これまで人気の高かった観光地はもはや魅力的でないのかも?(写真はイメージです)

 旅行会社JTBの発表によると、この年末年始に1泊以上の旅行を予定していた人は約2858万人。国内旅行においては2019年のコロナ前とほぼ同水準まで回復したという。

 旅行需要の拡大やインバウンドが戻ってきたことに加え、物価高も影響するのか、旅行関連費用においては1兆1480億円と試算されており、過去最高とのことだ。

 旅行はリフレッシュには最高の方法といえるけれども、庶民としては物価高の影響は痛いところ。加えて最近はこんな声が多いという。

「『オーバーツーリズムで、どこへ行っても休まらないから観光地へあまり行きたくない』という人が増えましたね。また、レジャーが豊富であるはずの沖縄は近年、若者には人気が下がってきています。主な理由は『車を持っていないので、車でないと行けない観光地は避けている』といったものです」(旅行ライター)

 そんな意見を反映するように、最近増えている旅行形態があるのだそう。

「土地土地へ行って観光する……というより、宿泊施設ではないところに泊まれるというサービスや、観光地へ行っても観光するわけではなく、そのまま日常を過ごす、というものです。

 前者のほうで有名なのは『城泊』でしょうか。愛媛県にある大洲城は、天守を貸し切りにして泊まることができます。1泊2日で1人55万円と、かなりプレミアな価格ですが、大洲城以外でも、城内でキャンプができるお城もあります」(同・旅行ライター)

『筋トレ泊』も話題

 その他にも、築70年の倉庫を宿泊施設とした「大森倉庫」(東京都)、博物館内に泊まれる「奥出雲多根自然博物館」(島根県)。世界的なエンタメ企業、任天堂の旧本社社屋が宿泊施設となった「丸福樓」(京都府)などがある。

「静岡県にある『ヒトヤ堂』は、1階が喫茶店、2階と3階がゲストハウスとなっており、泊まれる純喫茶としてエモいと、若者を中心に人気です。私も宿泊しましたが、夜中にお客さんのいない純喫茶に泊まることはまずない経験で、楽しかったですね」(同・旅行ライター)

 また、こんな旅行形態も。

「『ゴールドジム』が経営している温泉施設『ゴールドジム別府杉乃井ホテル』(大分県)は、筋トレ上級者も満足の器具がそろっており、いつ何時でも筋肉を育てたい人たちには最適の旅行先のようです。加えて、東京・東日本橋にある『obi Hostel』にも本格的なジムがあり、トレーナーが常駐していて、食事も身体づくりを第一に考えたメニューだそうです。いわば『筋トレ泊』ですよね」(同・旅行ライター)

 宿泊施設ではないが、こんな美術館もある。

「神奈川県の箱根にある『岡田美術館』には、足湯カフェという施設があり、足湯をしながらお茶を飲んだりできます。Wi–Fiも完備しているため、ここで仕事をしている方も結構いるそうです」(同・旅行ライター)

 旅行という概念の可能性は、ますます広がるのかもしれない。