったんですよね。
そのあと、39歳で結婚、40歳で出産してからは何にも増して子ども優先。常に子どもに縛られていましたね」
そんな長男も、現在では27歳に。だが、それでも母親にとってはいつまでたっても子どもは子ども。常に気にかけ、手がかかる存在だった。
「それがコロナ禍の間でしたか、3年ぐらい前に息子が、“マミー、犯罪以外なら何をしてもいいよ”と言ってくれて(笑)。それで“おお、そうなんだ!”と。
息子にそう宣言されたもので、正真正銘、私を縛るものってなんにもないんだと思いました。だから本当に、今はまったく自由ですね」
わが子からの「犯罪以外はなんでも可」宣言以来、南さんは、精神的にも物理的にも、重い鎖から放たれたように自由になった。
先日、大阪で収録を終えたあとのことだ。ふと思い立ち、自宅がある東京とは逆方向へ向かう九州新幹線に飛び乗った。衝動的に決めたから、どこに行くのかすら決めていない。
「それで、“どこで降りようか? とりあえず熊本で降りてみよう”と。そこからバスとタクシーで宇宙一のパワースポットと称される神龍八大龍王神社に行って」
熊本からさらに岡山に行き、さらには岡山から瀬戸大橋を渡って四国へ。四国では1時間かけ785段の階段を上り、金刀比羅宮をお参りした。
逆方向の新幹線に飛び乗っての、思いつきでのこんな旅も、夫からも子どもからも解放された「60代のおひとりさま」であればこそ。
この世代は、女性が自由をもっとも満喫できる年齢だと話す。
「誰かについていくばかり」では人生がもったいない!
南さんのようにおひとりさまを満喫できる人もいれば、「ちょっと寂しい。私はおふたりさまがいい」と感じる女性もいることだろう。
南さん自身も「おふたりさま」を否定する気はさらさらなく、パートナーと過ごす人生後半もまた、同じように素晴らしいと言う。
「ドイツ・ミュンヘンのエスカレーターで、ふと顔を上げたら70代とおぼしきカップルが抱き合ってキスしていて。“70代でキスしたっていいんだわ!”と思うとともに、ああいう人生も悪くないなあと思いましたね」
とはいえ、“おふたりさま”も、時には自分が本当は何をしたいのかをつきつめて考えることも必要では、と南さん。
「夫でも友人でも、なんとなく誰かについていくばかりで人生終わっちゃうのは本当にもったいない! パートナーや友人はチャーハンが食べたいけれど、自分はおそばを食べたい日だってあるはずです。
“おふたりさま状態”は、どうしてもどちらかに縛られがち。そうした状態からたまには外れてみると、人生の地平が広がって、“人生ってなんて自由で楽しいんだろう”と感じると思いますよ(笑)」
某占い師から、「あなたはホントに群れない人」と言われたほど、「おひとりさま状態」に強いと自他共に認める南さん。
だが、恋のときめきやパートナーと過ごすひとときが嫌いというわけでは決してない。これとは別の占い師からは、68歳になる今年、大恋愛をすると予言されたという。
「恋愛って、人間関係の中でも別種のものですよね。でも今まで年下と付き合ったことがないから年下はイメージできないし、かといって年上となるとくたびれたおじいさんばっかりで魅力を感じられなくて。とはいえそう言われると、ときめきますよね(笑)」
胸をときめかせ死ぬまで元気な女性に
さて、こんな南さんの胸をときめかせてやまないのがあの平野紫耀くん。ファンクラブにまで入会したほどだそうだが、女性ならばいくつになってもイケメンに胸ときめかせていたいもの。いつまでも元気で老け込まずにいるためにはいったいどうしたら?
「とにかく外に出ること。縁側で猫の頭をなでているようなのが一番ダメ。老け込むだけです!
社会性を持つことが第一。仕事を持ち続けることが一番ですが、もちろんボランティアだっていいと思いますよ。私もいつかボランティアで、子どもに読み聞かせができたらなあと思っています」
抗加齢医学会の司会を長く務めており、強く心がけているのが「歩く(散歩)」こと。それにベストセラー『80歳の壁』の著者・和田秀樹医師との対談で聞いた「ルーティンを破る」を加えた南流アンチエイジングを実行中だ。
ポイントは、九星気学でいう吉方位(その方向に出かけるだけで幸運をもたらしてくれるという方向)を教えてくれるアプリをスマホにインストール、それに従って歩く(散歩)コースを決めること。
「吉方って日々違うんです。昨日は北東、今日は西という具合に。それに従って歩くんですが、方向が違うと見える景色も変わります。散歩がルーティンでなくなって、気分もリフレッシュされますし、新たな発見ができます」
南さんが学んだ九星気学には、「吉の貯金」という考えがあるそう。吉方位に行くだけで幸運が貯金できるという考えだ。
「散歩って“今日は面倒だからやめよう、天気が悪いからやめよう”とか思いがちですが、吉を貯金していると思えば続けることができます」
吉方位からのエネルギーも頂戴したい。
「吉方位で何か飲み食いするといいそうです。1.5~2キロも歩いたら、コンビニでも自販機でもいいから温かいものを買い、飲んで帰ってきます」
新入社員時代にやらされた発声練習も再開した。
「言語が明瞭になって、電話で聞き直されることがなくなりました。実はノドボトケも老化して、お尻同様下垂するんです。発声練習はそれの予防になりますし、なにより顔のたるみ予防になりますよ」
これなら68歳で大恋愛も不思議じゃない!『週刊女性』の表紙に、『南美希子、結婚!』の見出しが躍るのも遠くない!?
取材・文/千羽ひとみ